『君と僕の5分』色のない世界であざやかだった、君との5分。

『君と僕の5分』色のない世界であざやかだった、君との5分。

2026-06-08 22:00:00

21世紀のはじまりの年。韓国・大邱。

内向的で物静かなギョンファンと、社交的で人気者のジェミンをつないだのは、当時まだタブーとされていた日本の音楽や漫画、アニメ。

加速度的に進む都市開発のなかで、街の風景が移ろっていくように、孤独を抱えたふたりの少年もまた、自らの居場所を探して彷徨っていた。

不器用に近づいては遠くなる互いの存在は、灰色に霞んだ世界に光と影を連れてくる。

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LGBTQ+という言葉が社会に浸透する、ずっと前。
日韓の文化交流が盛んになる以前の韓国で、J-カルチャーを愛するギョンファンとジェミンが出会ったのは、鋭さと脆さを併せ持つ、教室という小さな箱の中だった。

休み時間。下校途中のバスの中。ふたりで聴くglobe。

なんてことない毎日に、好きな音楽があり、好きなものを好きだと言える相手がいる。
無邪気に笑い合うその一瞬に、ふと影を落とすようなまなざしが見えるたび、そんな当たり前がとてつもなく奇跡だということを、何度も考えずにはいられない。

小さく積み重ねられていく信頼と友情は、それぞれの内に秘められた淡い想いと苦い記憶を同時に呼び起こし、穏やかな日常の輪郭を静かに揺るがしていく。

ジェミンの抱えた癒えることのない傷。
いつかの自分の苦しみに、目の前のギョンファンを重ねる姿は、痛くて辛くてもどかしい。

打ち明けられない秘密と伝わらない気持ちを抱えて、淡く脆く溶けていくふたりの恋心。
青春のひと言で片付けるには苦しすぎるけれど、それでも、その行方を静かに見守ることが、ギョンファンとジェミンに寄り添う唯一の方法なのかもしれない。

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なんとなく、いいなあと思う。
となりにいたいと感じる。
なんでって聞かれても「お前だから」としか言えない。

そんな曖昧な好きのかたちが、いつでも、どこでも、あるがまま許されることを、心の底から願ってしまった。

(鈴木栞)

イントロダクション

J-カルチャーを愛する韓国の気鋭、オム・ハヌルの長編デビュー作! 

チェチョン国際音楽映画祭、大阪アジアン映画祭をはじめ国内外で高く評価された新鋭オム・ハヌル監督の⻑編デビュー作。
日本の大衆文化流入が規制されていた2001年の韓国を舞台に、J-POPを通して心を寄せ合う孤独な少年たちの姿を丁寧に描き出す。挿入歌としてglobeの楽曲が使われるなど、90年代の多彩な日本カルチャーが登場。当時少数派だった日本カルチャーを愛する若者の喜びや哀しみと同時に、普遍的な⻘春の抒情を呼び起こす。

主人公ギョンファンを演じるのは、ミュージカル「ビリー・エリオット」でデビュー後、740万回再生を記録した短編映画『ユウォル:世界を踊らせた少年』の主演、ドラマ「豚の王」「ソンサン −弔いの丘−」に出演し活躍の場を広げるシム・ヒョンソ。ジェミン役には、モデルとして芸能活動をスタートし、ドラマ「恋するアプリ LoveAlarm」「保健教師アン・ウニョン」など話題作に出演する一方で、映画『ひかり探して』『強くなるとき』などインディペンデント映画を中心にキャリアを積むヒョン・ウソク。今後の活躍が期待される若手俳優陣の瑞々しく繊細な演技が観客の胸を打つ。
さらに映画『82年生まれ、キム・ジヨン』やドラマ「私の夫と結婚して」のコン・ミンジョン、映画『エクストリーム・ジョブ』『幼い依頼人』『犯罪都市 PUNISHMENT』のイ・ドンフィら実力派俳優が作品に深みを与え、観る者それぞれの最も大切な時間に連れていってくれる⻘春映画の傑作が誕生した。

ストーリー

21世紀は自由の始まりだと思っていた。でもーーー。

2001年、韓国で最も保守的な街といわれた大邱(テグ)に転校してきた高校生のギョンファンは、当時まだタブーだった日本の音楽やアニメの大ファン。
昼休みには一人で日本の楽曲をMP3プレイヤーで聴いていた。
皆には「オタク」とからかわれるが、隣の席の学級委員ジェミンも実は日本のカルチャーが好きだと知る。

学校帰りのバスの中でイヤフォンを分け合いながらJ-POPを聴き、次第に距離を近づける二人。
放課後のゲームセンター、CDショップ、映画館..…。ギョンファンはジェミンにある秘密を告白するが、彼の態度はその日を境に一変する。

オム・ハヌル監督コメント

2001年をギョンファンのように過ごし、2026年現在をギョンファンのように送っている方々に、『君と僕の5分』が癒しになれば幸いです。

オム・ハヌル監督プロフィール

1988年生まれ。韓国芸術総合学校映像院映画科、韓国映画アカデミー卒業。本作が長編デビュー作。
短編作品に『Newwave Cinema』(2021)、『Water ghost』(2020)、『Journey to the shore』 (2020)、『404 Not found』 (2018)、『Please tell me』(2016)※いずれも日本未公開
俳優としても活動し、出演作にハ・ジョンウ監督の『ロビー! 4000億円を懸けた仁義なき18ホール』(2024年)など。







アップリンク吉祥寺 アップリンク京都 ほか全国劇場にて公開

公式サイト

2025| 韓国 | カラー | シネマスコープ | ステレオ | 104min | PG-12

出演:シム・ヒョンソ、ヒョン・ウソク、コン・ミンジョン、イ・ドンフィ

監督・脚本:オム・ハヌル

原題:너와 나의 5분   英題:404 Still Rema

提供:JAIHO/SPOTTED PRODUCTIONS/Hulu

配給:SPOTTED PRODUCTIONS/TW

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