『ここにいる、生きている。〜消えゆく海藻の森に導かれて〜』海が砂漠になってしまうってどういういこと!?
「海の砂漠化」という言葉を初めて聞いた。
海底は砂だけになり、そこに生える海藻がなく、海藻を住処とする生物もいなくなるということだという。
原因は地球温暖化、温暖化の原因は大気中に二酸化炭素が増えていること。それは映画でも説明されるがデータ的事実で疑いのようのないことだ。
人間の体温が、平常時より一度高くなり、37度台になると体に変調が起きる。それが2度高くなり、38度台になると熱にうなされ横になるしかない。
海も人間と同じなのだ。平均温度が1度、2度高くなるだけで、生態系に変化が起きる。
本作は、その生態系の変化の一つとして「昆布」に焦点をあてた映画だ。
長谷川友美監督は、地元のサーファーから海藻が海から消失する「磯焼け」が起きているという話を聞いた。そこで監督の好奇心が湧き、撮影のためにスキュバーダイビングの免許もとり全国の海岸をタイトル通り、消えゆく階層の森に導かれていくのだった。
ドキュメンタリー映画の面白いところは、知らないことを映画を通して、体感でき、知ることができるることだろう。
アップリンク吉祥寺での上映には連日専門家の方のトークショーがつき、映画のテーマを立体的にさらに知ることができるので、ぜひ映画館でご覧ください。(TA)
【上映後トーク開催決定】
1月10日(金) 11:20の回上映終了後
登壇者:熊谷直喜(国立環境研究所気候変動適応センター 主任研究員)、長谷川友美監督
1月11日(土) 11:20の回上映終了後
登壇者:茅根創(東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 教授)、長谷川友美監督
1月12日(日) 11:20の回上映終了後
登壇者:桑江朝比呂(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合理事長)、長谷川友美監督
1月13日(月祝) 11:20の回上映終了後
登壇者:新井章吾(海藻研究所所長)、長谷川友美監督
1月14日(火)~16日(木) 18:20の回上映終了後
登壇者:長谷川友美監督
イントロダクション
私たち世代の選択が、未来を変える。
海の異変を学び、これからのヒントを探す旅へ。
海のゆりかごとも呼ばれる海藻。その海の命を育む「海藻の森」が、ここ数年、全国各地の海で急速に砂漠化している。このままでは、海の生態系全体の存続が危ぶまれる。地球温暖化が肌で感じられ、気候変動が刻々と進む今、私たちは「どんな未来」を次の世代へと手渡してゆくのか。海とゆかりのなかったひとりの映画監督が、何かに 突き動かされるように日本列島の沿岸部に足を運び、そこに住む子どもたち、漁師、研究者と語り合った。海辺に住む人も、海のない街に住む人も、日本に住むすべての人必見のドキュメンタリー。
【海の砂漠化って何?】
日本の海岸には、コンブやワカメなど、約1500種類もの多様な海藻が生息しているといわれています。海の砂漠化とは、海中に広がる「海藻の森」が減少し、まるで砂漠のような状態になってしまう現象のことです。別名「磯焼け(いそやけ)」とも言われます。
ストーリー
「海が死んでいる」
東京から海辺の街へ移住した私は、ある日地元のサーファーがこう話すのを耳にした。磯から海藻が消失する〈磯焼け〉が起きているという。私は驚きの気持ちを抑えきれず、日本各地の海岸を巡りはじめた。
四方を海で囲まれている島国、日本。昔から私たちは豊かな自然の恵みに感謝し、自然を敬いながら暮らしてきた。しかし現在〈気候変動〉の影響は日本の海にも確かに降りかかり、とりわけ〈海藻〉とそれを取り巻く人々の暮らしを壊滅的な状況に追い込んでいる。
日本人にとって海藻は特別な存在だ。海藻ははるか昔から歴代の帝への献上品であり、また地域の神事や和食文化とも深く関わってきた。海藻を失うことは、私たち日本人が千年以上にわたって紡いできた文化を失うことでもある。私たちはいかにして豊かな海藻の森を取り戻し、次世代につないで行くことができるのか。地球規模で急速に進行しつつある気候変動に対して、今を生きる私たちがどうアクションしていくべきかを問う。
長谷川友美監督メッセージ
身近な海に起きている大きな変化を知ったことがきっかけで、今回の旅が始まりました。今まで全く海と関わりのなかった私が、何かに導かれるように日本各地をめぐり、海に潜り、たくさんの人たちと出会いました。私が2年間の制作期間を経て心から思うのは、この世界はまだとても美しく、人々はとても温かく、たくさんの可能性が残されているということです。私達は自然の一部であり、歴史の一部であり、答えのない未来を共に作り上げていく仲間でもあります。この映画が皆さんの未来の選択に少しでもお役に立てたら、こんなに幸せなことはありません。
長谷川 友美監督プロフィール
1982年生まれ、東京出身。邦楽演奏家の両親の元、幼い頃から舞台や芸術に親しむ。日本大学芸術学部で映画制作を専攻したのち、撮影監督としてキャリアをスタート。撮影を担当した短編映画「かの山」は第 78 回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ短編部門にノミネートされた。2021年、ドキュメンタリー映画「The Taste of Nature 世界で一番美味しいチョコレートの作り方」で初めて監督を務め、カナダの PRPLForkFest 映画祭にて最優秀賞長編ドキュメンタリー賞を受賞。2021 年東京国際映画祭でも公式上映された。今作が監督2作目である。一児の母。(撮影:Jim Bingham)
アップリンク吉祥寺(1/10金〜) アップリンク京都(1/31金〜) ほか全国劇場にて公開
監督・撮影・編集・ナレーション:長谷川友美
音楽:イアン・ハートリー
プロデューサー:大野裕子、大野康介
製作:株式会社No.0
配給宣伝:one’s(一般社団法人映像文化革新機構)
宣伝協力:安藤亘(ECOS技術士事務所)
後援: 国立環境研究所 /ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
北海道函館市/港湾空港技術研究所/神奈川県逗子市
文部科学省選定(青年・成人・家庭向き)
2024年|1:1.85|103分|5.1ch|DCP
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