『違う惑星の変な恋人』ペンタゴン・ラブゲーム、PK戦で屁理屈ゴールを決めるのは誰だ!
三角関係が3人の間で恋愛関係が複雑に交差することを指すのなら、『違う惑星の変な恋人』は、五角関係で ”好き” のベクトルが交差することもなく、5人もいるのに両思いカップルが一組もできない話の映画だ。
彼ら、彼女たちの恋模様は、映画だから見ていられるのだが、正直、そばでリアルに聞いていると付き合ってられないよというレベル。そこで、本映画の宣伝資料には、こう書かれている。
「恋愛映画を超えて、屁理屈だらけの人間のダメさと愛おしさの新たな地平へと誘われていく本作」
ここは、プレスシートを丸ごと引用した方が映画のテイストをわかってもらえるだろう。
「その極めてストレンジポップな味わいの奇妙な恋愛映画を手がけるのは、199分に及ぶ恋愛群像劇『恋愛依存症の女』がシネマ・ロサの動員記録を達成し、第2作『階段の先には踊り場がある』も好評を得た木村聡志。最新作となる本作は、巧妙に仕掛けられた台詞の応酬や構成、散りばめられたサッカーや映画へのオマージュの楽しさも相まって第36回東京国際映画祭「アジアの未来」部門での上映時のQ&Aでも観客から深い考察が繰り広げられ、現時点での最高傑作と称賛された」
いま注目のキャストによる、絶妙なフォーメーションも見所となっている。
「キャストには映画『女子高生に殺されたい』、TVドラマ「ファイトソング」、TVドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」など話題作への出演が続き、本作が映画初主演となる莉子。共演にはドラマ・映画・ 舞台で注目を集める筧美和子、『偶然と想像』『愛なのに』『サタデーフィクション』ほか話題作への出演が相次ぐ中島歩、TV ドラマ「君の花になる」「ばらかもん」の綱啓永、『愛なのに』で主題歌を担当していたミュー ジシャン・みらん」
サッカーファンという監督の演出により、映画の後半は、W杯のカタール戦をカフェで応援しながらのドラマの展開となる。
「こんがらがった複雑な恋愛事情を抱える5人の、パスミスの許されない対話が繰り広げられてゆき、やがてカタールW杯が始まる頃に迎える絶対に負けられない話し合いは収集がつかず果てしなく、PK戦覚悟のシーソーゲームへーーー」
ということで、宣伝テキスト風に言おう。
「『違う惑星の変な恋人』は、ペンタゴン・ラブゲーム、PK戦で屁理屈ゴールを決めるのは誰だ!」
⽊村聡志 監督インタビュー
――作劇へのこだわりについて
(中島扮する浅井=ベンジーのギターがグレッチではなく、ストラトキャスターだったという質問について)おっしゃっていただいた通り、撮影時に話題にはなったんですが、あくまでも僕らはモノマネをしてるわけじゃなく、「あまりやりすぎると…」という思いもあったので遠慮した部分がありました。ただ、映らないように、JUDE(ユダ)のCDが飾ってあります(笑)。さっき、お話しされた「浅井健⼀、ベンジー」のところはあまり客席の反応が良くなかったみたいですが、そういうのも含めて、映画の狙いというか、この映画の全てを理解することは多分できないっていうことを思っています。というのも、映画を作る上でもそういうふうに作ろうと思っています。どんな⼈間でも、その⼈を100%理解することは不可能で、観た後にいろんな⼈と議論することが映画の醍醐味だと思うんです。なので、わからないことや理解できないことを、映画の中に観ただけで全て理解するのではなく、観終わった後に、⼈と話したり、調べたり、家で考えたり……そういう時間を通して、「ひとつの映画を観た」という時間になると思っています。⾃分の映画を観た⼈にはそう思って欲しくて、あえて全てがわからないようにして作っています。
――会話劇のテンポについて
役者さんの出演が決まってからは、本⼈と話をしながら、語尾の特徴などを把握して、セリフを⾔いやすいように書き換えていきました。例えば、みらんさんは神⼾出⾝で演技を初めてやるので、⾃然な感じを出すためにセリフを関⻄弁に書き換えたりとか。
――なぜサッカーを題材にしたのか
まず僕⾃⾝、サッカーが⼤好きという前提があります。そして、もともと映画を作っている上で、あんまり時代性を⼊れないようにしていたんですけど、今回の脚本を作っている途中で、プロデューサーの直井さんから「今回の映画では、何か時代性があるものを⼊れてみないか? そうすると、この映画により奥⾏きが出てくると思う」ということをおっしゃっていただいて。去年の12⽉にこの映画を撮影したんですけど、ちょうどカタールのワールドカップをやっていたんで、そのまま拝借した感じです。
――前作にも出ていたキャラクターたち
前作のキャラクターたちを今作でも登場させることについて、僕が思うのは、この後、家に帰る電⾞の中にあの⼈たちがいるかもしれないってこと。今もどこかに⽣きているんじゃないかなって思っています。なので、例えば今回出てもらった役者さんに、今後、別の役で出てもらうというのは、⾃分は考えられなくて。⼀度使ったキャラクターはそのままずっと使い続けています。
⽊村聡志
監督・脚本
1988年⽣まれ東京都出⾝。2018年、初の⻑編映画『恋愛依存症の⼥』で劇場デビュー。池袋シネマ・ロサで同年度のレイトショー動員記録を叩き出し、2019年、全国巡回後、凱旋アンコール上映が開催された。2020年レプロエンタテインメント主催『感動シネマアワード』でグランプリを獲得。同企画の⻑編『階段の先には踊り場がある』が池袋シネマロサで現在公開中。
ストーリー
同じ美容室で働くむっちゃん(莉⼦)とグリコ(筧美和⼦)は、ふとしたきっかけでお互いの⾳楽の趣味が合うことを発⾒して以降はなんでも話し合う仲になる。ある⽇、美容室にグリコの元カレ・モー(綱啓永)が現れる。グリコはモーから復縁を迫られているらしい。グリコはシンガーソングライター ・ナカヤマシューコ(みらん)のライブで旧知のベンジー(中島歩)と再会。同⾏していたむっちゃんはベンジーに⼀⽬惚れしてしまう。 むっちゃんはグリコとモーの協⼒を得てなんとかベンジーと恋仲になろうと、モーはむっちゃんの⼒を借りてグリコにアプローチをし続けることに。そのまた⼀⽅、ベンジーはナカヤマシューコと関係を持っていて、むっちゃんからの恋⼼も感じているもののひさしぶりに会ったグリコに⼀番惹かれている。またグリコもむっちゃんへの罪悪感を感じつつも、久しぶりに会ったベンジーに惹かれていることに気付き始める。カタールW杯の⽇本戦が始まる頃、複雑にこんがらがってしまった恋の⽮印を整理するためにむっちゃん、グリコ、ベンジー、モーが⼀同に介するのであったーーー。
『違う惑星の変な恋人』予告編
公式サイト
2024年1月26日(金)新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、アップリンク京都、ほか全国順次公開
Cast
莉⼦ 筧美和⼦ 中島歩 綱啓永 みらん 村⽥凪 ⾦野美穂 坂ノ上茜
Staff
監督・脚本:⽊村聡志
製作:藤本款、直井卓俊、久保和明、⽟井雄⼤、柳﨑芳夫、前信介、⽔⼾部晃
プロデューサー:原⼝陽平、秋⼭智則、久保和明
企画・キャスティング:直井卓俊
⾳楽:渡辺雄司(⼤⽥原愚豚舎) 劇中歌・主題歌:みらん(NOTT/NiEW)
撮影:⼭⽥笑⼦ 照明:⼭⽥峻佑 録⾳:古茂⽥耕吉 美術:⼩泉剛
スタイリスト:⼩宮⼭芽以 ヘアメイク:進⼠あゆみ
ラインプロデューサー:浅⽊⼤、篠⽥知典
助監督:江⼝嵩⼤
宣伝美術:寺澤圭太郎 宣伝協⼒:平井万⾥⼦
製作:「違う惑星の変な恋⼈」製作委員会
制作プロダクション:レオーネ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
2023|カラー|ヨーロピアンビスタ|5.1ch|116min
©「違う惑星の変な恋⼈」製作委員会