『罪と悪』「“罪”=“悪”なのか?」という疑問に映画はどう答えたのか

『罪と悪』「“罪”=“悪”なのか?」という疑問に映画はどう答えたのか

2024-02-01 09:57:00

『罪と悪』は、齊藤勇起監督のオリジナル脚本によるデビュー作。福井出身の齊藤監督は、地方都市特有の人間関係の中で「“罪”=“悪”なのか?」という疑問に駆られる経験が何度もあったという。そこで、その疑問をテーマにして書き上げたのが本作。

井筒和幸監督作品を中心に、岩井俊二監督・武正晴監督・廣木隆一監督作品等で助監督を勤めてきた齊藤監督が一番影響を受けたのは西川美和監督の脚本の一行一行に対するこだわりとか、役者との関係の築き方だという。

幼なじみの3人が、それぞれかつて故郷で起きたあることに縛られている。建築会社の社長となった春(高良健吾)は犯罪に縛られ、刑事になった晃(大東俊介)は警察という正義に縛られ、実家の農業を引き継いだ朔(石田卓也)は土地に縛られている。

春を演じた高良健吾は、地方のヤンキー上がりの社長を演じるに当たって「オラつくことは簡単だしオラつく演技はもっとやれるのだが、そういう選択肢はなかった」と言い、この映画のテーマをこう語る。

「齊藤監督は、人が目を背けたくなるものやタブーを、なかったことにしない人だと思います。今はうやむやにしたり、なかったことにすることだらけだけど、そうではない監督が描かれた脚本には、小さい頃に大人から負わされた傷は残っているのに、それをなかったことにすることで、どれだけ人生が崩れてしまうのかを描いているので、そういう意味では、この作品の意義というか、存在は必要だと思います」

映画を自分の物語とした3人の俳優が導き出したエンディングは、齊藤監督も考えていなかった、時を超えた答えだと言う。

「“罪”=“悪”なのか?」という疑問に映画はどう答えたのかを、ぜひスクリーンで確かめてほしい。

 

齊藤勇起監督インタビュー

高良健吾インタビュー

 

齊藤勇起 監督

齊藤勇起
監督・脚本
1983 年 8 月 10 日生まれ。 福井県丹生郡清水町清水畑町出身、清水中学校出身。高校卒業後、東京の日活芸術学院で映像制作を学んだ後、映画の現場で働き現在に至る。井筒和幸監督に弟子入り。井筒和幸監督作品を中心に、岩井俊二監督・武正晴監督・廣木隆一監督作品等での助監督を経て、完全オリジナルの脚本で挑む本作で初監督。

 

ストーリー

何者かに殺された14歳の少年、正樹。
彼の遺体は町の中心のある橋の下で発見された。
同級生の春・晃・朔は、正樹を殺した犯人と確信した男の家に押しかけ、もみあいになる。
そして、男は1 人の少年に殺される。彼は家に火を放ち、事件は幕を閉じたはずだったー。
時が過ぎ、刑事になった晃は父の死をきっかけに町に戻り、朔と再会する。
ほどなく、ある少年の死体が橋の下で見つかる。20 年前と同じようにー。
晃は少年の殺害事件の捜査の中で、春と再会し、それぞれが心の奥にしまっていた過去の事件の扉が再び開き始める。
かつての事件の真相は、そして罪と向き合うということとはー。



『罪と悪』予告編


公式サイト

 

2024年2月2日(金) TOHOシネマズ 日比谷、アップリンク吉祥寺アップリンク京都、ほか全国順次ロードショー

 

Cast
高良健吾 大東駿介 石田卓也
村上淳 / 佐藤浩市(特別出演)椎名桔平

Staff
監督・脚本:齊藤勇起
製作プロダクション:ザフール
配給:ナカチカピクチャーズ

©2023「罪と悪」製作委員会