『青春18×2 君へと続く道』日本台湾合作の切なさ究極のラブストーリー

『青春18×2 君へと続く道』日本台湾合作の切なさ究極のラブストーリー

2024-04-30 18:08:00

『青春18×2 君へと続く道』は、祖父が台湾出身で、台湾にルーツを持つ藤井道人監督の作品。台湾と日本の合作だ。

エグゼクティブプロデュサーを初めて務めたのは、エドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』の主役を務め、ウォン・カーウァイ監督の『ブエノスアイレス』、ドゥ二・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』に出演するなどアジアの枠を超えて活躍するチャン・チェン。彼が台湾で話題を呼んだ紀行エッセイ『青春 18×2 日本慢車流浪記』を読んだことが企画の発端となった。監督は、彼が長い間活動に注目していた藤井監督にオファーすることで決まったという。

藤井監督が所属するBABEL LABELは、サイバーエージェントを親会社として、最近ではNetflixと戦略的パートナーシップを締結するなど話題となっている制作会社。本作では東アジアをマーケットとして、台湾の会社との共同制作によってラブストーリーを作り上げた。

出演は、台湾のスター俳優 シュー・グァンハンと、日本で若手屈指の実力を有する清原果耶。劇中には、日台両方の映画ファンに心に刺さる映画として、岩井俊二監督の『LOVE LETTER』を台湾の映画館で二人がみるというデートシーンが盛り込まれた。

エンディングにはMr.Childrenが奏でる主題歌「記憶の旅人」が流れる。

主人公と同じ36歳で本作を撮った藤井監督は本作についてこう語っている。「僕にとってこの映画の主軸は、全てを失った 36 歳のジミーが旅を経て何を得て、何を思い出して何と向き合うのか。だからこそ誰かにとっては恋愛映画で、また別の誰かにとってはロードムービーであり、成長物語でもあると思います」

藤井道人 監督インタビュー



――藤井監督はお祖父さまが台湾ご出身の方で、「自分のルーツのひとつ」と仰っていましたね。台湾への想いを、改めて教えて下さい。

自分が純粋な日本人ではないという想いがアイデンティティの根幹にあったからかもしれませんが、20代の頃に「日本には自分の居場所がないのではないか」と感じて、台湾に私費留学しました。海を渡ってこの日本に来た祖父のように、自分も恐れずに海外に行って、異なる文化をミックスさせたものづくりをしたいと思って。そこで本作にも出演してくれた北村豊晴さんと出会い、様々な台湾の映画人を紹介して下さったんです。

北村さんのお陰で自分のネットワークが広がり、自分の大好きな映画『モンガに散る』(2010)を制作したプロダクションに「台湾で映画を撮らせてほしい」と営業に行きました。その場にたまたまいたのが、本作のプロデューサーであるロジャーでした。当時は20代の若造の僕にすぐ仕事が来るわけもなく何もなかったのですが、数年後に『新聞記者』(19)の試写会を台湾で行った際、ロジャーから連絡が来てミーティングの機会をもらい、その際に出たのが『青春18×2 君へと続く道』の話でした。


――藤井監督は本作を「監督人生第二章のはじまり」と位置付けられていました。

20~30代前半を第1のフェーズとしたときに、何もないところからもがいてたくさん失敗もしたけどなんとか結果を出せて、仲間も増えてここまで来ましたが、「もっと広い世界を見たい、文化や言葉を越えて映画と繋がりたい」という想いがずっとありました。ずっと目標としてきたものが叶ったのが、本作です。奇をてらわずに自分が今までやってきたことに正直に向き合った作品になりました。

今回「映画の神様っているんだな」と感じたのが、僕はこの作品を主人公のジミーと同じ36歳で撮影しているんです。そういった意味ではどうしたって自分を投影した作品になりますし、映画を撮ることで36年分の人生と向き合う時期が来たんだと思いました。『青春18×2』との旅は、年を経るごとに増える「喪失」であったり、「大人としての振る舞い」をするために心の憶測に格納した感情と一つひとつ対話していく時間でもありました。

また、「今までのつくり方にみんな飽きてきたでしょ? 次に行こうよ」という意味でも、それを僕たち30代が率先して実行していくという意志表示としても「第二章」という言い方をしています。

 

藤井道人
監督・脚本
1986 年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。2014年伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』で商業作品デビュー。第43回日本アカデミー賞にて映画『新聞記者』が最優秀作品賞含む6部門受賞、他にも多数映画賞を受賞する。『青の帰り道』(18)、『デイアンドナイト』(19)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)、 『ヤクザと家族 The Family』(21)、『余命10年』(22)など精力的に作品を発表しており、今年は『ヴィレッジ』、『最後まで行く』が続けて公開。今最も動向が注目されている映画監督の1人である。

 

ストーリー

あの時、想いを伝えていたら
未来は変わっていただろうか。

始まりは18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生・ジミー(シュー・グァンハン)は、日本から来たバックパッカー・アミ(清原果耶)と出会う。天真爛漫な彼女と過ごすうち、恋心を抱いていくジミー。しかし、突然アミが帰国することに。意気消沈するジミーに、アミはある約束を提案する。

時が経ち、現在。人生につまずき故郷に戻ってきたジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを再び手に取る。初恋の記憶がよみがえり、あの日の約束を果たそうと彼女が生まれ育った日本への旅を決意するジミー。東京から鎌倉・長野・新潟・そしてアミの故郷・福島へと向かう。

鈍行列車に揺られ、一期一会の出会いを繰り返しながら、ジミーはアミとのひと夏の日々に想いを馳せる。たどり着いた先で、ジミーが知った18年前のアミの本当の想いとは。

 

『青春18×2 君へと続く道』予告編


公式サイト

 

2024年5月3日(金) TOHOシネマズ 日比谷、アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー

 

Cast
シュー・グァンハン  清原果耶  ジョセフ・チャン  道枝駿佑
黒木華  松重豊  黒木瞳

Staff
監督:藤井道人  原作:ジミー・ライ「青春18×2 日本慢車流浪記」
主題歌:Mr.Children「記憶の旅人」(TOY'S FACTORY)
エグゼクティブプロデューサー:チャン・チェン 脚本:藤井道人/林田浩川 音楽:大間々昂  撮影:今村圭佑  プロデューサー:ロジャー・ファン(黄江豐)/前田浩子/瀬崎秀人  照明:平山達弥/シュー・チュンチュエン(許鈞筌)  録音:根本飛鳥/チュウ・シーイー(朱仕宜)  美術:宮守由衣/ヤオ・クオチェン(姚國禎)  装飾:野村哲也/ジェニー・コー・チミン(柯治旻)  衣裳:皆川美絵/エマ・ユーユン・リン(林育妘)/ゾーイ・スー(蘇庭卉)  台湾キャスティング:ルーシー・チェン(陳静媚)  キャラクタースーパーバイザー:橋本申二  ヘアメイク:西田美香/ボール・ロー(呂依珊)/ゾイ・リン(林容伊)  編集:古川達馬  CGプロデューサー:平野宏治/トミ・コー(郭憲聰)  VFXスーパーバイザー:高橋裕紀  カラリスト:石山将弘  スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし  リレコーディングミキサー:浜田洋輔  助監督:戸祭朝美/ウー・ユハン(呉瑀涵)  制作担当:柿本浩樹/リー・チーシュエン(李其璇)/ウー・チーヨー(巫奇優)  製作幹事:JUMPBOYS FILMS/サイバーエージェント  制作プロダクション:JUMPBOYS FILMS/BABEL LABEL  配給:ハピネットファントム・スタジオ

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