『長崎の郵便配達』英ジャーナリストと長崎のスミテル少年との出会いから生まれた被爆者の物語。その足跡を辿るドキュメンタリー

『長崎の郵便配達』英ジャーナリストと長崎のスミテル少年との出会いから生まれた被爆者の物語。その足跡を辿るドキュメンタリー

2022-08-01 17:50:00

はじまりは、1冊の本だった。

著者はピーター・タウンゼンド。元英空軍大佐で、戦時中にパイロットとして英雄となり、退官後は英国王室に仕えた。エリザベス女王の妹にあたるマーガレット王女と恋に落ちるも、周囲の猛反対で破局。この世紀の悲恋は世界中で話題となり、映画『ローマの休日』のモチーフになったともいわれる。

その後、世界を回り、ジャーナリストとなった彼が、日本の長崎で出会ったのは谷口稜曄(タニグチスミテル)さんだった。16歳で郵便配達中に被爆し、生涯をかけて核廃絶を世界に訴え続けた谷口さんをモデルに、タウンゼンドは1984年、ノンフィクション小説「THE POSTMAN OF NAGASAKI」(『ナガサキの郵便配達』)を英米で出版する。

さらに本作は、タウンゼンドの娘であり女優のイザベル・タウンゼンドが、父親の著書を頼りに取材地である長崎でその足跡を辿り、被爆の実相を知ると共に、父と谷口氏の思いを紐解いていくドキュメンタリーである。

監督を務めるのは、『紫』(12)や『あめつちの日々』(16)の川瀬美香。「ニューヨークでの谷口さんの講演を聞いたり、さらに父の意志を受け継ぎたいと願うイザベルさんと出会ったことで、映画の制作を決心した」という。

“No more Nagasaki” “No more war “
被爆によって信じがたいほどの火傷の損傷を全身に負った谷口さんは、当時の姿を晒し、最期までこう訴え続けた。

2017年、谷口さんは突然帰らぬ人となる。プロジェクトは一時中断しかけたが、「イザベルさんによって奇跡的にタウンゼンド氏の取材テープが発見され、亡き父と谷口さん、天の二人に導かれるように再び歩みを進めた」そうだ。

8月6日と9日の原爆忌を目前に、父から娘へのメッセージが一編のドキュメンタリーとなって今、私たちに届けられた。これは、父の記憶を辿る娘のプライベートな旅の記録であり、同時に、世界中の人に向けられた“一編の祈り”でもある。

 

 

ストーリー

『ローマの休日』のモチーフになったともいわれる、英国王女マーガレットとの世紀の恋で知られたピーター・タウンゼンド元空軍大佐。

後に、世界を回りジャーナリストとなった彼が、日本の長崎で出会ったのが谷口稜曄(スミテル)さんだった。

16歳で郵便配達中に被爆し、生涯をかけて核廃絶を世界に訴えた谷口さんを取材。1984年に1冊のノンフィクション小説を出版する。

本作は、タウンゼンド氏の娘であり女優のイザベルさんが、2018年の長崎で、父の著書とボイスメモを頼りにその足跡をたどり、父と谷口さんの想いを紐解いていくドキュメンタリー。

 

 

『長崎の郵便配達』予告編

 

『長崎の郵便配達』本編映像

 

 

公式サイト

 

2022年8月5日(金) シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺アップリンク京都、ほか全国ロードショー

 

監督・撮影:川瀬美香 構成・編集:大重裕二 音楽:明星/Akeboshi
エグゼクティブ・プロデューサー:柄澤哲夫
プロデューサー:イザベル・タウンゼンド、高田明男、坂本光正
プロダクション・アシスタント:坂本肖美
企画制作:ART TRUE FILM 製作:長崎の郵便配達製作パートナーズ
出演:イザベル・タウンゼンド、谷口稜曄、ピーター・タウンゼンド

2021年/日本/日本語・英語・仏語/97分/4K/カラー/2.0ch

日本語字幕:小川政弘 フランス語翻訳:松本卓也
配給:ロングライド

©️The Postman from Nagasaki Film Partners ©︎坂本肖美