数多くのスーパーモデルやセレブたちを虜にした天才メイクアップ・アーティスト、ケヴィン・オークインの生涯を追ったドキュメンタリー『メイクアップ・アーティスト:ケヴィン・オークイン・ストーリー』のホワイトシネクイントでの公開を記念し、リップだけで100本以上も持っているというゆうたろう(俳優/モデル)がトークイベントに登壇し、本作やメンズメイクについて語った。
この日も自身でメイクをしてきたというゆうたろう。
メイクのこだわりを聞かれると、「自分の中では最近引き算メイクっていうのがあったので、こういうケヴィンみたいな足し算もすごい楽しいと思って、この作品を観て自分の中で足したいと思って。基本はベースとリップぐらいしかしないんですけど、今日はアイシャドウとかしてキラキラメイクにしてみました」と語った。
メイクとの出会いは、姉のメイクを見ていたことだったと振り返りながら「15歳ぐらいの時は、まだ自分の中でもメイクは女性がするものという認識がありました。地元広島のファッションショーに初めて出させていただいた時に、お姉ちゃんにメイクしてもらって、こんなに自分が良く見えるんだというのが衝撃で。そこから、最初はお姉ちゃんのコスメを借りたり、バイトを始めてからは薬局に自分で買いに行ったりとか。毎日色んな自分に変身できるアイテムは、僕の場合服とメイクだった」と続け、家族の影響が色濃いことを明らかにした。
本作を観るまでケヴィンのことを知らなかったというゆうたろう。ケヴィンの印象については次のように語った。
「人間的にも、自分自身にもこだわりがあって、仕事をするパートナーにも強い信頼を得ていて、信頼関係があるからこそ言いたいことも全て言えている。僕の友達に言ったら崩れちゃいそうな言葉も、劇中ではたくさん言っていたり。でも、大好きだからこそ言えている言葉とか、伝えられる言葉があるんだなと思って。メイク以外のところでも考えさせられる部分がたくさんありましたね。」
子ども時代、学校の先生にまでいじめに遭っていたケヴィン。自身の過去について聞かれると、「差別ということはないけれど、今ではメンズがメイクすることは少しずつ理解されていますし、ブランドの中でもメンズの人がスカートを履くこともありますけれど、僕が広島に住んでいた10年前ぐらいはそれすらなかったです。スカートを試着したら店員さんに”え?”って顔をされたりしました。プラスに変えて会話してくれる人もいましたし、メディアに出始めた時は、良い意味でも悪い意味でも“新人類”という見られ方をしていました。色んな言葉を受け止めつつも、自分のスタイルは変えずにやっていったら、“ジェンダーレス”や“ノー・ジェンダー”とか“ボーダーレス”という言葉があふれる世の中になってくれたので、少しずつ受け止めてくれる人が増えたのかなと思って、諦めなくてよかったと思います。普通という言葉に翻弄されずによかったなと今となっては思います」と嬉しそうに話した。
劇中、ケヴィンがブルック・シールズらに男装させる性差をも超えるメイクで、美の固定観念に挑戦していた姿も紹介されている。ゆうたろうは、「女性を男性的なメイクにしたりだとか、同じ人とは思えないほどガラッと変えていた。それを当時からやってるケヴィンをすごいなと思いました。もし生きていればいつかメイクしてほしかった」と話した。
他に劇中で注目してほしい部分に対しては、「周りの人や友人やマネージャーにインタビューしているので、ファッションスタイルなど当時とのギャップを感じてもらえればと思いますし、本人の口からは語られなかったコメントを、今周りの方が口にされる瞬間はグッときました」と話した。
最後に、「僕も作品を通じて色んなメッセージをもらい、言葉や技術は刺激になりました。ケヴィンの生き様には背中を押してもらえるような映画になっています。知らなかったからこそこの作品を見てケヴィンのファンになりました。ぜひ色んな見方をしてほしいです。」とメッセージを送った。
予告編
公式サイト DICE+紹介記事リンク
10⽉7⽇(金)より 渋谷ホワイトシネクイントにて公開中
10⽉14⽇(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、シネ・リーブル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸ほか全国順次公開
監督:ティファニー・バルトーク
出演:ケイト・モス、リンダ・エヴァンジェリスタ、ナオミ・キャンベル、シェール、イザベラ・ロッセリーニ、ブルック・シールズほか
2017年/アメリカ/102分/原題:Larger Than Life: The Kevyn Aucoin Story