『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇』鬼才ゴルチエが自らの半生を大胆かつ詩的に綴った舞台の裏側に密着したドキュメンタリー

『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇』鬼才ゴルチエが自らの半生を大胆かつ詩的に綴った舞台の裏側に密着したドキュメンタリー

2023-09-28 10:26:00

ハッと目の覚めるような独創的なデザインで、約半世紀にわたり第一線でファッション界を牽引してきた世界的ファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチエ。本作は、彼の半生を描いたランウェイ・ミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」の舞台裏を追ったドキュメンタリーである。

ゴルチエ自らが企画・脚本・演出を手掛けた「ファッション・フリーク・ショー」は、2018年のパリ公演を皮切りに、今年5~6月には日本公演も開催され、全世界で35万人を動員したという。そんな熱狂のステージの裏側に2年間密着して、本作が作られたそうだ。柔道家テディ・リネールやエマニュエル・マクロン仏大統領のドキュメンタリーを手掛けてきたフランスのヤン・レノレが監督を務めている。

マドンナの「コーンブラ」のデザインで知られ、映画衣装の分野でも『フィフス・エレメント』(97)や『私が、生きる肌』(11)など、多彩なキャリアを持つゴルチエだが、子どもの頃の夢は「ショーを創り上げること」だったという。ショーの世界に憧れた少年は、やがて世界的なファッションデザイナーとなり、今、自らのショーを創り上げた。人生の集大成として子供の頃の夢を叶えるとは、なんてドラスティックな!

彼の指揮の元、華麗でキッチュなオートクチュールを纏ったダンサーたち、デザイン画通りにドレスを創り上げていく衣装スタッフらと共に、一丸となって創り上げたエレガントかつパンクな舞台とその裏側。ゴルチエと長年親交のあるマドンナやカトリーヌ・ドヌーヴ、マリオン・コティヤールがカメオ出演し、ほかにも、アルモドバル監督作の常連俳優ロッシ・デ・パルマや、ディスコ&ファンクミュージックのナイル・ロジャース、シャンソン歌手リーヌ・ルノーら、錚々たる面々にゴルチエの魔法がかけられてゆく。彼のクリエイションの集大成、妥協を許さない仕事ぶりと生き様に、その魔力に、みな魅せられてしまう。

類稀な想像力・創造力のみならず、天真爛漫な笑いと愛と包容力溢れる彼の人間性にも触れることができる本作。ファッション業界に携わる人はもちろん、世のすべてのクリエイターにとって、胸に迫る何かがきっとあるはずだ。

 

ヤン・レノレ監督

ヤン・レノレ
監督
フランス、コート・ダルモール県プレスタン=レ=グレーヴ出身。1998年にキャリアをスタートさせ、Canal+で放送された『Le Journal de François Pêcheux(原題)』『It's open on Saturday(原題)』等を番組ディレクターとして担当。また、「The (K) Kounen」という個人的なプロジェクトも立ち上げ、30年間ヤン・クーネン監督の人生を追跡した。その後、5年間はステファーヌ・ジョベールと撮影を行い、フランス5で放送された『Forks and Backpack(原題)』や自らの企画としてCanal+の『The New Explorers(原題)』、アルテでは 『Through Your Eyes(原題)』『By Plane(原題)』を担当。

2016年にはフランスの柔道家テディ・リネールのリオ五輪に向けたトレーニングを3年間かけて撮影し、2017年には選挙中のエマニュエル・マクロンを描いた話題のドキュメンタリー『Emmanuel Macron: Behind the Rise(原題)』を監督、Netflixで配信された。

作品制作を重ねる度に、監督は撮影においてリズムをつけ、自分の主観を避けて客観性を保ちつつ、日常の細部をつぶさにカメラに収める手法に長けていった。例えば、テディ・リネールの作品では、アスリートの息づかいと皮膚が溶け込んでいるような映像を生み出し、エマニュエル・マクロン作品では、シークエンスショットで、大統領候補者をあらゆる角度から総体的に撮影している。

ヤン・レノレは次のように述べている。「私は監督であって、ジャーナリストではない。私は撮影対象となった人物と話すことはない。その結果、親密で感動的、力強くリアルなドキュメンタリーを感受性豊かに観客に見せることができる」

 

ストーリー

奇想天外&ファンタスティックなデザインで有名なクチュリエ(男性デザイナー)、ジャンポール・ゴルチエ。ファッションシーンで旋風を巻き起こしてきた彼が今回挑むのは、ミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」だ。自身のコレクションと2足の草鞋を履いて創り上げるショーの舞台裏はトラブルの連続だった。衣装合わせ、初のリハーサル、ダンサーの故障、演出のいざこざなどアクシデントに見舞われるゴルチエとそのチーム。制作が進むにつれて明かされるゴルチエの真実。愛するテディベアや親愛なるマリーおばあちゃん、唯一無二の恋人フランシス、1976年初のファッションショーの評価……本当のゴルチエが紐解かれる。マドンナ、ロッシ・デ・パルマ、カトリーヌ・ドヌーヴらゴルチエのミューズもカメオ出演。ファッション界の女帝アナ・ウィンターもなんと登場! 1970、80年代を彩ったヒットナンバー、豪華絢爛なオートクチュール、トップデザイナーが見せる仕事へのこだわりが詰まった制作秘話をドキュメント。果たして無事初日を迎えられるのか!?

 



『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇』予告編

 

公式サイト

 

2023年9月29日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマカリテ、アップリンク京都、ほか全国順次ロードショー

監督:ヤン・レノレ
出演:ジャンポール・ゴルチエ、マドンナ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ロッシ・デ・パルマ、ナイル・ロジャース、マリオン・コティヤール

2018 / フランス / フランス語・英語・スペイン語 / 96分 / カラー / 5.1ch / シネスコ / 原題:Jean Paul Gaultier: Freak & Chic / 字幕翻訳:宮坂愛 / 映倫区分:G

提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ

 © CANAL+ / CAPA 2018