『コンビニエンス・ストーリー』身近なコンビニが舞台の、体験したことのない不可解な異世界ファンタジー

『コンビニエンス・ストーリー』身近なコンビニが舞台の、体験したことのない不可解な異世界ファンタジー

2022-08-03 10:34:00

「コンビニ」と「異世界ファンタジー」。

交わるはずのない二つの要素が化学反応を起こした結果生まれた、誰も見たことのない異世界アドベンチャー。それが、『コンビニエンス・ストーリー』である。

監督を務めるのは、『時効警察』シリーズや『転々』『俺俺』などでユニークな世界観を作り出してきた三月聡。映画評論家でプロデューサーのマーク・シリングが7年前から練り上げたという念願の企画を受けた監督は、今回も期待と予想を上回る三月ワールド全開の作品を作り上げた。主人公の加藤を演じたのは『愛がなんだ』や『くれなずめ』『逃亡医F』など主演作が相次いでいる成田凌。加藤と恋に落ちる人妻・惠子を演じるのは、近年女優として活躍の場を増やしている前田敦子。そして、彼女の不気味な夫を演じるのが、舞台・映画・ドラマでも幅広く活躍している六角精児。この三人による奇妙な三角関係を軸に、物語は思いもよらぬ方向へと展開されていく。

「コンビニの中にいると全部が成立しちゃうから、そこから出られなくなる」

私たちにとって最も身近なお店とも言えるコンビニエンス・ストア。至る所に存在し、コンビニでは多種多様なものを購入することができる。それでいて、冷蔵庫の扉の向こうにはバックヤードが広がっているという不思議な構造の建物でもあり、外国人の店員が多く働いているという日本社会の縮図のような空間でもある。そんなコンビニあるあるが本作の物語には大いに反映されている。しかし、実際にはナンセンスとも思われる展開が続き、解き明かされない謎も数え切れないほどある。果たして、その演出に意味はあるのか、ないのか。あるとすれば、それにはどんな意味が込められているのか。そんなあれこれに思いを巡らせるのが、この作品の楽しみ方の一つかもしれない。

 

ストーリー

スランプ中の売れない脚本家、加藤(成田凌)は、ある日、恋人ジグザグ(片山友希)の飼い犬“ケルベロス”に執筆中の脚本を消され、腹立ちまぎれに山奥に捨ててしまう。後味の悪さから探しに戻るが、レンタカーが突然故障して立ち往生。霧の中のたたずむコンビニ「リソーマート」で働く妖艶な人妻・惠子(前田敦子)に助けられ、彼女の夫でコンビニオーナー南雲(六角精児)の家に泊めてもらう。しかし、惠子の誘惑、消えたトラック、鳴り響くクラシック音楽、凄惨な殺人事件、死者の魂が集う温泉町……加藤はすでに現世から切り離された異世界にはまり込んだことに気づいていなかった。

 

三木聡監督

1961年、神奈川県生まれ。大学在学中から放送作家として活動し、『タモリ倶楽部』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など数多くの人気番組に携わる。1989年から2000年まではシティボーイズのライブの作・演出を務め、2005年の『イン・ザ・プール』で長編映画監督デビュー。以降、シュールな持ち味を活かして『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』、『大怪獣のあとしまつ』などの映画作品で一貫して監督と脚本を兼任。『時効警察』シリーズや『熱海の捜査官』などのテレビドラマも手がけている。

 

予告編

 

公式サイト

8⽉5⽇(金) テアトル新宿、アップリンク京都ほか全国公開

監督・脚本:三木聡
企画:マーク・シリング
出演:成田凌、前田敦子、六角精児、片山友希、岩松了、渋川清彦、ふせえり、松浦祐也、BIGZAM、藤間爽子、小田ゆりえ、影山徹、シャラ ラジマ

2022年/97分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch

配給:東映ビデオ 宣伝協力:ガイエ

©2022「コンビニエンス・ストーリー」製作委員会

 

奇妙な世界観が癖になるお勧め映画