9月5日で80歳になる超現役監督ヘルツォーク監督の特集上映『ヘルツォークは80歳になる』アップリンク吉祥寺で開催

9月5日で80歳になる超現役監督ヘルツォーク監督の特集上映『ヘルツォークは80歳になる』アップリンク吉祥寺で開催

2022-06-16 20:30:00

アップリンク吉祥寺で『ヘルツォークは80歳になる』と題した8作品が特集上映される。9月5日が誕生日で80歳になるヘルツォークだが、近年の活動は加速しているようだ。コロナ禍で映画制作が難しい時期には、執筆に励み2冊の本を書き上げた。一冊は、『a memoir of ideas』もう一冊は、フィリピンのルバング島から生還した小野田寛郎情報将校の話を著した『he Twilight World』。小野田寛郎と日本で実際に会っているヘルツォークは、彼の話を映画にしようと考えたこともあるが、それは無理だと判断し書籍にすることにしたという。

今月イギリスのシェフィールドで開催されたドキュメンタリー映画祭では、91年に雲仙岳で亡くなったクラフト夫妻を描いた『The Fire Within: Requiem for Katia and Maurice Krafft』(内なる炎:カティアとモーリス・クラフトへのレクイエム)がワールドプレミア上映されている。さらに、脳の謎めいた性質についてのドキュメンタリー『Theater of Thought』は最近制作を終えたばかりだという。

日本では、岩波ホールの閉館前最後の上映として2019年製作の『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』が上映中である。

1942年にミュンヘンで生まれたヘルツォークは、戦争と貧困に翻弄された波乱万丈の子供時代を過ごした。彼の家族は、ミュンヘンが空襲された後、オーストリアとの国境にある村に移住し、水道もマットレスもない生活を送っていた。ヘルツォークは11歳まで映画を見なかったが、そのことが彼の独特なスタイルを形成するのに役立ったという。
「映画を見たのがあまりにも遅かったので、映画が存在することさえ知らなかった」。

映画を観るようになると『怪傑ゾロ』のようなアメリカのB級映画の魅力に取りつかれ、脚本を書くようになり、19歳で最初の映画『ヘラクレス』を監督。1968年に初の長編映画『サインズ・オブ・ライフ』を監督し高い評価を得た。

最近では、2018年には元ソビエト連邦大統領 ミハエル・ゴルバチョフを取材した『Meeting Gorbachev』、2019年には日本のレンタル家族を題材にしたフィクション映画『Family Romance LLC』を監督している。

この20年間、ヘルツォークはロサンゼルスのローレル・キャニオンにあるバンガローで、写真家のレナと暮らしている。読書と友人のための料理以外にはほとんど趣味がなく、ほとんどの時間を仕事に費やしている完全なワーカーホリックと自称している。

ヘルツォーク本人のカウントによると61年間で70本以上の映画を作ってきており、その飽くなき探究心と好奇心と想像力で、多様なジャンルの作品を制作し続ける秘訣は、最近のニューヨークタイムスのインタビューで語ったところによれば「自分の行動を振り返り内省することを避けるようにしている。私の知識は限られているし、物事にあまり深入りしないほうがいいと思っている。そして、作品を自分の個人的告白として終わらせないこと」という。

今回特集で上映される『アギーレ/神の怒り』『フィツカラルド』などの作風からヘルツォークは「狂人」と思われがちだが、彼の作品の研究者によると「彼が狂人であるという考えは、ありきたりな考えで全く違います。彼は狂気に近いですが、世界とこれ以上ないほど真に深く接しているのです」と評され、ヘルツォーク本人は、「私の映画は私の航海であり、私の書くものは家である」と語っている。

参照記事The New York Times 

ヴェルナー・ヘルツォーク監督

●上映予定作品

『アギーレ/神の怒り』

1973 年ドイツ映画賞最優秀撮影賞他
1972 年/91 分/出演:クラウス・キンスキー

◉16世紀、アマゾンの奥地に黄金郷を求めたスペイン探検隊の実話が原作。最後の峠を越えたところで厳しい自然に阻まれ、食料も底をつき探検隊は内部崩壊してゆく。『タイム』誌が選ぶ<歴代映画100選>の1本に!

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『シュトロツェクの不思議な旅』

1977 年タオルミナ国際映画祭審査員特別賞他 
1976 年/104 分/出演:ブルーノ・S エーファ・マッテス

◉シュトロツェクは刑務所出所後、エーファとシャイツ老と、成功を夢見てドイツから米国に渡るが…。シュトロツェクに『カスパー・ハウザーの謎』のブルーノ・S、エーファに『ドイツ・青ざめた母』のエーファ・マッテス。

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『ノスフェラトゥ』

1979 年ベルリン国際映画祭銀熊賞他 
1978 年/103 分/出演:クラウス・キンスキー イザベル・アジャーニ ブルーノ・ガンツ 

◉クラウス・キンスキー演じる白塗りのドラキュラ伯爵の迫力と、アジャーニの妖しい美しさに息をのむ。『ヒトラー~最後の12日間~』の名優ブルーノ・ガンツが、アジャーニとカップルを演じているのも見もの。

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『ヴォイツェク』

1979 年カンヌ国際映画祭最優秀助演女優賞(エーファ・マッテス)他 
1979 年/77 分/出演:クラウス・キンスキー エーファ・マッテス

◉兵士ヴォイチェックの頭には、しょっちゅう、不思議な声が響いていた。その声に導かれるように彼は…。原作は19世紀に23歳で亡くなった天才ゲオルク・ビューヒナーによる未完の小説。

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『フィツカラルド』

1982 年カンヌ国際映画祭監督賞他 
1981-1982 年/約 157 分/出演:クラウス・キンスキー クラウディア・カルディナ―レ

◉19世紀末ブラジル。稀代のテナー、エンリコ・カルーソーに感激したフィツカラルドが、アマゾンの奥地にオペラハウスを建てようと始めた事とは…。船の山越えシーンが伝説になった途方もないスケールの映画!

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『コブラ・ヴェルデ 緑の蛇』

1988 年ババリア映画祭最優秀作品賞他 
1987 年/106 分/出演:クラウス・キンスキー

◉19世紀初頭のブラジル。フランシスコは農園主の娘に手を付けたため、アフリカに飛ばされた後、奴隷商人コブラ・ヴェルデとなるが、勲功をあげアフリカ総督になる。だが、栄華は続かず、首に懸賞をかけられる身に・・・。

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『問いかける焦土』

メルボルン国際映画祭 1993 グランプリ 
1992 年/仏・英・独/ドキュメンタリー/55 分

◉ワーグナー、シューベルト、ヴェルディ、マーラー、プロコフィエフらの荘厳な楽曲を背景に描かれる湾岸戦争(1991年)のドキュメント。戦火により黒煙を上げる油田地帯、破壊され人気が消えた町、海水のように流れてゆく石油。見知らぬ惑星での出来事のようである。

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『キンスキー、我が最愛の敵』

1999 年サン・パウロ国際映画祭最優秀記録映画賞他 
1998-1999 年/独・英/ドキュメンタリー/100 分
出演:クラウス・キンスキー/ヴェルナー・ヘルツォーク 

◉10代の頃、同じ下宿で暮らしたヘルツォークとクラウス・キンスキーの最狂コンビで作った映画は5本。ヘルツォークは撮影現場で〈キンスキー殺し〉を持ちかけられ、キンスキーに銃をぶっ放されたスタッフもいたとか。凄まじいエネルギーが伝わるドキュメンタリー。


予告編

 

公式サイト

6月17日(金) アップリンク吉祥寺にて公開

配給:パンドラ

©Werner Herzog Film

型破りな世界観が魅力的な映画