『お前の親になったるで』過去は変えられないが、未来は変えられる。未来が変われば、過去も変わる

『お前の親になったるで』過去は変えられないが、未来は変えられる。未来が変われば、過去も変わる

2024-07-15 17:00:00

この作品は、主人公である草刈健太郎さんの素晴らしさの一言に尽きる。自分が同じ立場なら、こんな活動ができるのか?それがこの映画のテーマだ。

10年前、関西の中小企業7社が集まり、元受刑者に住まいや仕事を提供し、再犯を防ぐ「日本財団職親プロジェクト」が発足した。現実には、受刑者の半分が出所しても仕事や居場所がなく、再び罪を犯していた。これを少しでもいい方向へ導こうと立ち上がったのが、このプロジェクトだ。

しかし、参加者の中にひとり複雑な思いを抱えた男がいた。草刈健太郎さんだ。草刈さんは大阪の建設会社の社長で、実は、大切な妹を殺された悲しい過去があった。当初、活動に気が進まなかった草刈さん。それでも仲間たちと活動し、全国各地の刑務所・少年院を訪問し、多くの元受刑者らに手を差し伸べてきた。

活動を始めて7年。ロサンゼルスの刑務所に服役中の妹を殺害した夫・チェイスが仮釈放される知らせが舞い込んでくる。チェイスからは、一度も謝罪も手紙もない。その彼と面会することを決意した草刈さん。元加害者を支援し続ける葛藤の間で再び、犯罪者への憎悪に支配されてしまうのか…?草刈さんは悩んだ。

そんな時、ある出会いがあった。東北の少年院に呼ばれた草刈さん。待っていたのは、母が父を殺したという少年だった。面接で思わずかけた言葉が「家族になったるわ」。

少年は涙した。その後、少年は草刈さんの下で働くことになる。いくつかの葛藤を乗り越え、草刈さんが手にした信念がある。"加害者をなくせば、妹のような悲劇をうまない"…という信念。その信念はわずかな「希望」も生んだ。更生へと歩む元受刑者と活動を支えてきた仲間たち。

殺害された妹から届いた贈り物だと胸に刻み、このプロジェクトと歩んだ10年。その思いはどこまで実を結ぶのかー

見る人にとって自分が草刈さんと同じ立場なら、どうするか?それを問われているような気がする。おそらく簡単には答えが出ないであろう。草刈さんが何を思って活動をされてきたか、この問いかけの答えは日本財団職親プロジェクト代表 中井政嗣 代表の言葉に見出すことができるかもしれない。

「過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる」

草刈さんは、こういった活動をただやるのではなく、人一倍エネルギッシュに行っている、その姿を見るだけでも、私たちはエネルギーをもらえるだろう。こういった活動に興味を持つ余裕がないくらい生活が大変な人、あるいは、自分が生活に疲れていると思わずにはいられない人たちもこの映画を見てほしい。きっと新たな活力を得て生きる気力が湧いてくる。

ストーリー

犯罪被害者遺族でありながら、犯罪者の更生支援を始めた大阪の建設会社社長。しかし裏切られることは日常茶飯事。加害者と被害者の間で揺れながらなぜ手を差し伸べることを諦めないのか?更生を支え続けた男性の壮絶な10年を通じて、社会の問題に迫る。

北岸良枝監督:コメント

この映画の出来事は決して他人事ではない。私たちは皆つながっている憎しみの連鎖、不幸の連鎖、
大切な人たちを守るためにも今すぐ断ち切らねば、世界は暗闇のうちに消える
「過去は変えられないが、未来は変えられる。未来が変われば、過去も変わる」
そう信じて、もがきながら歩みを進めた人たちの10年の記録です。
この思いが伝播することを願って…

 

スタッフ

監督:北岸良枝

プロデューサー:山田龍也・花本憲一(テレビ大阪)

 

作品データ

製作年 2023年 日本

配給 テレビ大阪・ニチホランド

上映時間 95分

 

本作品は7月19日からUPLINK京都にて上映

UPLINK京都では以下の日程で舞台挨拶&トークショーを行います。

7月21日・27日・28日・31日

予告編

公式サイト

https://www.tv-osaka.co.jp/movie/omaeno_oyani/