映画『ジョン・レノン~音楽で世界を変えた男の真実~』トークイベントにピーター・バラカンが登壇
アップリンク吉祥寺&京都でも絶賛公開中の映画『ジョン・レノン~音楽で世界を変えた男の真実~』。
本作のトークイベントに、イギリスでビートルズを聴いて青春を過ごした、ブロードキャスターであり、本作字幕監修のピーター・バラカンが登壇した。
ピーター・バラカン トークイベント@アップリンク吉祥寺/池袋シネマ・ロサ
以下は、12月17日(土)にアップリンク吉祥寺&池袋シネマ・ロサで行われたトークイベントのうち、池袋シネマ・ロサでの模様である。
ビートルズがレコードデビューしたのは1962年。
バラカン:僕は1951年生まれなので、ビートルズがデビューした時ロンドンで11歳だった。ビートルズは1963年初めは新人バンドだったけれど、(11月に)『抱きしめたい(I Want To Hold Your Hand)』が出た時には大スターになっていた。1年でそれだけ変わるものかと子供ながらに思っていた。
ビートルズは歌もリバプール訛りで歌っている。上品な喋り方はロックに似合わないから、それまでは(イギリス人歌手は)アメリカ訛りを真似していた。ビートルズが泥臭い感じのアクセントでバカ受けして、地方についての見方が変わった。本作でも「リバプールの人間は見下されていた」と話しているように、リバプールは第二の港町だったけれど、田舎と見られていた。ビートルズのおかげでそのイメージが変わった。地方訛りで話すことや労働者階級出身というのもカッコ良くなった。
イギリス人のユーモアが少しきついことにも言及するバラカン。
バラカン:ジョージにしてもリンゴにしても時々辛辣なことを言ったりしていたけれど、ジョンはとりわけその傾向が強いイメージがあった。本作でもドイツの写真家が、「ポールはいつも優しく接してくれる」と話している。ポールは、70年代に「ミュージック・ライフ」という雑誌の取材で、通訳の僕に対しても居心地がいいように気を遣ってくれた。おそらくジョンはそういうところはなかったと思う。
バラカンは、本作の感想について以下のように語る。
バラカン:ジョンの子供の頃というのは知らないことが多い。『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』という実写映画は、ビートルズ結成よりちょっと前の時代を描いていたけれど、それをもっと膨らませたのがこの映画。全部は吸収できない程のものすごい情報量。字幕監修として4回観たけれど、今日観て新しい発見があった。
最後に、バラカンは観客たちへメッセージを送った。
バラカン:ジョンの性格はすごく複雑なもの。本作は、家族関係の微妙なところがよくわかる構成の映画。ジョンはお父さんに捨てられたと思っていたけれど、お父さんは元々船員をやっていて、戦争が起きたからその仕事を続けていただけ。でもジョンは『お父さんからもお母さんからも捨てられた』と言っていた。一生を司る気持ちだと思う。この映画を観れば、そういう彼の気持ちが少しはわかると思う。
(左からピーター・バラカン、MC:南圭介)
予告編
公式サイト
12月8日(木) アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ、アップリンク京都ほか全国順次公開中
監督・編集:ロジャー・アプルトン
製作:ギャリー・ポパー
製作総指揮:デイヴィッド・ロジャーズ、スティーヴン・ロジャーズ、マーカス・シーランク、アレナ・ウォーカー、ジョン・アダムズ
出演:ゲイリー・メイヴァーズ (ナレーション/声の出演 )、ロッド・デイヴィス(ザ・クオリーメン)、ビル・スミス(ザ・クオリーメン)、コリン・ハントン(ザ・クオリーメン)、レン・ギャリー(ザ・クオリーメン)、チャズ・ニュービー(ザ・ビートルズ)、デイヴィッド・ベッドフォード(ザ・ビートルズ歴史研究家)、ポール・ファーリー(詩人、作家)
2018年/イギリス/英語/93分/カラー/1.85:1/原題:Looking for Lennon
監修:ピーター・バラカン/藤本国彦
配給:NEGA