『逆火』ヒロインか犯罪者か?真実を知った登場人物の誰をあなたは支持する?

『逆火』ヒロインか犯罪者か?真実を知った登場人物の誰をあなたは支持する?

2025-07-12 18:45:00

公開から1年後、もし名画座で2本立てで番組を編成するなら『逆火』ともう一本は森達也監督の『FAKE』はどうだろう。

どちらも真実とは何かを大きなフックとして物語が進められていく映画だ。『FAKE』は作曲家佐村河内氏は本当に耳が聞こえないのか、ゴーストライター騒動の真実は何かを軸に映画は進んでいく。ただ、そこで描かれるのは、真実とは何かではなく、暴こうとする行為こそが暴力ではないかを映画を観る観客に問いかける作りになっていたドキュメンタリーだった。

内田英治監督の『逆火』は、ヤングケアラーだったARISAが書いた自伝小説が映画化されるが、その小説に書かれたことは真実だったのかを助監督の野島が探っていく物語。映画の中の登場人物それぞれが真実を知ったうえでとる行動はそれで正しかったのかを観客に問いただす作りになっている。

映画のクランクイン直前まで助監督が脚本の裏を取る仕事に映画の中のように時間を費やすのだろうかと思ったのだが、内田監督は実際にあることだと語る。
「『ミッドナイトスワン』の時に感じたんですけど、助監督がするリサーチって詳細なんですよ。すごい分厚い取材資料を持ってきてくれる。僕も記者経験はありますけど、ホントにかなわない。映画の中で助監督がもう1回聞いてくる”と何度も関係者のところに行くんですけど、あれは本当にある話」

本作は、円井わんを始めとする俳優たちが何か映画を作りたいと話し合ったことから始まったという。円井は劇中の登場人物たちについてこう語る。
「何か事件を起こす人がいると、”犯罪者”という目で見てしまうじゃないですか。でも、その人を本当に責めることはできないんじゃないかと、どんな事件を見ても考えてしまうんですよ。確かに人を傷つけた加害者は、事実としては悪いことですが、事件にいたるまでの裏を知れば、本当にその人たちだけを責めることはできるのか?と疑問を持っています。だから、映画の中では、野島もARISAも責められないし、監督役のう大さんもプロデューサー役の礼子さんも、野島の娘の心愛ちゃんも、どの立場の人物も責めることができない。善悪だけでは判断できない、複雑な気持ちになりました」

映画を観た後あなたは、登場人物の行動を理解し、誰に寄り添う気持ちを持つだろうか。

(TA)

イントロダクション

「真実」に翻弄され日常が崩壊していく助監督の姿を描く、衝撃のヒューマンサスペンス!!!
『マッチング』『ミッドナイトスワン』の内田英治が原案と監督で贈る、完全オリジナル脚本作品

本作は、『ヤクザと家族 The Family』の北村有起哉が主演を務め、『マッチング』の内田英治監督が現代社会の抱える問題や矛盾を映画制作現場という舞台を通して、人間の表と裏を炙り出していく完全オリジナル脚本で原案と監督を担うヒューマンサスペンス。脚本は内田と共同脚本を手掛けた『サイレントラブ』(24)のまなべゆきこ。数々の話題作に出演し信頼できる俳優として名高い北村は、内田監督作品への出演としては『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『誰よりもつよく抱きしめて』(25)と本作で三作目となる。そんな北村と、『ミッドナイトスワン』(21)で第 44 回日本アカデミー賞優秀監督賞・優秀脚本賞を受賞し、幅広いジャンルの作品を手掛けエンタテイメントシーンをけん引する内田の強力なタッグが実現した。

ストーリー

映画監督を夢見る助監督の野島の次の仕事は、貧困のヤングケアラーでありながらも成功した ARISAの自伝小説の映画化であった。ところが、周辺で話を聞くうちに彼女に “ある疑惑”が浮かび上がる。この女は、悲劇のヒロインか、それとも犯罪者なのかー?名声を気にする監督、大ごとにしたくないプロデューサーといった撮影を中断したくない面々が、真実を追求する野島に圧力をかけてくる。やがて疑惑の火は、家族をも巻き込み野島の日常は崩れ始める...。

内田英治監督 コメント

「逆火」は個性的な俳優たちがのびのびと演技し、映画界の裏側をリアルに表現をすることができた。理想がおかしな方向に向いてしまう映画監督を、お笑いの世界で活躍する岩崎う大さんが静かながらに不気味な雰囲気を作ってくれている。そして主人公の妻を演じた大山真絵子さんは、現代社会を鋭く反映させた母親像を熱演した。さらには近年めきめきと評価を高めている円井わんさん。私の映画「獣道」で最初に彼女を見たとき、個性の塊だと思った記憶がある。その個性で、「逆火」にも不思議な世界観を作ってくれており、サスペンス感を強めることが出来た。自由であることがウリのインディーズスタイル。俳優たちの個性がぶつかり合いをぜひ見ていただきたい。

監督 プロフィール

1971 年生まれ、ブラジル・リオデジャネイロ出身。映画監督・脚本家。「週刊プレイボーイ」の記者を経て 99 年「教習所物語」(TBS)で脚本家デビュー。伊藤沙莉主演の映画『獣道』(17)が多くの海外映画祭で評価されたのち、2019年、脚本・監督の一翼を担ったNetflix オリジナルドラマ「全裸監督」が世界で配信され、話題を席巻。その翌年公開された『ミッドナイトスワン』(20)が 2021 年に日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、世界各国の映画祭で上映された。近年では、『異動辞令は音楽隊!』(22)、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23)、『サイレントラブ』(24)、『マッチング』(24)、『誰よりもつよく抱きしめて』(25)など数多くの作品を手掛けている。

アップリンク京都ほか全国劇場にて上映中

公式サイト

北村有起哉
円井わん 岩崎う大(かもめんたる)
大山真絵子 中心愛 / 片岡礼子
岡谷瞳 辻凪子 小松遼太 金野美穂 島田桃依

原案・監督:内田英治
脚本:まなべゆきこ 音楽:小林洋平

プロデューサー:藤井宏二 関口海音 キャスティング:伊藤尚哉 撮影:野口健司 照明:後閑健太 録音:高田伸也
助監督:佐藤 吏 スタイリスト:川本誠子 ヘア&メイク:板垣実和 藤田さくら 制作担当:梶本達希 編集:小美野昌史

VFX:若松みゆき 音響効果:堀内みゆき 宣伝プロデューサー:大﨑かれん
製作:映画『逆火』製作委員会(Libertas/Yʼs Entertainment Factory/DASH/move)

制作プロダクション:Libertas 配給:KADOKAWA
©2025「逆火」製作委員会