『MIRRORLIAR FILMS Season7』メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト

『MIRRORLIAR FILMS Season7』メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト

2025-05-09 19:41:00

クリエイター育成・発掘の短編映画プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season7』

2020年より始動した、伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする『MIRRORLIAR FILMS』(ミラーライアーフィルムズ)は、メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト。
2024年のSeason6までに著名クリエイターから一般公募まで、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した47本の短編映画を劇場公開。
全国の地域と連携して映画製作を通じた地域創生や人材育成に取り組んできたが、2025年以降は、米ハリウッドで開催されているグローバル・ステージ・ハリウッド映画祭とのクリエイター育成に関するコラボレーションを予定しており、日本のクリエイターを世界に紹介するプラットフォームとしても期待されている。

5月5日には都内映画館で完成披露試写会が実施され、加藤浩次監督、加藤シゲアキ監督、雛形あきこ(出演)、正門良規(出演/Aぇ! group)、阿部進之介(プロデューサー)、山田孝之(プロデューサー)、坂本ショーン監督、武⽥成史監督、香月彩里監督が登壇した。

満員御礼での実施となったこの日、愛知県東海市で撮影した『Victims(ビクティムズ)』『SUNA』、一般応募作『ウェディング』『KUTSUYA』『ヒューマンエラー』が上映された。本プロジェクトおプロデューサーの阿部は「二人のW加藤監督作品を柱に素晴らしい濃密な世界がある。色々なテーマのある作品が揃って、オムニバスだからこその個性的な上映になった」と手応え。同じくプロデューサーを務める山田は「それぞれの作品が面白かった。監督をすることでその人がどんな事を考えて表現したいのかが出る。だから面白い」と述べた。

22年来の付き合いのある雛形を招いて『Victims(ビクティムズ)』を手掛けた加藤浩次監督は「雛形とは『めちゃイケ』を22年間やっていたので、裏側の雛形あきこを見ている。その裏側をそのまま脚本に落とし込みました。そう、雛形あきこは人に嫌がらせをする女です!」と仲が良いからこその大毒舌。これに雛形は「どんな切り取られ方するのかわからないんだから、悪目立ちさせるのは本当にやめて!(笑)」と、長い付き合いだからこその掛け合いに会場は爆笑。

改めて加藤浩次監督は「雛形さんが出てくれて現場にいるだけで助かった。僕が作ったというよりも、役者さんがアドリブやエチュードを重ねて作ってくれた」と盟友に感謝しきり。雛形は「加藤さんが監督をやられると聞いて、二つ返事でした。初監督作品に出られるのは幸せ。撮りたいものも明確でした」と監督として尊敬していた。

正門を招いて刑事バディ『SUNA』を手掛けた加藤シゲアキ監督は「僕は脚本を書いてからキャスティングについて考える。出演を頼むときに断られたくないので、断らなさそうなやつにしました(笑)」とニヤリ。加藤シゲアキ作の舞台に出演した経験のある正門は「舞台の際は自分の経験が浅くて心配をかけたけれど、成長しているところを見せたかった」と意気込み十分だった。

ただペーパードライバー歴5年という正門は「運転シーンは助手席に加藤君が乗って。やめてくれ!と思った。よく内容を変えずに突き進んだなと思った」とぶっちゃけると、加藤シゲアキ監督は「やめてくれ、はこっちのセリフだよ!」と爆笑しつつも「目の下にクマを作るために寝ずに徹夜で来てくれた」と正門の本気度に感謝。撮影最終日には「(正門が)楽屋に行ったら死んだように爆睡していた。(正門の)役作りが功を奏して、劇中の緊張感に繋がった」と確信していた。

加藤シゲアキ監督は『SUNA』について「彼は小説を書いているから内容も文学的。現場で考えたというよりも、画作りがしっかりと出来ている人。映画だな!と思った」と絶賛。加藤シゲアキ監督は『Victims』について「最初の編集の段階で30分以上あったと聞きました。それだけ撮れ高が高いのだろうと思った。それを15分に切り詰めたからこそ、独特のテンポ感とコメディ感があった。ほかにはない濃密さがあった」と述べると、加藤監督は脚本執筆の段階で1ページ=1分尺という常識を知らなかったと告白。「それを最初に教えてよ!」と吠える加藤に、山田孝之は「結構、常識なので…(笑)」と苦笑いするしかなかった。

W加藤監督は次回作にも興味津々。加藤浩次監督が「映画は総合芸術だと思ったし、やっていて楽しかった。監督に挑戦したことで裏方の苦労もしたので、これ以降現場で文句を言っていません。僕は今まで態度が悪かったけれど、それが変わった(笑)大きな影響を受けました。56歳にしてそれに気づけたのは大きい」と実感。加藤シゲアキ監督も「10代に映画にハマって脚本を勉強したことがきっかけで小説を書くようになったので、今回原点に立ち返った。改めて映画愛を実感しました」としみじみしていた。

『ウエディング』を手掛けた坂本監督は「才能と実績のあるアーティストの方々とご一緒出来て光栄です。私の映画が観客の皆さんに届いて嬉しく思います」、『KUTSUYA』を手掛けた武田監督は「何ものでもない5人で作った作品がこのような大きなスクリーンで、多くの皆さんに観ていただき光栄です」、『ヒューマンエラー』を手掛けた香月監督は「『MIRRORLIAR FILMS』は夢のあるプロジェクトだと思います」と喜びを噛みしめていた。

 

『SUNA』監督:加藤シゲアキ

イントロダクション

東海市で「砂」によって息苦しく死ぬという奇妙な事件が多発。 発見される気配は⿐や⼝から砂が、内部にまでびっしりと砂が詰め込まれていた。 事件の真相に迫り、捜査を続ける刑事の狭川(加藤シゲアキ)と遠山(正⾨良規)。

加藤シゲアキ監督インタビュー

──今回、『MIRRORLIAR FILMS』にはどのような経緯で参加が決まったんでしょうか。

プロデューサーの伊藤(主税)さんから、共通の知り合いを通してオファーをいただきました。山田孝之さんとは面識があって、直接『MIRRORLIAR FILMS』のお話を伺ったこともあったんです。僕は過去に『渋谷と 1 と 0 と』という短編を一度撮っただけなので、「本当に僕で大丈夫ですか?」という思いでしたね。映画は大好きですが、出演する機会がなくて、ずっと自分の片想いのように感じていたんです。でも『渋谷と 1 と 0 と』を撮ってみて、「もっとこうすれば自分の理想に近づけられるのでは」という課題は見えていたので、また違うチャレンジができるならぜひ、と。

──「SUNA」では加藤さんご自身と、A ぇ! group の正門良規さんが W 主演を務めました。正門さんの主演舞台『染、色』の原作・脚本を加藤さんが担当するなど、これまで親交を深めてきましたが、今回はなぜ正門さんにオファーしたんですか?

『染、色』での正門は、すごく魅力的だったんですけど、真面目すぎる印象があったんですよね。彼が出演した舞台は全部観ているんですが、最近は映画も出るようになり、さらに昨年には A ぇ! group がデビューして、勢いに乗っているなと。以前は先輩後輩の関係性が強かったけど、今はイチ表現者として、正門にやってもらえたら面白そうだなと思い、声を掛けました。僕が演じた狭川が酸いも甘いも知り尽くした余裕のある先輩だとしたら、後輩の遠山は直情的で力強い人間。それは正門の真面目さと合う気がしました。あと、これは勝手なこちら側の都合ですが、役者とコミュニケーションを重ねる時間があまり取れなかったので、僕の監督としての経験値が低い中では、人間性をわかっている人がいいという事情もありました。

──最後に、公開を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
「どうやらホラーらしい」とファンの方々が怯えているそうなんですけど(笑)、驚かしたいとかケレン味で作った映画ではなく、人間に深く迫ったつもりです。気軽に楽しんでもらいたいですね。

 

『SUNA』
監督・脚本:加藤シゲアキ
出演:加藤シゲアキ、正門良規(A ぇ! group)ほか

 

『Victims』監督:加藤浩次

イントロダクション

付き合ってのカップルである昴(矢本悠馬)といすゞ(田辺桃子)は、路上に停まった⾞の中でキスをしようとしていた。さらに後ろの車からは⽇野(奥野瑛太)が激怒しながら出てきてトラブルに巻き込まれていくー。

加藤浩次監督インタビュー

──加藤さんは今回が初監督作品となりますが、もともと映画はとてもお好きだったそうですね。

なんでも観てきましたね。第 1 期は高校時代。映画が好きな親を持つ友達からビデオをいろいろ貸してもらうようになって。第 2 期は、飲み屋でバイトしていたら映画好きの客に「おい浩次、映画好きなのにヒッチコック全部観てないのか?」って言われ、腹を立てて(笑)。芸人として駆け出しで全然仕事がない時期で、バイト終わりに映画を 2、3 本レンタルして帰っていました。フランシス・フォード・コッポラ、デイヴィット・リンチあたりは特に好きです。

──これまでにメガホンを取ろうと思ったことはあったんですか?

具体的に「こういうものを撮りたい」というイメージは全然なかったんですけど、いつか撮りたいとは思っていましたね。僕が映画好きというのを知っていただいていたようで、『MILLORLIAR FILMS』の制作チームからマネージャーにお話をいただいて。「ぜひやってみたいです」とお返事しました。

──『Victims』は一見コメディでありながら、人間を様々な角度から切り取っていて、個人的には「加藤さんがこういう作品を撮るんだ」という驚きがありました。ま
ずどういったところに着想を得たのでしょうか。

実際に、パーキングエリアで他の車が邪魔で出づらいという経験を何度かしていて。「邪魔くせえな」とイラッとするじゃないですか。そういうシチュエーションでどういうドラマが生まれるか、というところから考えていきました。揉め事って、片方が明らかに悪くても、俯瞰で見ると実は悪くなかったりすることってよくありますよ
ね。でも本人は「自分は間違っていない」と強く信じ込んでいたり。世の中で善悪をはっきりと決めようとすることに、違和感がずっとあって。正義を謳っていても人を傷つけている場合もある、という関係性を描いてみたかったんです。

 

『Victims』
監督・脚本:加藤浩次
出演:矢本悠馬、田辺桃子、奥野瑛太、嶋田鉄太、雛形あきこ

 

『ウエディング』監督:坂本ショーン

イントロダクション

近未来のアメリカ、砲撃の鳴り響く防空壕には結婚式を終えた息子を持つ父親が二人。ウィリアムの父がイチゴを買った理由を「ベンのいい物だった」と語ると、ベンの父は「ベンがイチゴを好きなことは知らなかった」とこぼす。

 

『ウエディング』
監督・脚本:坂本ショーン
出演:リチャード・カインド、スキップ・サダス

 

『KUTSUYA』監督:武田成史

イントロダクション

詐欺や不倫、作品の詐欺行為を日常的に行っている男(尾本卓也)は、とりあえずデートへ向かおうとしていた。 しかし道端で強力な粘着剤の付いた板を踏んで靴が取れてしまう。

 

『KUTSUYA』
監督:武田成史
出演:尾本卓也、武田成史

 

『ヒューマンエラー』監督:香月彩里

イントロダクション

「財布を落としてしまった」と妹から電話がかかってきた兄はすぐになけなしの3万円を振り込むが、それは妹本人の声ではなく「AIオレオレ詐欺」だった。 無職になった兄はAIには絶対にわからない合言葉を作るというアルバイトを始める。

 

『ヒューマンエラー』
監督・脚本:香月彩里
出演:大重わたる、エリザベス・マリー、香月彩里

 

アップリンク吉祥寺 アップリンク京都ほか全国劇場にて公開

ほか上映館はこちらから

公式サイト

製作:伊藤主税 阿部進之介 山田孝之 関根佑介 松田一輝
支援:東海市
プロデューサー:大橋和実 川原伸一 榊原有佑 下京慶子 三輪夕奈 西原一憲 制作:and pictures 宣伝:ローソンエンタテインメント 配給:アップリンク
©2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT