『ドライブ・イン・マンハッタン』ヒット映画を楽しむ5つのトリビア
『ドライブ・イン・マンハッタン』公開後映画はスマッシュヒットで、アップリンク吉祥寺では週末は2回上映が満席となっている。
映画の楽しみ方のトリビアとして5つ挙げてみました。
その1【タイトル:原題と邦題】
原題は、『DADDIO』その意味は、「おまえ」「あんた」「おじさん」という口語。さすがに映画のカタカナ読み『ダディオ』では日本では伝わらないということで、邦題が『ドライブ・イン・マンハッタン』となったのだろう。
その2【タクシーの走行ルートと定額制】
映画は、JFK空港からマンハッタンの44丁目9番街と10番街へ(ヘルズ・キッチン地区)、オクラホマの実家から戻ってきたダコダ・ジョンソン演じる女性は、ショーン・ペン運転するタクシーに乗車する。
ちなみにGoogleマップで調べると自動車で30分ほど。映画は90分で、タクシー内のシーンが70分ほどとすると、事故渋滞で通常より40分ほど時間がかかっていることになる。
ニューヨークのJFK空港からマンハッタンへのタクシーは定額制で70ドル+チップとなる。定額制なので、途中で自動車事故で高速が渋滞していても、客のダコダ・ジョンソンはメーターを気にしなくてもいい。ちなみに日本では羽田空港から渋谷区内へ定額で7800円だ。
その3【邦題は正確には”イン”ではなく”トゥ”ではないのか】
タクシーは地図のように最後にマンハッタンにつくので、正確には『ドライブ・トゥ・マンハッタン』なのだが、その辺りは、宣伝の考えがあってだろう。そこをAIに聞いてみると次のような答えが返ってきた。
ご指摘の通り、映画の内容を考えると「ドライブ・トゥ・マンハッタン」の方が物語の流れをより正確に表現していると言えます。しかし、邦題が「ドライブ・イン・マンハッタン」となっている理由はいくつか考えられます。
・マーケティング戦略
「ドライブ・イン・マンハッタン」というタイトルは、マンハッタンという都市の雰囲気や、車内での親密な会話という映画の本質を巧みに捉えています。
・意図的な曖昧さ
「イン」という言葉を使うことで、マンハッタンの中での出来事という印象を与え、都市の雰囲気をより強調しています。
・音の響き:
「ドライブ・イン・マンハッタン」は、音の響きが良く、覚えやすいタイトルになっています。
その4【LEDスクリーンでの撮影】
撮影は16日間、サウンドスタジオにセットが組まれ、タクシーの車両の周りはブルーバックではなく、LEDのスクリーンにマンハッタンの風景が映しだし9台のカメラで撮影した。この撮影方法は、同じくタクシーを舞台にした映画『パリ・タクシー』と同様の方法だ。
その5【ダコダ・ジョンソン演じる女性が住むヘルズ・キッチンとは】
ヘルズ・キッチンは、かつては治安が悪く「アメリカ大陸でもっとも危険な地域」とされていたが、1990年代以降は治安が改善し、現在では多国籍のレストランやバーが集まる活気あるエリアとして知られている。特に9番街沿いには多くの飲食店があり、観光客にも人気がある地区だ。
映画では、ショーン・ペン演じるタクシードライバーは、昔の治安の悪いヘルズ・キッチン育ちで今は郊外のジャクソンハイツに家を持っている設定。プログラマーのダコダ・ジョンソンは、今の流行のレストランが並ぶヘルズ・キッチンに住むという設定で、ニューヨークをわかる人には、わかるエピソードとなっている。(TA)
イントロダクション
ダコタ・ジョンソン×ショーン・ペン
2世代スターキャストが贈る、ワンシチュエーション劇の珠玉作!
『ミスティック・リバー』(03)『ミルク』(08)で2度もオスカーに輝き、世界三大映画祭のヴェネチア、カンヌ、ベルリンで主演男優賞を受賞した名優ショーン・ペン。そして、『フィフティ・シェイズ』シリーズで注目され、現在ではインディペンデント作品からマーベル作品『マダム・ウェブ』(24)とジャンルにとらわれない活躍を見せるダコタ・ジョンソンが、本作で共演する。
ほぼ全編が車内での運転手(ショーン・ペン)と女性客(ダコタ・ジョンソン)との対話で構成され、カメラが写すのは2人の上半身と顔のアップ、そしてバックミラー越しに写る瞳だけ。回想はなく、別の場所で起こるイベントもインサートしない、完全なるワンシチュエーション劇となっている。細やかなリアクションとセリフ回しだけで心の旅を表現できるのは、プライベートでも友人だという名優たちの絆があってこそなのだ。
ストーリー
夜のニューヨーク。
ジョン・F・ケネディ空港から一人の女性がタクシーに乗り込んだ。
シニカルなジョークで車内を和ます運転手と女性はなぜだか波長が合い、会話が弾む。
聞けば運転手は二度の結婚を経験し、幸せも失敗も経てきた。
一方プログラマーとしてキャリアを築いてきた女性だが、恋人が既婚者であることを運転手に容易に見抜かれてしまう。
もう二度と会うことのない関係だからこそ、お互いの本音を打ち明けていく二人。
他愛のないはずだった会話はやがて予想もしなかった内容へ発展し、女性は誰にも打ち明けられなかった秘密を告白し始める・・・
クリスティ・ホール監督コメント
この映画は多くのテーマに触れていますが、私が最も情熱を注ぐのは、特にニューヨークのような場所における人と人とのつながりの力です。
街中のあらゆる階層の様々なカラフルな人々と持つ交流そのもの。ニューヨーカーたちは、互いにただ話すと言う行為から生まれる発見に驚きたいのだと思います。
しかし現代では、口の悪いニューヨークのタクシー運転手とおしゃべりをするというユニークな体験は、紛れもなく大昔の時代の出来事になりつつあり、この作品はある意味でタイムカプセルと言えるようなものかもしれません。
これは、世界の誰もが共感できる小さなストーリーです。自分とは異なる考えを持ち、異なる話をし、異なる行動を取る人と繋がりを持つということ自体、消滅しつつありますが、その人に寄り添い、耳を傾けることを厭わなければ、赤の他人があなたの人生を変えることができるのは確実なのです。
クリスティ・ホール監督プロフィール
劇作家としてニューヨークに拠点を構えていたが、執筆した『ドライブ・イン・マンハッタン』の脚本が脚本家専門サイトThe Black Listのトップ3に選出され、2017年にロサンゼルスに拠点を移す。バラエティ紙の「2018年に注目すべき脚本家10人」に選出され、その後、NETFLIXシリーズ「ノット・オーケー」(20)の脚本、製作総指揮、共同製作を手掛けた。2024年、本作で長編監督デビューを果たす。最新作はブレイク・ライヴリー主演『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』の脚本を担当。今後のプロジェクトには、スティーヴン・キング原作「トム・ゴードンに恋した少女」の映画化や、ニューヨーク・タイムズ紙No.1ベストセラーの映画化『The Husband's Secret(原題)』など待機作多数の注目の新鋭。
監督・脚本:クリスティ・ホール
出演:ダコタ・ジョンソン、ショーン・ペン
撮影:フェドン・パパマイケル
日本語字幕:神田直美
配給:東京テアトル
提供:東北新社
2023年/アメリカ/英語/100分/シネスコ/5.1ch/カラー/原題:Daddio
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