『夜明けの夫婦』岸田國士戯曲賞受賞の劇作家・山内ケンジがスクリーンで挑む純粋社会派深刻喜劇
コロナ禍が終息を迎えた日本を舞台に、夫の両親と同居し、孫を持つことを強く望む姑のプレッシャーに晒されながら生活する夫婦の姿をシリアスかつコミカルに描いた本作。第22回東京フィルメックス「メイド・イン・ジャパン」部門で上映された。
「なるべくお⾦をかけないでクオリティを下げない制作⽅法はないか……というのがこの映画の始まりでした。これは私たちの「持続化可能映画」計画の第⼀弾の映画です」と、本作のプロデューサーは語る。
監督・脚本を務めるのは、CMディレクター&プランナーとして「NOVA」「ソフトバンク」等話題のCMを多数手がけ、演劇プロデュースユニット“城山羊の会”の劇作家・演出家として第59回岸田國士戯曲賞を受賞した山内ケンジ。映画の監督作は『友だちのパパが好き』(15)、『At the terrace テラスにて』(16)に続き、本作が長編4本目となる。
これまでひた隠しにされてきたにもかかわらず、ごくありふれたテーマである「子作り」。とりわけ裕福なわけでも、困窮しているわけでもない、老夫婦と息子夫婦のごく一般的な二世帯住宅暮らしの中で、これと真剣に向き合う姿がリアルに赤裸々に描かれてゆく。劇作家として才能を開花させた山内ケンジ監督の舞台風演出がスパイスとなり、ここに「純粋社会派深刻喜劇」が完成した。
二世帯住宅に住む夫婦はもちろん、ほぼすべての世の夫婦に起こり得る設定の、極めて身近な人間ドラマ。登場人物の一人ひとりが、なんとも健気で滑稽で、悲しくおかしく、そして愛おしい。
ストーリー
コロナ禍もようやく⼀応の終焉を迎え、町⾏く人々の⼝元にもマスクが⽬⽴たなくなってきた。
さら(33)は夫、康介(31)の家で康介の両親と⼀緒に暮らしている。さら夫婦にはまだ⼦供はいない。
ある⽇、義理の⺟が「そろそろ⼦供は?作らないの?」と遠慮がちに聞いてきた。遠慮がちに聞かれたのはもうこれで何度⽬であろう。
しかし、パンデミックの間、さらと康介は、今までよりもはるかに⻑くこの家に居たのに、すっかりセックスレスになっていた。
なおかつ、さらは最近、康介に⼥がいることに気がついていた。さらは、夜中にコンドームを捨てた。
⼀⽅、義理の⺟、晶⼦は、コロナによって年⽼いた⺟を亡くしたこともあり、命について深く考える毎⽇。どうしても孫の顔を⾒たいという欲求で精神的に不安定になっていた。
⼭内ケンジ監督コメント
義理の⺟からの「そろそろ⼦供は?作らないの?」という質問は今やなかなかにして問題発⾔です。セクハラとも⾔えます。
そして、⼀階に両親、⼆階に息⼦夫婦という⼆世帯住宅で、⼀階では、義理⺟が嫁に⼦作りを促したり(セクハラ)、あるいは、知り合いが幼い⼦供を連れてきて皆で可愛いと⾔ったりするような⽇常。
⼀⽅、⼆階の息⼦夫婦の寝室では、セックスをしようとしたりできなかったりが描かれます。⼆階ではそれしかしていません。
根っこの所では同じテーマであるのに、表と裏、昼と夜という対⽐を作りたかったのです。なぜならそれは極めて普通のことなのに⾯⽩いから。
『夜明けの夫婦』予告編
公式サイト
2022年7月22日(金) 新宿ピカデリー、ポレポレ東中野、下北沢トリウッド、アップリンク京都、ほか全国順次ロードショー
鄭亜美 泉拓磨 石川彰子 岩谷健司
筒井のどか 金谷真由美 坂倉奈津子 李そじん / 吹越満(特別出演) 宮内良
脚本・監督:山内ケンジ
エグゼクティブ・プロデューサー:河村光庸/プロデューサー:野上信子
制作:オーバースリープ/配給:スターサンズ/配給協力:ギグリーボックス製作:『夜明けの夫婦』製作委員会
2021年/日本/135分/16:9/カラー/5.1ch/R18+
©『夜明けの夫婦』製作委員会