7月29日をもって閉館する「岩波ホール」過去上映作品特集

7月29日をもって閉館する「岩波ホール」過去上映作品特集

2022-03-26 12:20:00

「岩波ホール」が新型コロナの影響により劇場の運営が困難という理由で2022年7月29日閉館を発表したのが、半年前の1月のことだった。

1968年2月に、多目的ホールとして開館。川喜多かしこ氏(1908-1993)と高野悦子氏(1929-2013)により商業ベースにのりにくいと言われる映画を上映するための「エキプ・ド・シネマ」が作られた。第1回上映作品はインドのサタジット・レイ監督の『大樹のうた』。「エキプ・ド・シネマ」は、上映運動として当初4つの目標を掲げた。

  • 日本では上映されることの少ない、アジア・アフリカ・中南米など欧米以外の国々の名作の紹介。 (その後、女性監督による作品も積極的にとりあげるようになる)
  • 欧米の映画であっても、大手興行会社が取り上げない名作の上映。
  • 映画史上の名作であっても、何らかの理由で日本で上映されなかったもの。 またカットされ不完全なかたちで上映されたもの。
  • 日本映画の名作を世に出す手伝い。

上映システムも商業主義とは一線を画した方針がとられている

  • 日本で初めて各回完全入れ替え制、定員制を実施。
  • 予告編上映の際に企業コマーシャルを流さない。
  • 予告された上映期間の途中打ち切りを行わない。
  • 誰でも入会できる会員制度エキプ・ド・シネマの会をつくり、会員に葉書でお知らせを行い、会員割引を設ける。

その作品選定と上映システムは1974年の1回目の上映から閉館まで49年間貫かれた。

主な上映された作品

アンドレイ・タルコフスキー監督『惑星ソラリス』、ルキノ・ビスコンティ監督『家族の肖像』、テオ・アンゲロプロス監督『旅芸人の記録』、リンゼイ・アンダーソン監督『八月の鯨』、フォ・ジェンチイ監督『山の郵配配達』、黒木和雄監督『美しい夏キリシマ』などが公開されてきた。

 

閉館までの公開作品

6月4日より『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの世界』ヴェルナー・ヘルツォーク監督/イギリス

岩波ホール・過去の上映作品一覧

 

DICE+では、「岩波ホール」で上映されてきた映画を配信していきます。

第1弾配信

『おばあちゃんの家』イ・ジョンヒャン/韓国

『みかんの丘』ザザ・ウルシャゼ/エストニア・ジョージア

『夏をゆく人々』アリーチェ・ロルヴァケル/イタリア・スイス・ドイツ

『とうもろこしの島』ギオルギ・オヴァシュヴィリ/ジョージア・ドイツ・フランス・チェコ・カザフスタン・ハンガリー

『マルクス・エンゲルス』ラウル・ペック/フランス・ドイツ・ベルギー

『大地と白い雲』ワン・ルイ/中国

『光のノスタルジア』パトリシオ・グスマン/フランス・ドイツ・チリ

『真珠のボタン』パトリシオ・グスマン/フランス・チリ・スペイン

『夢のアンデス』パトリシオ・グスマン/チリ・フランス

第2弾配信

『笑う故郷』マリアノ・コーン、ガストン・ドゥプラット