『デュオ 1/2のピアニスト』自由の効かない両手で、二人はどうソリストの夢を叶えたのか―。

『デュオ 1/2のピアニスト』自由の効かない両手で、二人はどうソリストの夢を叶えたのか―。

2025-02-26 08:00:00

ピアノのソリストを目指す双子の姉妹の物語。二人は幼い頃から楽しみながら、そして切磋琢磨しながら、同じ夢を追いかけてきた。しかし、ソリストの夢がもう目の前という矢先、二人とも徐々に両手が不自由になる遺伝性の難病に罹っていることが発覚する。

双子の娘を世界”一”のピアニストに育てるため、二人の両親は全力でサポートをしていた。父親はかつては地元の潜水の記録保持者で、絵を描くことが好きな母親はパリでファッションに携わる仕事をするのが夢だったが、娘たちをドイツの名門校に通わせるため、フランスとの国境にほど近い町に住み、父はこれまでしてきた仕事を辞めた。

家が雨漏りしても、娘たちの学費のために修理はしない。父が読む新聞にも、母の描く絵にも、ぽたっと水滴が落ちてくる。一瞬顔をしかめるが、ぐっと堪える。

ここまで熱心であると、それは父が自分の夢を子どもたちに押し付けるということであったり、母の見栄のために娘たちを成功させようとすることであったりするが、この家族は何かが違う。きっと、この家族をつなぐものは、絆というようなあやふやなものではなく、ただひとつ、音楽という四人に共通するよろこびなのだろう。

難病のために通院する姉妹に医師が話す。「無限にある選択肢の中から、自分でも驚くべき発見ができる」。過去の栄光も、叶わなかった夢も、現在地から見れば同じことなのかも知れない。平坦な言い方しかできないが、これから何ができるか、出発点はいつもここにあるのだということに気づく。

自由の効かない両手で、二人はどうソリストの夢を叶えたのか。緊張感と疾走感のある音楽とともに、苦難を塗りかえていくこの物語に、背中を押される人はきっと多いはずだ(MO)

イントロダクション

夢を絶たれた天才ピアニストの双子姉妹が、ある“ひらめき”によって生み出した唯一無二の奇跡の旋律―。

本作は、実在する双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹の数奇な運命と人生をモデルに『コーダ あいのうた』(22)『エール!』(14)『ふたりのマエストロ』(23)をプロデュースしたフィリップ・ルスレによる、実話をもとにした新たな感動のドラマ。

日本でも来演経験のある天才ピアニストの双子に降りかかったのは、ピアノが弾けなくなってしまう難病だった。絶望の淵に立たされた2人は成し遂げなければならない夢を掴むため、唯一無二の演奏方法を生み出す。

主演の双子にはNetflixドラマシリーズ「エミリー、パリへ行く」の人気キャラクターを演じるカミーユ・ラザと、映画初出演のメラニー・ロベール。監督は、短編“216mois”で2014 SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)審査員大賞にノミネート経験のある、フレデリック・ポティエとヴァランタン・ポティエが、親子監督として長編デビューを飾る。

ストーリー

双子の姉妹クレールとジャンヌは、幼い頃からともにピアノに情熱を注いできた。

父親からアスリートのような指導を受け、名門カールスルーエ音楽院に入学する。

ピアノのソリストを目指し、二人のキャリアを左右するコンサートのオーディションに向けて練習に励む日々。

しかし、彼女たちは両手が徐々に不自由になる難病にかかっていることを知る。

最悪の事態に直面しながらも、改めてピアノが人生のすべてであり、かけがえのない大切な存在だということに気づく。

そして、絶対に叶えたい夢を二人で掴み取るため、家族に支えられながら、自らの運命を変えていくー。

フレデリック・ポティエ&ヴァランタン・ポティエ監督プロフィール

短編映画『216mois』で世界最大級のクリエイティブ・カンファレンスイベントSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)にて、2014年審査員大賞にノミネート。監督であり脚本家でもある2人は親子で映画製作を手掛け、本作で見事な長編デビューを飾る。

アップリンク吉祥寺 ほか全国劇場にて公開

公式サイト

監督:フレデリック・ポティエ&ヴァランタン・ポティエ

出演:カミーユ・ラザ、メラニー・ロベール、フランク・デュボスク、イザベル・カレ、エリザ・ダウティほか

提供:フラッグ/シンカ 配給:シンカ/フラッグ

2024 | フランス | 109 分 | カラー | ビスタ|DCP | 5.1ch | 字幕翻訳 星加久実 |G

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