『バカ共相手のボランティアさ』伝説の九州パンクバンドThe Swanky’sの個性炸裂ドキュメンタリー
1989年1月8日、平成が始まったまさにその日に新宿LOFTで解散ライブを行った伝説のハードコアパンクバンドThe Swanky’s。本作は、“The Swanky’s”の変遷を追ったドキュメンタリーだ。
1981年に福岡で結成されたThe Swanky’sは博多をホームグラウンドとしてライブ活動を開始。初期メンバーはヴォーカルのWATCH、ギターのLOODS、ドラムスのBEERの3人。1985年~87年までベースのTVが、TV脱退後に89年ベースのRADIOが加入。83年にバンド名をGai(ガイ)に変更するも85年に再びThe Swanky’sに戻し、同年に初アナログアルバム『THE VERY BEST OF HERO』を発表する。その後、この王道のハードコアパンクバンドは、その影響力を全国に広げてゆく。
昭和63年の10月にBUCK-TICKが『JUST ONE MORE KISS』をリリース、同じく11月にTHE BLUE HEARTSが『TRAIN-TRAIN』をリリース、ビジュアル系、縦ノリといったジャンルのバンドが台頭し始め、平成元年2月から『三宅裕司のいかすバンド天国』(通称“イカ天”)の放送が始まると、空前のバンドブームが到来。その結果、The Swanky’sは、ロック系、ポップ系の凄まじいバンドブームに押され、図らずも昭和が終わり平成を迎えた節目の日に解散するのだ。
監督は、本作が商業映画初監督作品となる瀬下黄太。自身のバンド活動を経て、音楽会社に勤務したのち、洋服屋の仕事に従事、のちに父のアトリエを改築したカフェ&バーをオープンするなど、多彩な仕事を手掛けている。
「氣志團」の綾小路 翔、「BRAHMAN/OAU」のTOSHI-LOWなどミュージシャンたちはもとより、彼らのハードコアパンクバンドらしからぬ衣装は、「メゾン ミハラヤスヒロ」の三原康裕、「GARA」の二唐武史、「BOUNTY HUNTER」のHIKARUなど、現在活躍する気鋭のファッションデザイナーたちにも多大な影響を与えた。イギリスではThe Wanky’sなるコピーバンドも登場。「バイきんぐ」の小峠英二、「野性爆弾」のくっきー!、「千原兄弟」の千原せいじなど、お笑い界にも影響力を轟かせる。
音楽性や歌詞のセンスのみならず、メンバーのおしゃれセンスの高さには驚くばかり。服装から部屋のスタイル、ジャケットデザインに至るまで、潔く、洗練されている。令和の日本のカルチャーの土台に彼らがいた、と言いたくなる気持ちがよくわかる。
一方で、「僕はね、ハードコア嫌いやったんですよ。おじいちゃん、おばあちゃん、子供が怖がるでしょう?」とヴォーカルWATCHのふと漏らした言葉が印象に残る。時代の流れを作ったバンドのヴォーカルは、時代に翻弄されてもいたのだろう。破天荒なカリスマのこんな一面に、親近感が湧いてきたりもする。
瀬下黄太 監督
瀬下黄太
監督
1965年、福岡を代表する画家である故・寺田健一郎の次男として誕生。幼い頃から父の影響を受け、数多くの芸術作品や著名人と触れ合いながら多感な少年期を過ごす。高校生になる頃には音楽に強い関心を示すようになり、来福した海外アーティストのコンサートに頻繁に足を運ぶなど、当時最先端の音楽に対して並々ならぬ興味を抱いていった。
高校卒業後、地元のレコード屋 「 U.K. EDISON 」で店長を務めながら本格的なバンド活動を開始。活動を展開していく中で後に「 You're my secret 」が大ヒットする Date of Birth との交流を深め活動を共にする。その後、運営スタッフとして東京へ移住。キティレコードに勤務する。
Date of Birth との活動が終了した1994年、東京で自身の音楽活動を展開。その中で培った人脈により豊富な音楽知識を買われる形でワーナーミュージック・ジャパンにスカウトされる。ワーナーミュージックでは傘下のレーベルであるイーストウエスト・ジャパンに勤務。 数年勤務した後、同社退社。その後、洋服屋の仕事を手がける。
2004年、再び福岡に活動の拠点を移し、兄である故・寺田太郎氏が立ち上げた吉野ケ里にあるアートスペース「AMP GALLERY(現在は休館中)」を運営しながら自身が所属するバンド「THE GOGGLES」の活動を本格化。
2011年、父である健一郎氏のアトリエを改築したカフェ&バー「アトリエてらた」を福岡市にオープン。趣を感じさせるアーティスティックな内装と本格スパイスを使用したヤッホーカレーが反響を呼び瞬く間に人気店となる。アトリエてらたでは定期的にライブイベントも行っており、音楽・絵画・料理・酒などあらゆる物を高い質で提供できる瀬下氏の人生経験が凝縮された福岡でも他に類を見ない店として更に知名度を高めている。
『バカ共相手のボランティアさ』が商業映画初監督作品となる。
イントロダクション
The Swanky’sとは一体なんだったのか。
そんなThe Swanky’sが結成から解散、21世紀に入っての再活動、そして現在に至る42年間、メンバーたちは何を思いマイクを握りしめ、楽器を抱えていたのか。当時の貴重な映像や音源と共に、メンバーたちの、そして彼らの音楽やファッションにコンタクトしたことで衝撃を受けた数多くの著名人たちのインタビューによりThe Swanky‘sというバンドの“コア”に迫り、歴史を紐解くドキュメンタリー映画。
The Swanky’s Discography
≪スタジオレコーディング≫
『THE VERY BEST OF HERO』
ファースト・アルバム/DOGMA RECORDS/アナログLP 1985年リリース
[A面]1:Open The Window/2:Fundamental/3:Knife Will Not Open Because Of The Ruts/4:Life Style/5:She Will Not Live/6:Total Control/7:I Don’t Know I Don’t Care [B面]1:Blood Spit Night !/2:Finally She Run Out Of Patience/3:Freedom/4:This Is Dokata Song
5:Damaging Noise/6:Belife/7 Untitled
『More FUCK』
自主制作/限定カセットテープ/1985年リリース
『Original Swankys』
King’s World Records/アナログLP 1996年リリース CD 2005年リリース
『More FUCK』のLP化、CD化
1:Maniac/2:Bad Brain/3:Crancy/4:Five Star/5:Feminist/6:Blanket/7:Life Style/8:Knife/9:No Bondage
『Never Can Eat Swank Dinner』
King’s World Records/アナログLP 1987年リリース CD 1989年リリース
1:Old Fashion/2:Maniac/3:Knife Will Not Open Because Ruts/4:Bad Brain/5:Swank Dinner/6:Black Or White/7:Water Blanket Lover/8:Good Friends/9:No Bondage
『New York Live Fuck USA Live & Demo』
King’s World Records/1990年2月25日リリース
[N.Y. LIVE SIDE]1:Old Fashion/2:Five Star/3:Swank Dinner/4:Bad Brain/5:Knife/6:Maniac/7:No Bondage/8:Good Friends [N.Y. DEMO SIDE]1:Foolish/2:How Long Do You Give Me ?/3:Crazy/4:Pop Rocker/5:Joke Joke Joke
≪ライブ盤≫
『Live & Shout Oct 11th』
King’s World Records/カセットテープ 1987年リリース
『LIVES-PERIOD THE NOISE TOUR 1985』
Anarchy Centre/CD 1997年リリース
1:Open The Window/2:Total Control/3:Fundamental Human Lights/4:Blanket/5:Crancy/6:Blood Spit Night !/7:I’m Punk Don’t Punk
『Last Punk Show 1988』
アナログLP(45RPM) 1996年リリース CD 2018年リリース
『LAST SHOW 1989.1.8』
King’s World Records/CD 2018年7月10日リリース
≪コンピレーション≫
『Best Of Life Style!』
アナログLP 1989年リリース
1:Life Style/2:Knife/3:Total Control/4:Open The Window/5:Little Star
『TOKYO』
アナログLP 1989年リリース
1:TOKYO/2:Foolish/3:I’m Gambler/4:Five Star/5:Stuffy/6:Low Kiss(Please For Kiss Me)/7:Punch Bowl(I’m A Punk)
『The Rest Of Hero The Swankys – Swank! Demos』
Anarchy Centre/CD 1998年リリース
1:Be Life…/2:Rockn’Roll History Fuck Off/3:How Long Do You Give Me/4:I’m Punk/5:Five Star/6:(Catch The)Yes! Future/7:Old Fashion/8:Help?(Water Blanket Lover)/9:No Bondage/10:Watch Out/11:Five Star/12:Please For Kiss Me/13:Water Blanket Lover/14:Knife Will Not Open Because Of The Rust/15:Catch The Future/16:Life Style/17:Stuffy To Day/18:Hoe Long Do You Give Me?/19:Bad Brain/20:No Bondage
『Control Demo』
Kings World Records/CD 2004年11月リリース
1:What’s You Need/2:Catch The Future/3:Jeanie Jeanie Jeanie/4:Watch Out/5:How Long Do You Give Me/6:To Mohicans(Two Mohicans)/7:I’m Gambler/8:Pop Rocker/9:Fucke
『バカ共相手のボランティアさ』予告編
公式サイト
2024年3月22日(金) アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー
2024年3月29日(金) アップリンク京都
The Swanky’s(WATCH LOODS BEER TV RADIO)
ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)
HIKARU(BOUNTY HUNTER)
川原賢治(Kings World Records)
綾小路 翔(氣志團)
小峠英二(バイきんぐ)
くっきー!(野性爆弾)
石橋三喜彦(HEACON LABO)
振付稼業air:man
TOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)
二唐武史(GARA)
OEC(RADIO7)
CHIKARA(CHAOS)
クニタケヒロキ(THE FOREVER YOUNG)
企画・監修:「バカ共相手のボランティアさ」制作委員会
制作・配給:アイエス・フィールド
准監督・編集・撮影:福田哲志
監督:瀬下黄太
2023年/日本/カラー/99分/ビスタサイズ/ステレオ
©2023「バカ共相手のボランティアさ」制作委員会