『プレゼンス 存在』幽霊視点で1シーン1カットをソニーのα9IIIで撮影したソダーバーグ監督最新作
『プレゼンス 存在』の監督は、スティーブン・ソダーバーグ。
彼は監督であり、撮影監督も行う。『オーシャンズ11』 (2001年)では、ハリウッドの組合規定があるため、ピーター・アンドリュース名義で撮影監督としてクレジットされている。
また、日本では未公開でパッケージで発売された『アンセイン 〜狂気の真実〜』は、iPhone 7 Plusを使用して全編を撮影された。
そんなソダーバーグが、今回、監督と撮影監督を務めた本作では、幽霊視点での撮影をミラーレス一眼レフカメラ、ソニーのα9III(約90万円)で行った。
企画の発端は、ソダーバーグ監督がロサンゼルスに引っ越した時に経験したことによるという。
「私と妻が引っ越してくる前、その家で誰かが亡くなっていて、噂によると死んだのは母親で娘に殺されたという。私たちはこの家を購入したときからそのことを知っていたんだけど、それ以来、時折"あの電気、消したっけ?"といった奇妙な感じがあった。でも怖くはないし、気にしてもいなかったんだ」。
全編1シーン1カット、幽霊目線で撮影された本作は、暗闇の映画館での鑑賞を想定して作られた映画なので、ぜひスクリーンで鑑賞してほしい。
また、インディーズのフィルムメーカーには、一軒家だけでの限られたロケーション、そして民生用カメラでの撮影はきっと参考になるはずだ。(TA)
イントロダクション
映画全編「幽霊」目線!
スティーヴン・ソダーバーグ監督が挑んだ新感覚エモーショナルホラー
『トラフィック』にてアカデミー賞®4部門を制覇し、第一線で活躍し続けるスティーヴン・ソダーバーグ監督。大人気シリーズ『オーシャンズ』3部作、新種ウイルスが感染拡大し人類を脅かす恐怖を描いた『コンテイジョン』など、幅広いジャンルの作品を手掛けてきたソダーバーグ監督が初めて挑戦したホラー作品が本作だ。
『ジェラシック・パーク』『ミッション:インボッシブル』ほか映画史に残る数多くの名作を手掛けた脚本家デヴィッド・コープとタッグを組み、今までに見たことのない新感覚ゴースト・ストーリーを創り上げた。
2024年サンダンス映画祭でプレミア上映され、アメリカの気鋭スタジオNEONが配給権を獲得。1月24日から全米公開され、現在スマッシュ・ヒット中。
ストーリー
“それ”は、一家が引っ越してくる前からそこにいる。
“それ”は人に見られたくない家族の秘密を目撃する。
母親にも兄にも好かれていない 10 代の少女クロエに異常なまでに親近感を持つ。
彼女に何かを求めているのか、いや、必要としているのか。
家族と一緒に過ごしていくうちに、“その存在”は目的を果たすために行動に出る。
スティーヴン・ソバーダーグ監督インタビュー
――一人称のショットは本作の大きな特徴です。これは監督のアイデアで脚本のデヴィッド・コープに指示したものですか?
そう、もし私がその“存在”なら何を見るだろう?って最初からあったアイデアだね。
絶対的な確信としてあったのは、通常の語り口になると成立しないということだった。
VRが長編物語として成立しないのは、私たちがその逆を見たいという本能的な欲求があるからだ。私たちは傍にいる登場人物の反応を見たい。登場人物が何を感じているのか解らないならそれは映画ではない。
しかし本作では、自分が築き上げた構想を壊している。本作で私が唯一正当化したことは、「もしこの作品で“逆”をやったら、観る価値はなくなるだろう」ということなんだ。
――本作はキャスティングが素晴らしい。あなたの長年の仕事仲間でもあるキャスティングのカルメン・キューバは、(「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シリーズでそうであったように) 若き才能を探すことに長けています。本作におけるティーンズのキャスティングや役作りは非常に重要な部分ですね。
まさに。私には素晴らしい脚本があり、キャスティングに関してはカルメンとの数十年来の付き合いのおかげで上手くいった。
彼女は私が何を好み何を好まないかをよく理解している。脚本ではあまり強調されなかったが、この映画にとって重要なのは、登場人物たちが"同質化"することに執着し続けているということだ。
だからこそ、家族の絆はとても複雑で脆い。キャスティングはそれを反映する必要があり、カルメンはそれを理解していた。
私たちは母親について話していて、カルメンは ルーシー・リューを提案してくれた。私はルーシー・リューが大好きなんだ。まず母親役には彼女を想定してから他を決めていった。
スティーヴン・ソダーバーグ監督プロフィール
脚本家、監督、プロデューサー、撮影監督、編集者と多彩な顔をもつ。監督を務めた近作に、ともにHBO Maxで公開された『クライング・ゲーム』(21)、『KIMI/サイバー・トラップ』(22)、『マジック・マイクラストダンス』(23)などがある。2001年、監督を務めた『トラフィック』(2000)で米アカテデミー賞を受賞。さらに同年、『エリン・ブロコビッチ』(00)でも同賞にノミネートされた。これ以前に、自身の初監督作であり、脚本も書いた『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)で米アカデミー賞最優秀脚本賞にノミネートされた。また同作は、1989年カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。
アップリンク吉祥寺 ほか全国劇場にて公開
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:デヴィッド・コープ
出演:ルーシー・リュー、クリス・サリヴァン、カリーナ・リャン、エディ・メデイ、 ウェスト・マルホランド
2024 | アメリカ | 84 分 | 英語 | カラー | 1.78 ビスタ | 音声 5.1ch | 原題 PRESENCE | 字幕翻訳 中沢志乃 | 協力 アマイプロダクション 配給 ロングライド PG-12
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