『ドラマなふたり』知れば知るほど好きになる―??

『ドラマなふたり』知れば知るほど好きになる―??

2026-08-19 08:00:00

この映画を作って愛についてなにを学んだか。

そう尋ねられたクリストファー・ボリグリ監督は、「人を愛するということは、その人を知ること」と答える。その隣から、新郎のチャーリーを演じたロバート・パティンソンは「僕は逆」と言い、新婦役のゼンデイヤも「相手を知ったらダメ」と突っ込む。

 

映画を見終えたわたしも、誰が、どれが正しいのかやっぱりよくわからない。というより、正しい答えなんてものはどこにもあり得ず、正解を探り当てなくてはならない状況がそこかしこにあるだけなのかもしれない、と思う。そして多くの場合、そして何度でも、わたしたちは間違えるだろう。

でもだからこそ、わたしたちのドラマは笑いあり涙ありの悲喜劇となる。月並みであってもそれは滑稽で愛おしく、月並みなくせにいつまで経ってもややこしい。

結婚式を控えたチャーリーとエマ。お互いに贈るスピーチを考えたり、披露宴のDJを依頼したり、ふたりは幸せに、忙しく、準備を進めている。

それは、親友夫妻に同行してもらった式の料理を決める試食会の夜。料理そっちのけで話が盛り上がり、お酒もどんどんと進んでいく。式場のスタッフが厨房の裏で「飲み屋かよ」とうんざりしていることにも気づかずに、すっかり酔っ払った彼らの会話は次第に、これまでに自分がした一番悪いことを告白し合う展開になる。

まずは親友たちが、そしてチャーリーが、それぞれの秘密を打ち明けていく。三人と同様、かなりお酒の回った様子のエマも、恐る恐る話しだす。

彼女の秘めてきた幼い頃のこと。その事実に酔いが覚めたように親友夫妻の夫はかける言葉を失い、妻は激情、チャーリーまでもが疑心暗鬼に陥っていく。

結婚式は7日後。出会ってからふたりで積み上げてきた多くのことと、これまで知らなかった衝撃的なひとつの事実がぶつかり合い、ぐちゃぐちゃの事態を招いていく。ふたりは無事に式を挙げることができるのだろうか。

ところで「ドラマ」とは、言わずもがな劇や舞台のことであり、「ドラマチック」という言葉になれば劇的な出来事や事件を指し、スラングでは人間関係のいざこざや修羅場、大騒ぎのことを言うものでもある。ドラマのない人生は途方もなくつまらなそうだが、実際にドラマの渦中を駆け抜けていくことは、途方もない労苦だろう。

チャーリーとエマのふたりのドラマをみた愚かなわたしは、彼らのような、後者の途方もなさのほうを選びたいと思えてくるのだった。

振り返れば、ファーストシーン、エマとチャーリーが出会う場面で、彼らはすでに一度出会い直していた。

カフェの窓際のカウンター席で読書に没頭するエマに一目で惹かれてしまったチャーリーは、偶然を装って声をかけるのだが、この後のふたりのやりとりは、芝居じみた、けれどドラマチックとしか言いようがない方向で進んでいったのだった。

彼らのドラマの最初の最初に置かれていたこの予感に、幾多の修羅場が繰り広げられた後でも、またやり直す余地があることを信じたいという微かな願いが込められているのかもしれない。

(小川のえ)

イントロダクション

結婚式の1週間前に花嫁が告白した〈最悪の秘密〉をきっかけに、誰もがうらやむ完璧なカップルの関係が狂い始め、やがて周囲を巻き込んで出口なきデスロードを暴走していく。

彼女の告白をめぐり全米中で大激論が起こり、A24史上最速で、全世界興収1億ドル突破(※2026年4月時点)の大ヒットを記録した話題作が遂に日本に!

主人公のエマとチャーリーを演じるのは、新時代のアイコンとして輝く『DUNE デューン 砂の惑星』『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤと、超大作もアート系も制する『ミッキー17』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のロバート・パティンソン。監督・脚本は北欧の鬼才・クリストファー・ボルグリ。プロデューサーには『ミッドサマー』のアリ・アスター。

ふたりを待ち受ける試練は、気まずさと共に共感を呼ばずにはいられない。愛する人の全てを知りたい──

誰もが抱く願いに、あなたの愛が試される。この〈ドラマ〉を見届ける勇気はある?

ストーリー

ボストンのカフェで運命的な出会いを果たしたチャーリーとエマは、この上なく幸せな日々を送っていた。

結婚式まであと7日と迫った夜、付添人の親友夫婦と4人での食事中、これまでにやらかした最悪の行いを告白することに。

軽い気持ちで始めたゲームだったが、エマの【最悪の秘密】に全員がドン引き。

チャーリーはエマには想像を絶する別の顔があるのではないかと恐れを抱く。

幸せの絶頂は一転、疑心暗鬼のどん底へと墜落するが、結婚式の準備を止める術はなく、遂に当日を迎えるー。

クリストファー・ボリグリ監督プロフィール

1985年、ノルウェー、オスロ生まれ。『シック・オ ブ・マイセルフ』(22)が、2022年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されて高い評価を受け、世界各国の映画祭でも上映される。同 作を観たプロデューサーのラース・クヌードセンとアリ・アスターもボルグリの才能に衝撃を受け、続く『ドリーム・シナリオ』(23) をA24のもとで製作しプロデューサーを務める。同作で主人公の大 学教授を演じたニコラス・ケイジが、ゴールデン・ グローブ賞にノミネートされる。

 

アップリンク吉祥寺 ほか全国劇場にて公開

公式サイト

監督・脚本:クリストファー・ボルグリ

製作:ラース・クヌードセン、アリ・アスター

出演:ゼンデイヤ、ロバート・パティンソン、アラナ・ハイム、ママドゥ・アティエ、ヘイリー・ゲイツ

2026|アメリカ|105 分|英語|5.1ch|英題:The Drama|字幕翻訳:牧野琴子 | G

配給:ハピネットファントム・スタジオ

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