『未完成の映画』上映後トークイベント

『未完成の映画』上映後トークイベント

2025-05-03 22:31:00

ロウ・イエ監督最新作『未完成の映画』の公開を記念し、本日5月3日(土)に音楽評論家でラジオDJの関谷元子氏が登壇した。
「ミュージックビデオを見ながら、映画『未完成の映画』を音楽的視点から捉える」をテーマに劇中歌について語った。
関谷氏は、2023年に公開されたロウ・イエ監督作『シャドウプレイ【完全版】』以来、今回で2度目の登壇となる。
ロウ・イエ監督が劇中で使用する楽曲とは一体どのようなものなのか。
ミュージックビデオをスクリーンに投影しながらのトークイベントは、半数以上が中国からのお客様となった劇場は満席となり賑わいをみせた。

『未完成の映画』の劇中で使われた4曲を紹介

1曲目:朴樹/那些花児 プーシュー/あの花(1999年)



劇中映像使用されたロウ・イエ監督作『スプリング・フィーバー(2009)』の劇中歌

朴樹のデビューアルバムである『我去2000年』(「僕は2000年に行く」)に収録され、大ヒットとなった曲。プーシューはこのアルバムを出した時に俳優としてもデビューしており、『あの時花が咲いたよ』という映画を撮っていた。
関谷は「監督はコウギョウショウという音楽関係の人でバンドもやっていた人なのですが、彼が監督をして、そして共演したのがなんとジョウシュンとの作品。だから最初は期待はされていましたが、上映が許可されず、許可されたのが2002年。そんなこともロウ監督の頭の中にあったのかなとも思いました」と語った。

 

2曲目:李昕融/听我说谢谢你 リーシンロン/聴いてくれてありがとう(2019年)

武漢の制限が解除されるシーンで使用

リーシンロンが9歳の時の楽曲。音楽家の父親が作曲した楽曲。

「実際この曲は、コロナ禍の中国でもの凄くかかったそうです。本当にこの歌はいい歌だと思います。時々中国では、簡単なメロディーで可愛い曲が全国的にもの凄くヒットする曲が出てくるのが私は面白いなと思います」と感想を述べた。

 

3曲目:シャオ・リーベイ、リー・ジー/黄昏(2011年)

本編最後のシーンに歌詞付きで流れる曲

女性シンガー・ソングライターのシャオイーベイのセカンドアルバム『灰色人種』に収録され、男性シンガー・ソングライターのリージーとのデュエット。曲が流れた後関谷は「ロウ・イエ監督の選曲の妙と言いますか、毎回唸るような選曲をなさって、今回もそのように思いました」と語った。

 

4曲目:要不要買菜/火日朗 ヤオプヤオマイツァイ(野菜買わない?)/紅い花、サリラン(2019年、カバー)

武漢の仮設病院で医療従事者と患者が踊るグループ・チャットや新年バカ騒ぎの映像シーンと、エンドロールで使用

内モンゴル自治地区のモンゴル族のウラントゥヤという女性シンガーが2012年にリリースした曲が原曲。

関谷は「このシーンは本当に救われるシーンだったと思います。世界中の人たちがみんな苦しんだコロナ禍で、この方達の逞しく、そしてロウ監督がこの音楽をここに入れたというのは凄いなと思いました。最後に人間の素敵なところを見せてもらったなと思いました。音楽的視点でもう一度この映画を見ていただくと違った印象を受けるかもしれません」と締め括った。

 

『未完成の映画』はアップリンク吉祥寺、アップリンク京都ほか絶賛公開中。

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