『シング・ア・ソング!』は戦地アフガニスタンへ夫を送った妻たちが結成した合唱団の実話から生まれた物語

『シング・ア・ソング!』は戦地アフガニスタンへ夫を送った妻たちが結成した合唱団の実話から生まれた物語

2022-05-18 12:00:00

『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督が実話を映画化したのが『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』。

「歌」の力の一つは「励ます」ではないだろうか。自分を励ますための歌、誰かを励ますための歌。『シング・ア・ソング! 笑顔を咲かす歌声』はみんなで唄う合唱でアフガニスタンに夫を送り出し基地内の住宅でその帰宅を待つ妻たち自身が自分たちを励ますためにまず唄い始め、そして、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの戦没者追悼イベントでのイベントに参加しそれがBBCのテレビ放送でイギリス全国、さらに戦地にまで届けられ、夫たちまで励ます歌となるのだった。

映画のバックグランドは2009年、当時イギリスはアフガニスタンに9000人を派兵していたが、更に500人の増派を発表した年だった。

映画のエンディングで、実際の合唱団の映像が見られるが、現在、英国と海外にある 75 個の合唱団には、2,300 人以上の軍に関係する女性が所属しているという。

シンディーローパーの「タイム・アフター・タイム」やヤズーの「オンリー・ユー」などの往年のポップソングが合唱団の歌う曲に選ばれるのだが、最後のコンサートでは、オリジナルの曲と歌詞で軍人の妻たちは挑戦するのだった。原題は『MILITARY WIVES(軍隊の妻たち)』

ストーリー

愛する人を戦地に送り出し、最悪の知らせが届くことを恐れながらイギリス軍基地に暮らす軍人の妻たち。大佐の妻ケイト(クリスティン・スコット・トーマス)は、そんな女性たちを元気づけ、共に苦難を乗り越えるための努力を惜しまないが、その熱意は空回りするばかり。そんな中、何気なく始めた“合唱”に、多くの女性達が笑顔を見せ始める。女性達のまとめ役リサ(シャロン・ホーガン)も、かつて慣れ親しんだキーボード・ピアノをガレージから引っ張り出し、積極的に関わり始める。

しかし、ケイトとリサは方針の違いで衝突を繰り返し、集ったメンバーたちも、美しい声を持っているのに人前で歌えなかったり、合唱を楽しむあまり音程を無視して歌ったりと、心も歌声もてんでバラバラ。担当将校も耳を覆う有り様だったが、心情を吐露するように共に歌い続けるうちに、同じ気持ちを持つ仲間として互いを認めていく。心が一つになっていくにつれ、次第に美しい歌声を響かせるようになった合唱団のもとに、ある日、毎年大規模に行われる戦没者追悼イベントのステージへの招待状が届く。思いがけない大舞台に浮足立つ妻たちだったが、そんな彼女たちの元に舞い込んだのは、恐れていた最悪の知らせだった——

 

実際の軍人の妻たちに会うようになると、あっという間に豊かなテーマが見えてきました

ピーター・カッタネオ監督

私がこの合唱団の映画に初めて関わったのは 3 年前のことでした(UK 公開は 2020 年) これまでスクリーンではほとんど見られなかった人たちの生き方を探り、音楽と歌を中心とした映画を作れるということに、すぐに気持ちが高ぶりました。

。 それは、歌を通して結束と絆を見つけたり、「平静を保ち、普段の生活を続ける」ことを期待されている女性たちが自分の声を見つけたりすることです。私たちが知り合った勇猛果敢な軍人の妻たちの話は、謙虚で、時には悲惨で、そして多くの場合は笑いを誘うものでした。私は、彼女たちの誠実で地に足のついたユーモアのセンスに感銘を受け、本作品はそういった笑いでいっぱいにしようと決めたのです。  

撮影は、軍人の妻たちによる初の合唱団が結成された場所であるキャタリック駐屯地で行いました。基地からは専用の制服、車両、撮影場所を提供してもらい、アドバイスも受けられました。兵役中の兵士やその家族にもエキストラとして出演してもらい、2010 年に軍人の妻による合唱団の初集会を実際に行った場所は、ケイトの家の撮影場所となりました。  私が最も注力した点は、音楽が持つ感情に迫るパワーと、共に歌うことのカタルシスを称える映画を作るということでした。

本物のサウンドを表現するため、すべての歌唱シーンはアマチュアの合唱団の不完全な状態で、撮影現場でライブ録音をしています。キャストは最後の曲だけは撮影前に練習をしましたが、初期の歌については荒削りな自然さを大切にするため、リハーサルを行っていないのです。  

私たちはコーラスに最適な曲を選ぶため、何百曲もの曲を調べました。私が求めたのは、物語のテーマに共鳴していて、かつ鼻につかないような曲。どの曲やジャンルがコーラスのアレンジに最も適しているかを発見するのは、とても興味深いことでした。ロックや現代的なポップスも検討したのですが、その度に 80 年代のテクノポップの名曲に戻ってきました。それは主人公の青春時代の音楽であり、軍隊生活の厳しさと相まってユーモラスさを作り出してくれました。

本編映像「オンリー・ユー」+予告編

予告編

公式サイト

5月20日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋、アップリンク京都 他全国順次公開

監督:ピーター・カッタネオ(『フル・モンティ』)
共同脚本:ロザンヌ・フリン&レイチェル・タナード
出演:クリスティン・スコット・トーマス シャロン・ホーガン ジェイソン・フレミング グレッグ・ワイズ
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ

© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019

 

 

自分を励ます映画、誰かを励ます映画