『グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~』自身の悲しみとどう向き合い、他者の悲しみにどう寄り添えるかを考える

『グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~』自身の悲しみとどう向き合い、他者の悲しみにどう寄り添えるかを考える

2023-11-27 22:56:00

グリーフとは、悲嘆、深い 悲しみ。大切なものを失い、嘆き悲しむ渦中にいる人が、立ち直っていけるように支援するのがグリーフケアだ。

 “グリーフケア”の考え方が日本に広まったのは、死への準備教育として「死生学」を提唱したドイツ人神父のアルフォンス・デーケン氏が、上智大学で「生と死を考えるセミナー」を開いたのが最初のきっかけだったという。それから約35年、近年のコロナ禍でコミュニケーションが希薄になり、孤立化が進むいま再び、“グリーフケア”という言葉に注目が注がれている。

監督は、これまで『情熱大陸』を 26 本担当するなどテレビディレクターとして確かな実績を積み、映画『瀬戸内寂聴 99 年生きて思うこと』も手掛けた、ドキュメンタリーディレクター・中村裕。「大切な人を亡くし、心に大きな穴が開いていた」監督にとって、本作の製作自体がそのままグリーフケアだったそうだ。

映画に登場する人たちの言葉は、そのひとつ一つが重い。
「何年経ったって悲しみを乗り越えるなんて、できないですよ。悲しみと共に、悲しみを人生に織り込みながら歩んでいくものじゃないかな」
「悲しみがあるということは、悲しむに足る大事なものを知っているということです」
経験から導かれるグリーフについてのこのような言葉は、含蓄があるだけでなく、とてつもなく優しい響きだ。

誰もが逃れられない「喪失」というものに、じっくり対峙する人々にはみな、日の当たる明るい方へと向かい「生きる」ことを再び決意するゆるぎない尊さが宿っている。それは、「喪失」によってのみ、いまここに「在る」コトやモノに気づけるからなのかもしれない。逆説的にまた本質的に、それは魂にとって、とても得難く豊かなことなのかもしれない。

 

中村裕 監督コメント


私にとってのグリーフケア

この映画のお話をいただいたとき、私は大切な人を亡くし、心に大きな穴が開いていた。

大き過ぎる悲嘆をくぐり抜けた方々の声に耳を傾け、言葉を紡ぐうちに、いつしかその穴に清涼な風が吹き抜けていた。

それが、「グリーフケア」だったのだろう。

 

中村裕
監督・ドキュメンタリーディレクター
1959年札幌市生まれ。テレビディレクター。 1982 年早稲田大学卒業後、ライオン入社。
1985 年映像制作会社オンザロード入社。フジテレビ「 NONFIX 」でディレクターデビュー。2000 年制作会社スローハンドに参加。毎日放送『情熱大陸』を 26 本担当。 2004 年同番組の取材がきっかけで瀬戸内寂聴さんと親交を結ぶ。 NHK スペシャル「いのち 瀬戸内寂聴密着 500 日」で 2015 年 ATP 賞ドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞。 2022 年 5 月 誰も知らなかった瀬戸内寂聴の 本音 や 金言 満載の貴重なドキュメンタリー映画『瀬戸内寂聴 99 年生きて思うこと』を監督する。

 

ストーリー

グリーフとは、悲嘆、深い悲しみのこと。
大切なものを失い、嘆き悲しむ渦中にいる人が、立ち直っていけるように支援するのが、グリーフケアです。

今日の社会は、核家族化、コロナ禍が一気に推し進めたコミュニケーション手段の変化、個人主義、情報管理など、便利・効率化が進んだ。それに伴い、人の孤立化が進んだと言える。気が付けば、誰かに相談したくても、「会って話す」時間は激減。だがニュースは、社会不安や事件・事故などの情報は日々絶え間なく内外から届き、孤独な心を侵食してゆく…。そのような社会情勢の中で、“グリーフケア”という言葉に注目が集まり始めた。それはなぜか?どんな言葉で、何を意味するのか?グリーフケアに取り組む人々の取材を中心に、その基礎的な理解を得て、様々な視点から「いま、求められている理由」を解き明かしてゆきたい。


本郷由美子(グリーフパートナー歩み代表)


阿部淑子(訪問看護師)


井手敏郎(公認心理師・日本グリーフ専門士協会代表理事)


金田諦應(通大寺住職・カフェ・デ・モンク代表)




三井祐子(癌サバイバー・自死遺族)


岡村毅(精神科医)


佐久間庸和(全国冠婚葬祭互助会連盟 元会長)


島田理絵(訪問看護師)


島薗 進(元グリーフケア研究所 所長)


須賀ゆりえ(看護師)

 

『グリーフケアの時代に~あなたはひとりじゃない~』予告編


公式サイト

 

2023年12月1日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク京都、ほか全国ロードショー

 

構成・編集・監督:中村裕
語り:音無美紀子
出演:三井祐子、井手敏郎、金田諦應、島薗進、本郷由美子、佐久間庸和 他
プロデューサー:益田祐美子、伊豆田知子
撮影:高橋秀典 音楽:日景健貴
共同プロデューサー:志賀司
制作:スローハンド 製作協力:日本デジタル配信
宣伝:ワーリンク
配給:平成プロジェクト
協力:(一財)冠婚葬祭文化振興財団、(一社)全日本冠婚葬祭互助協会、アウラ、マウンテンゲート、(一社)日本グリーフ専門士協会、上智大学、セレモニー、サンレー
協賛:メモリード、サンセルモ、ウェルリンク、くらしの友、レクスト
本編:78 分 画角: 1998×1080 ビスタサイズ アスペクト比: 1.78:1 音声仕様:2ch/Grief Care