【第6回 TBSドキュメンタリー映画祭 2026】一歩先にある「事実」へ手を伸ばすということ。
テレビやSNSの向こう側にある「事実」 と 「声」 ヘ──。
歴史的事件から、いま起きている社会の動き、市井の人々の日常、注目のカルチャーまで、
TBSテレビおよびJNN系列局の記者・ディレクターたちが現場で掴み、魂を込めて世に送り出してきたドキュメンタリーの情熱が結実する場、それが「TBSドキュメンタリー映画祭」。
テレビ局主催としては世界的にも類を見ない映画祭で、長年培った取材力と膨大なアーカイブを武器に、社会問題から文化、ライフスタイルまで多彩なテーマを網羅する。
いま、この時代を映し出す、ドキュメンタリーの現在地。
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スクリーンに映る誰かの「現実」。出会うはずのなかった人、交わるはずのなかった世界。 知らないふりをして、見ないふりをして、生きていくことだってできる。
脚色も、やり直しもできない時間の中で、それでも確かに生きてきた人の痕跡。
ドキュメンタリーの力は、出来事を“知る”ことにとどまらない。
「知っている」のその先を見つめるちいさな勇気が、私たち自身の真実に一歩踏み込むことに繋がると信じて。
今週3月27日(金)より、アップリンク京都にて【第6回 TBSドキュメンタリー映画祭 2026】を開催します。
全16作品のうち、当館では12作品を上映。その中から劇場スタッフが2作品を一足先に鑑賞しました。
心を揺さぶる“現実”の物語に触れ、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけとなる本映画祭。ぜひスクリーンでご体感ください。
『鈴木順子「私は生きる」―脱線事故20年、記憶の軌跡―』
生きる力——それは決してあきらめなかった意志の積み重ねにほかならない。
順子さん自身は、この歩みを「生かされた命」と語る。ひとりで成し得たものではなく、周囲の支えがあってこそ今があるのだと。
だからこそ、その手から生まれる作品には、人と人とのつながりや、見えない力が宿っている。
静かでありながら確かな強さが、観る者の心に深く響いていく。
(小出)
イントロダクション
2005年4月25 日、朝の通勤ラッシュを少し過ぎた頃、兵庫県尼崎市でJR福知山線の快速電車がカーブを曲がり切れずに脱線した。
この事故で運転士と乗客 107人が亡くなり、鈴木順子さん(当時30)は 108人目の犠牲者になる、と言われていた。
意識が戻ったのは事故から 5ヶ月後。
順子さんは高次脳機能障害を患い、記憶が曖昧な状態が続いている。
昨日よりも今日、今日よりも明日、ゆっくりと回復を続けている。
器用な手先を活かし趣味で続けていた陶芸もリハビリを兼ねて再開した。
2025年4月、これまで作ってきた作品を集めて初めての大規模な個展を開く。
生かされた命で精一杯生きてきた 20年の記録である。

橋本佐与子監督コメント
この作品の魅力は、カメラの前で取り繕うことなく日常を生きる鈴木順子さんと、家族の姿に尽きます。
あえて事故原因には踏み込まず、彼らの日々を通じて「生きる」ということの強さに触れてほしい。そして同時に、20年前のあの日に起きた悲惨な事故を忘れないでほしい——その思いを込めています。
1本の電車で107人の命が奪われ、人生が変わってしまった人が数えきれないほどいるという事実を、決して風化させないために。
橋本佐与子監督プロフィール
1972年京都市生まれ。1995年、MBS毎日放送入社。
報道局記者、2000年~2007年。夕方ニュース番組「VOICE」キャスター。2016年~MBSドキュメンタリー「映像」ディレクター、2023年~「映像」プロデューサー。近年は若手ディレクターのドキュメンタリー番組制作をサポートし多数の作品をプロデュース。


監督:橋本佐与子
撮影者:荒利幸、原淳二
編集:土方一輝
主催:TBSテレビ
© 1995-2025, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.
『War Bride2 奈緒と4人の戦争花嫁』
「もし戦争が起きたら、日本と戦えますか?」
そんな卑劣な問いを背負い渡米した彼女たちは、どのような人生を歩んだのだろうか。
時代や環境ばかりに気を取られ、「戦争花嫁」という言葉の奥にある個人の人生に目を向けられていなかったことに気づかされる。
彼女たちが過ごした「ふつう」の日々。
愛する人のそばにいることを選んだその先の人生を、「戦争花嫁」としてではなく、一人の人の物語として、ただ真っ直ぐに見つめる。
そして、その日常に光を当てることの意味について、開かれた時代を生きる者として、絶えず考え続けたいと思う。
(鈴木栞)
イントロダクション
愛した人は、かつて「敵」と呼ばれた国の兵士だった。
終戦後、アメリカ兵と結婚し海を渡った日本人女性、彼女たちは「戦争花嫁」と呼ばれた。
一人の女性として、妻として、母として――
これは、時代と世間の理不尽な重圧に立ち向かい、愛と誇りを胸に人生を切り拓いた4人の女性たちの真実の物語。
桂子・ハーン (94): 戦争を憎みながらも渡米。「ブラックパンサー」に身を投じた息子の死を乗り越え、日米の架け橋となるボランティア活動に生涯を捧げた。
ツチノ・フォレスター (93): アメリカ兵からの一途な愛に応えながら、頼るすべのない「戦争花嫁」たちのために、心の居場所を作ることに尽力した。
恵子・ジョンソン (90): 夫からの経済的DV、そして失踪。筆舌に尽くしがたい苦難を越え、母として逞しく子供を守り抜いた。
マリコ・スパック (93): 夫の裏切りに直面。しかし愛する歌と「辛抱した木には花が咲く」という母の教えを胸に、多くの人に愛される幸せな余生を掴んだ。

川嶋龍太郎監督コメント
2022年、私は伯母、桂子・ハーンが「戦争花嫁」と呼ばれていたことを知り、彼女の人生をドキュメンタリーとして記録し始めました。
1930年に生まれ、激動の時代を生き抜いた彼女の歩みには、今を生きる私たちに必要な「真実」が瑞々しく息づいていたからです。
(今作の)4人の花嫁の核心にあったのは「愛」です。
戦後80年を過ぎ、戦争体験を直接聞く機会が失われつつある今、私はこれからもこの物語を一人でも多くの皆様に届けていきたいです。
川嶋龍太郎監督プロフィール
1973年生まれ、神奈川県横浜市出身、長野県長野市育ち。
2009年、TBS入社。ドラマ制作部に所属し数々のドラマ演出・プロデュースを担当。主な作品に【ドラマ】「半沢直樹」「陸王」「下町ロケット」「JIN―仁―」、【映画】「祈りの幕が下りる時」「七つの会議」など。
桂子・ハーンの甥。


出演:奈緒、Keiko Hahn、Tsuchino Forrester、Keiko Johnson、Mariko Spuck
監督:川嶋龍太郎
ナレーション:山口馬木也
語り:奈緒
企画・エグゼクティブプロデューサー:津村有紀
総合プロデューサー:須永麻由、小池博
プロデューサー:川嶋龍太郎
撮影監督:山田健
編集:川村優奈、片岡史織
選曲:御園雅也、音響効果、田久保貴昭
主催:TBSテレビ
© 1995-2025, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.
アップリンク京都 ほか全国劇場にて公開