『ファースト・カウ』西部開拓時代のアメリカ・オレゴンで成功を夢みる2人の男の友情物語

『ファースト・カウ』西部開拓時代のアメリカ・オレゴンで成功を夢みる2人の男の友情物語

2023-12-19 11:01:00

西部開拓時代のアメリカ・オレゴンを舞台に、成功を夢みる2人の男の絆を描いた物語。アメリカの原風景を切り取った美しい映像、それに寄り添うノスタルジックでかつ瑞々しい、透き通るようなメロディーがすぅーっと心に沁みわたる。

監督は、“漂流するアメリカ”を一貫したスタイルで描き続けるケリー・ライカート。2021年に珠玉の4作『リバー・オブ・グラス』(94)、『オールド・ジョイ』(06)、『ウェンディ&ルーシー』(08)、『ミークス・カットオフ』(10)の特集上映が行われ、それまでほとんど知られていなかった彼女の知名度は一気に急上昇した。そして今回、7作目の長編となる本作が日本初公開となる。

2020年の映画祭で披露された本作は瞬く間に話題となり、第70回ベルリン国際映画祭金熊賞にノミネートされたほか、世界中の映画賞で計157部門にノミネート、27部門を受賞。『LAMB/ラム』、『aftersun/アフターサン』などで知られる配給会社A24が本国配給権を獲得。ライカート監督とA24のタッグは本作で初めて実現した。

主人公クッキーに『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のジョン・マガロ。彼とバディを組み、アメリカン・ドリームを追うキング・ルーには、本作で監督に見出されたオリオン・リー。原作は、ジョナサン・レイモンドの小説『The Half-Life』(2004年)。本作を含めた多くの作品で、ライカート監督とジョナサン・レイモンドが共に脚本を手がけている。

ポン・ジュノ監督は本作について、「私には決して真似のできないものであって、とてつもなく、うらやましい」と語る。他にもジム・ジャームッシュ、トッド・ヘインズ、濱口竜介ら、世界的な監督や映画人から軒並み高い評価を受け、フランスの映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」、アメリカの映画批評会議「ナショナル・ボード・オブ・レビュー」をはじめとした、批評家ランキング年間トップ10に次々とランクインを果たした。

名だたる映画人が嫉妬するほどの本作。きっと誰もが、初めは美しい画面にじっと見入ってしまい、ラストシーンに一瞬エッ?と驚いて、そしてその後、深くうなづくだろう。その意味を、その余韻を、ぜひ劇場でご体感いただきたい。

 

ケリー・ライカート 監督



ケリー・ライカート
Kelly Reichardt
監督・脚本
1964年アメリカ・フロリダ州出身。幼い頃から写真に興味を持ち、捜査官である父が犯罪現場を撮影するために使用していたカメラを使い始める。マサチューセッツ州ボストンにあるSchool of the Museum of Fine Artsに入学し、博士号を取得。その後、ニューヨークに移り、映画の美術を担当。ハル・ハートリー監督『アンビリーバブル・トゥルース』(89)、トッド・ヘインズ監督『ポイズン』(91)では美術のほか一部、出演もしている。1994年『リバー・オブ・グラス』で長編監督デビュー。デビュー作ながらサンダンス映画祭で絶賛され、インディペンデント・スピリット賞では監督賞はじめ4つの賞にノミネートされた。 その後に発表した長編映画『オールド・ジョイ』(06)、『ウェンディ&ルーシー』(08)、『ミークス・カットオフ』(10)、『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』(13)、『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』(16)は、いずれも世界中の映画祭や批評家の間で高い評価を受けており、最新作『ショーイング・アップ』(22) は、第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。

 

ストーリー

甘いドーナツが人生を左右するーーー!
アメリカン・ドリームを夢見る男たちの友情物語

物語の舞台は1820年代、西部開拓時代のオレゴン。
アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルー。
共に成功を夢見る2人は自然と意気投合し、やがてある大胆な計画を思いつく。
それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である、たった一頭の牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うという、甘い甘いビジネスだった――!


『ファースト・カウ』予告編


公式サイト

 

2023年12月22日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、アップリンク京都、ほか全国順次ロードショー

 

監督・脚本: ケリー・ライカート
脚本:ジョナサン・レイモンド
出演:ジョン・マガロ、オリオン・リー、トビー・ジョーンズ

2019年/アメリカ/英語/122分/スタンダード/カラー/ 5.1ch/原題:First Cow/日本語字幕:中沢志乃

配給:東京テアトル、ロングライド
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