『JULLAY 群青のラダック』インドのラダック地方で出会った人々の〈幸せのかけら〉を綴った旅ドキュメンタリー

『JULLAY 群青のラダック』インドのラダック地方で出会った人々の〈幸せのかけら〉を綴った旅ドキュメンタリー

2023-11-21 00:03:00

「ただただ」淡々と粛々と生きるチベット仏教最⻄端の地・ラダックの人々の朴訥な暮らし。そんな人々の暮らしを、何ら特殊な演出やドラマティックな展開に仕立てることなく綴った紀行ドキュメンタリーだ。

監督を務めるのは、2021年に『歩きはじめる⾔葉たち 漂流ポスト3.11をたずねて』で監督デビューし、プロデュースも手掛ける野村展代。写真家・佐藤⻯治の写真に魅せられ、彼が以前に出会った⼈々を再び訪ね歩く旅に同⾏し、ラダックの人々と暮らしを共にして人生観が変わった、と監督は言う。

「JULLAY(ジュレー)」とは「ありがとう」「やあ」「こんにちは」「おかえり」など、いろいろな場面に使える挨拶の言葉。「カモミール、ジュレー(カモミールさん、ありがとう)」と何度も何度も唱えながらカモミールを摘んでいるおばあちゃんの姿が印象的だ。八百万の神様の居る日本で、山にも川にも樹木にも草花にも、もちろん太陽にも、感謝を捧げていたかつての私たちによく似た光景ではないか。ラップミュージックのようなマントラも、アガパティと呼ばれる毎朝のお清め行事も、どこかふんわりとなつかしく感じる。

白い岩肌の山々に深い群青の空、ほっこりと心温まるデザインの建築物、水色やオレンジの突き抜けるヴィヴィッドな色合いの帽子や首飾り、遊牧民族の好むバター茶……エキゾチックで異国情緒漂う土地なのに、同時に根源的なルーツをそこに見るかのような親近感が湧いてくるから不思議だ。

「ただただ」広がる大自然、「ただただ」空に感謝し生きる人々の姿を、私たちは「ただただ」心の目で感じればいい、そう思った。この映画は、鑑賞した後からじわじわと、心と魂に染みてくるのだ。

 

野村展代 監督コメント

人生観が変わったラダックの群青の空

ラダックで過ごした⽇々と、旅の出会いと別れで⼈⽣観が変わりました。

佐藤さんの写真の中に⾒ていた「群⻘の空」が思い出となり⾃⾝の⼀部になりました。

今回のポスターは、そんな澄みきったラダックの空を皆さんにも堪能して頂きたいという思いからデザインしました。そして今回は公開初⽇からユニバーサル上映が可能とのこと!!様々な環境の中でラダックを感じて頂けることが本当に嬉しいです。

⾳楽を担当してくれたHEA(ヒア)の『Another Day』の歌詞にもあるように、あなたにもきっと「もう⼀つ別の世界」が⾒つけられる、そんな気持ちを味わって頂ける映画です。どうぞゆったりとご覧ください。

野村展代
Nobuyo Nomura
監督
1973年、埼⽟県出⾝。学習院⼥⼦短期⼤学を卒業後、⽣命保険会社勤務の後、演劇関係のアルバイトを経て映像業界へ。2020年、株式会社スパイスクッキーを設⽴後はプロデュースと共に⾃ら監督も務める。2015年『群⻘⾊の、とおり道』2017年『⼋重⼦のハミング』(共に佐々部清 監督作品)製作、2021年『歩きはじめる⾔葉たち 漂流ポスト3.11をたずねて』で監督デビュー。

佐藤⻯治
Ryuji Sato
撮影
1981年、東京都出⾝。阿佐ヶ⾕美術専⾨学校卒業後、写真家としての活動を開始。2006年の個展:東京礼讃(photographerʼs galley)をはじめ、様々な場⾯で作品を展⽰。2019年にインド・ラダック地⽅を撮影した写真集『群⻘とバター茶と/AZURE SKY,BUTTER TEA AND…』を発表。観光とは⼀線を画し現地の⼈々の、⽣き⽣きとした姿を捉え⼈気を博す。第4回世界旅写真展⼊賞。
公式HP:https://satoryuji.pb.gallery

 

ストーリー

監督・野村が、写真家・佐藤⻯治さんとインド・ラダック地⽅を訪ね歩く。現地の⽣活や⾷⽂化、宗教観、家族や友⼈との繋がり等ラダックならではの緩やかで優しい雰囲気を映し出す。数年間に渡りラダックの⼈々や⾵景をカメラに収めてきた佐藤さんの写真に憧れを抱き、彼がかつて出会った⼈々と再会していく旅に同⾏した野村が新鮮な⽬線で、⾼地での暮らしぶりや⼈々の優しさ、ラダックの美しい⾃然を伝える。徐々にラダックの⽣活に馴染んでいく姿になぜか引き込まれる。何か問題が起きるわけでもなく、重⼤なメッセージを伝えるわけでもない。ただただ幸せで平和なラダックの暮らし。素朴で⾃然を愛する⼈々に囲まれ、少しずつ現れる感情の変化、旅路の出会いと別れ。そんな揺らぎの感覚とあたたかな気持ちが淡々と描かれている。そしてその⽇々が新たな「ラダックの⼼の⾵景」になっていく。

◆ ラダックとは ◆

ラダックはインド北⻄部のヒマラヤ⼭脈とカラコルム⼭脈に囲まれた⾼⼭地帯でインダス川の源流域に位置する。チベット仏教最⻄端の地でもあり⼈々はその世界観の中で素朴で温かな暮らしを送る。ほとんどの地域が標⾼およそ3000メートル以上でありパシュミナ⼭⽺の⽑織物や杏の⽣産が盛んである。今でも多くの⼈々が⾃給⾃⾜の農耕⽣活営み「天空の楽園」とも呼ばれる。JULLAY(ジュレー)は「こんにちは」「ありがとう」という⽇常的に使われる挨拶でラダックの⼈々が愛する⾔葉である。

『JULLAY 群青のラダック』予告編


公式サイト

 

2023年11月24日(金) シネマチュプキタバタ、アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー

 

企画プロデュース/監督:野村展代
撮影:佐藤⻯治
⾳楽:HEA https://www.hea.tokyo / Nawang Phuntsog
⾳楽プロデューサー:原⽥泰男
編集協⼒:ウエダアツシ
整⾳:⾅井 勝
配給:アークエンタテインメント

2022年/⽇本/54分/5.1ch/DCP

©2022スパイスクッキー