『ROCKERS』レゲエ映画の原点！1979年カンヌ国際映画祭監督週間上映作品
5月21日から映画「ボブ・マーリー ONE LOVE」が公開されたが、レゲエ音楽とは何かを語ろうとすると、ジャマイカに文化、社会情勢、そしてレゲエ文化の核心となるラスタファリ運動…様々な要素を知らなければならず、簡単にはいかないことは理解できる。
レゲエの担い手になったジャマイカの人々について考察してみると、そもそも先住民のアラワク人が、ヨーロッパから持ち込まれた疫病で死に絶えてしまい、その後、労働力として西アフリカから奴隷として連れてこられたアフリカ系の人たちの子孫が今のジャマイカ人の根幹となっている。その人々の中に根付いていった抵抗の歴史や貧しい暮らし、そして人生に重要な要素である愛を表現する手段として生まれたのがレゲエ音楽だという。レゲエ音楽の中で重要な要素のひとつである、ラスタファリ運動とは、そういった貧しいジャマイカの労働者や農民を中心に発生した宗教的思想運動で、レゲエのイメージカラーである赤、黄、緑の3色はラスタファリ運動の象徴であり、主人公がオートバイに描いてもらうライオンはラスタの戦士であることを意味している。
改めてレゲエについて考えていくと、レゲエとそのものが、とても奥深いもので、全容を理解するのは簡単ではない。しかし、この『ROCKRES』は、そのレゲエの魂の何たるかを、一本で明確に伝えてくれる映画だ。
『ROCKERS』完成間近の時点でレゲエのレジェンド、ボブ・マーリーに映画を見せたそうだ。製作者側は、ボブ・マーリーの映画がレゲエの真実を伝えるかどうかを聞きたかったのだという。そして、映画を見終わったボブ・マーリーはとても気に入り、レゲエの魂がこの作品に宿っていることを認めたという。
では、映画としてはどうかというと、内容は、とてつもなく面白い、レゲエを知っていても知らなくても、誰もが楽しめる映画だ。映画としても、当時（製作された1978年当時）では、実際のレジェンドたちが自分の役を演じて、フィクションである物語を作るという手法は斬新で、それぞれのキャラクターを、レゲエ音楽の世界で名を馳せたアーティストが、そのカリスマ性やスターとしての輝き、そして、実際の個性を失わず名演している。本人を演じるというのは実は難しい。レベルの高い作品として、本作品は1979年のカンヌ国際映画祭監督週間でも上映された。
レゲエ知るならこの1本、それがこの作品『ROCKERS』だ。
イントロダクション
「レゲエ」、「ジャマイカ」、「ラスタファリズム」を世界に伝えた70年代を代表するジャマイカン・アクション・ムーヴィーの傑作『ロッカーズ』。ジェイコブ・ミラー、キダス・アイ、グレゴリー・アイザックス、バーニング・スピアといったレゲエ・レジェンズが、実名（厳密に言えば芸名）でそれぞれの役柄を演じ、また、彼らのセッションとライヴのシーンも収録された、当時のジャマイカのレゲエ・シーンを克明に記録した大変貴重な映画作品。同じく70年代のレゲエ・ムーヴィーの傑作として名高い『ハーダー・ゼイ・カム』と並び、未来永劫語り継がれていく1本と言えるでしょう。
ストーリー
ジャマイカで人気のドラマーとして知られるホースマウスだが、キングストンのゲットーに妻と子供と暮らし、音楽だけでは生活できないという問題を抱えている。レコードのセールス・マンをアルバイトで始めることを決め、中古のオートバイを借金して手に入れ、キングストンで一番のレコードのセールス・マンを目指すホースマウスだったが、不運にも何者かにオートバイを盗まれてしまう。 ふとしたことからオートバイを盗んだのは、自分が雇われているナイト・クラブのマネージャーだと知るホースマウスは、仲間と共にオートバイを取り返しに行くが・・・。
『ROCKERS』予告編
公式サイト
2006年10月7日（金） 公開
2024年5月24日（金） アップリンク吉祥寺、アップリンク京都、ほか全国ロードショー
Cast
リロイ・ホースマウス・ウォレス
リチャード・ダーティーハリー・ホール
ジェイコブ・ミラー
グレゴリー・アイザックス
バーニング・スピア
キダス・アイ
ロビー・シェイクスピア ほか
Staff
脚本 & 監督：セオドロス・バッファルーコス
製作：パトリック・ホージー
撮影：ピーター・ソヴァ
美術：リリー・キルバート
録音：ナイジェル・ノーブル
編集：スーザン・ステインバーグ
衣装：ユージニー・バッファルーコス ほか
プロデュース：Blue Sun Film Company チェリー・カオル・ホージー
1978年／ジャマイカ／英語／99分／カラー／5.1／1:1.85／日本語字幕
配給：テントセント株式会社 配給協力：有限会社アップリンク
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