『SUMCUP』3監督9作品を毎日違うセットリストで上映
アップリンク吉祥寺では、現在2つの短編上映企画が上映中だ。
『ミラーライヤーフィルムズ:シーズン6』は、浅野忠信、小栗旬が監督する短編に、3本の公募から選ばれた作品を加え、計5作品の上映。
そして『SUMCUP』は須藤しぐま、芝暢佑、哲太郎、若手3監督がそれぞれ3作品、合計9作品が日替わりで、12通りの組み合わせで上映されている。3人の全作品は合計6時間以上あるので、最低でも3日間映画館に通わなければ全貌を見ることができないという企画だ。
すでにいくつものインディーズ作品の撮影監督の経験を持つ1988年生まれの須藤しぐま。実験的な手法と感性を爆発させる1995年生まれの芝暢佑。自身モデルとしても活躍する2001年生まれの哲太郎。3監督全9作品は、カラー、白黒、スタンダート、シネスコなど画角も様々だが、共通するのは撮影監督が須藤しぐまということだ。ただ、9作品のルックに共通するものは全くなく、フリースタイルで撮られた映像はどれも瑞々しい輝きを放っている。
初日の舞台挨拶で、芝監督は「観客のことを考えずに撮った」という。その言葉をポジティブに捉えるならば、商業映画の縮小版的な企画が多いインディーズ作品の中で、9作品に共通するのは、自己表現の塊であり、映像制作の挑戦であり、実験的であり、フリーフォームの作品群の中に、作り手の意欲が生の形で現れている。
この上映は、上映企画が先行してあり、今回上映する作品が最後に出来上がったのは12月に入ってからだ。産地直送の生な状態での上映スタイルである。劇場サイドの視点で言うならば、「映画館のライブハウス化計画」である。上映作品はもちろん、上映順によって、見る側の映画鑑賞体験は毎日の上映では異なる。
3監督9作品を毎日違うセットリストで上映する『SUMCUP』をアップリンク吉祥寺で体験してほしい。(TA)
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アップリンクでは、短編・中編作品の上映も積極的に行っていきます。お問い合わせは、hensei@uplink.co.jpまでお寄せください。
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イントロダクション
特集上映企画 “ニューノーマルな邦画たち”
須藤しぐま、芝 暢佑、哲太郎、若手映画監督3名による撮り下ろし最新作9作品一挙上映
この度、日本の映画業界を変えるため、新しい表現にチャレンジし「誰にも求められていなくても撮りたい作品を撮り、それが新しい映画を目にするきっかけになって欲しい」そう言って奮闘する若手作家を応援しようと、作家としての世界観を大事に、特集上映を12月13日(金)より2週間限定公開。
こうした企画テーマに賛同した俳優陣として集まってくれたのは演技派の若手俳優ほか、主要キャストとしての映画出演に挑戦する武井壮はじめ、東京国際映画祭コンペ部門に正式出品されたことも記憶に新しい『雨の中の慾情』ヒロインの中村映里子、『赦し』で圧倒的な存在感を見せた松浦りょうほか。
音楽でも韓国人アーティストのJean ChiracやナカコーことKoji Nakamura(ex.SUPERCAR)ら異色の顔ぶれたち。
誰かに指示されたり選ばれたわけでもない、作家のやりたい熱を好きに爆発させた新しい特集上映企画が誕生しました。
SUMCUPとは…
SUM=合計=Σ(シグマ)記号で表されるように撮影監督・須藤しぐまによって集まった、日本の映画業界を変えるため新しい表現にチャレンジする作家たちを集めた(SUM)ものでもあり、仲間内の賞杯(CUP)の意味も含みます。
【上映作品】
須藤しぐま監督作品『PERCH』『DUNCE』『POTOF』
『PERCH』(2024年/日本/47分)
出演:三村和敬、仁科かりん ほか
便利屋で働く時田は、ある日を境に悪夢ばかりを見てしまい、不眠症になりつつある。そんな生活の中、依頼者の有馬と出会う。彼女の不思議な空気感を感じながら、いつものように仕事をこなしていると、どこか惹かれる椅子を見つける。不用品として処分を任されている品だが、時田はその椅子をじっくりと観察する…
『DUNCE』(2024年/日本/36分)
出演:結城あすま、秋月三佳、朝日奈まお、安野澄 ほか
桐原はかつて好意を抱いていた女学生、悠美が同級生に弄ばれるのを前にし、何もできずに居た。悠美はその辛い事実に耐えられず自ら死を選んでしまう。
時は流れ、桐原は美術館の学芸員として穏やかに暮らしているかに見えたが、何かが「普通」とは違う。桐原にとっての生きがいは、もうこの世にはいないはずの悠美が慰めてくれる時間だけだった…
『POTOF』(2024年/日本/36分)
出演:中村映里子、武井壮、樫尾篤紀、藤ノ水敦士、武内祐士 ほか
女が目を覚ますと、男が3人、女の前に立っていた。
4人は全く身に覚えの無い場所、面識のない人、 外に出ようにも出れないその空間の中で、 人間の本質が試されていく。
日ごとに消えていく男。そして最後に残った男と女の運命は?
芝暢佑監督作品『失楽園』『楕円形の肖像』『羊』
『失楽園』(2024年/日本/89分/モノクロ/スタンダード)
出演:小川未祐、佐々木伶 ほか
雇われ探偵としてうだつの上がらない日々を過ごす青年は、ある日とある依頼主に、妻の調査を頼まれる。不倫疑惑のある妻の本性を暴く為、妻の尾行を開始するが、あっさりと見失ってしまう。「何か御用ですか」背中から聞こえてきた気品のある声の持ち主は、依頼主の妻だった。何故か調査に協力的な妻に同行する青年は次第に、彼女の魅力に引き込まれていく…
『楕円形の肖像』(2024年/日本/15分/カラー/スタンダード)
出演:古館真実、佐々木伶、佐々木ありさ(ナレーション)
物語は、カインとアベルの二人の映像作家が、28歳で自殺した“エゴン”という無名の前衛芸術家の現存する8ミリフィルムを発見することから始まる。
彼らは、芸術家の暮らしていたアトリエにて、“楕円形の肖像”にまつわる膨大な創作メモと、作品の説明書きを入手した。
二人は、それらに深い感銘を受け、映像作品と芸術家の創作過程をより的確かつ明瞭に世に発表するため、モデルによるフィクションの追撮影を繰り返し、全てを再編集した後、一本の短編映画として公開することにした。
『羊』(2024年/日本/19分/カラー/スタンダード)
出演:小川未祐、苑恵
ある人間の心の中に、アニマがいる。 絶えず形を変え、邪悪さや愛が元型となって現れる。
無意識的に、神智学的に、遺伝子的に。
ある日、記憶の奥深くに、棲みついている兄弟と出会う。古い書物で聴いたような名前をしている。
現実で見た数多の事物が、心の世界に影響を与えている。自意識は兄弟に誘われ、森の中を彷徨っていく。
哲太郎監督作品『HYANG-SU』『The left chair』『monday In Sunday』
『HYANG-SU(ヒャンス)』(2024年/日本・韓国/38分)
出演:松浦りょう、上野凱、三村和敬、岡本ゆい、サトウヒロキ、竹田百花、佐伯葉、高野将大 、栗原颯人、本田カズ、佐々木怜、平井佑人、岩田将克、金丸尭暉 ほか
窃盗症を患う栞里は、夜間のコンビニで働いている。ある晩。バイト先の店長による痴漢をきっかけに、勤務中のコンビニを後にしてしまう栞里は、夜の街で衝動的に窃盗を繰り返す。丸子橋で落ち着いたはずの栞里だったが、橋の上にいた青年、洸から金品を盗もうと試みるも、失敗に終わってしまう。“偶然の再会”をきっかけに腹痛を装った栞里は、洸宅へと足を踏み入れ金品を盗もうとする栞里だったが、洸の純朴な姿勢に段々と惹かれていくのだが…
『The left chair』(2024年/日本・韓国/49分)
出演:三村和敬、Jean Chirac、悠美子、哲太郎、KOPY、真野悠作
「韓国で映画を撮りたいから手伝って欲しい」半ば断れず、韓国までやってきてしまった、カズは、映画監督とは幼馴染の間柄。さらに監督は、自分を介して集まったスタッフたちを置いて、深夜宛もないロケハンに出向いてしまう。
取り残されたスタッフ3人。女優のドタキャン。ヘアメイクの失踪。
そんな中、サービスエリアで休憩中の彼らを訪ねてきたヒッチハイクの女性との出会いが、彼らに大きな転機をもたらす…
『monday In Sunday』(2024年/日本/39分)
出演:中山雄斗、山脇辰哉、サトウヒロキ、上野凱、浦山佳樹、三村和敬 ほか
親友の結婚式に参加するため東京から帰省した映画監督志望の青年、ユウタ。少年時代の友人たちと、バッティングセンターで3次会に合流してくる、新郎、ヒデの帰りを待つ。
バッティングセンターに隣接している「cafe Manday」は新郎のヒデが経営しているお店。
一頻りバッティングで遊んだ青年たちは、Mondayで昔話に耽る。
変わらない、青年たち。ユウタ自身もそう感じているが、進行中の案件の合否が気になって仕方がない。ユウタは、“東京との生活を切り離せずにいる”間も無くしヒデが合流してくると、買い出しを口実に、ヒデはユウタを誘い込み、2人は買い出しに向かう…
監督プロフィール
須藤しぐま
1988年大阪府生まれ。都内のスタジオ経て独立後、自主制作映画を精力的に制作するだけでなく撮影監督/須藤しぐまとして『逆光』『ABYSS アビス』『99%、いつも曇り』も手がける。俳優の前田旺志郎と共にLINEの縦型ドラマ全8話やヒグチアイ「あのコはだぁれ?」のMV監督など活動は多岐に至る。映像制作チーム「cinekorm!」の撮影を担当。伊ボローニャ芸術祭にて招待上映、48時間映画祭で3位受賞。
芝 暢佑
1995年高知県生まれ。2021年から映画制作開始。既存の制作形態に属さない、大胆かつ実験的な手法で数多くの自主制作映画を製作。オリジナリティ溢れる美意識と感性を映画という総合芸術に落とし込み唯一無二な作品を手掛ける。現代のヌーヴェルバーグ作家。新作で長篇第九作目を構想中。
哲太郎
2001年広島県生まれ。高校生から舞台演出、出演を始め、卒業後はフリーの役者、舞台演出を経験。バイト先の閉店の知らせを聞きつけた役者仲間であった阪本プロデューサーと、その店舗をロケ地にした映画『BLUEBOY LOVER』はヒューマントラストシネマ渋谷にて自主上映、1,000人近くを動員した。その後「cinekorm!」という映画制作チームを結成、全監督、脚本を担当する。自身もスタンフォード事務所所属のモデルとしても活躍、ユニクロUTのCMなどにも出演する。
『SUMCUP』上映後トークイベント
登壇者:上野凱、岡本ゆい、サトウヒロキ、佐々木伶、古館真実、三村和敬、名倉七海、結城あすま、藤ノ水敦士、朝日奈まお、仁科かりん、須藤しぐま監督、芝暢佑監督、哲太郎監督
2024年11月13日(金)@アップリンク吉祥寺