『春の画 SHUNGA』100点以上の春画が見事に無修正で上映、春画の多様性を知る

『春の画 SHUNGA』100点以上の春画が見事に無修正で上映、春画の多様性を知る

2023-11-21 00:02:00

『春の画 SHUNGA』は、100点以上の春画が無修正でスクリーンに映されるドキュメンタリーだ。

春画のドキュメンタリーはこれまでにも制作され、ある会社が劇場配給を試みたが、映倫審査で当時はR18指定でも恐らくボカシを指示され、修正を拒んだ配給会社が劇場公開を断念し、確かホール上映を行ったケースがあったと思われる。
劇場公開できなかった理由は、映倫審査されない作品を映画館では上映しないという興行組合の内規によるものだろう。

今回は、見事に無修正で上映される。『愛のコリーダ』『メイプルソープ写真集』など猥褻か芸術かという法的に争われてきた論争の一つの区切りとなるだろう。

映画の企画は、プロデューサーの小室直子が劇映画『春画先生』をプロデュースするにあたり、「春画の多様で奥深い魅力を伝えるためには、ドキュメンタリーを作る必要がある」と考え、友人の平田潤子監督に相談したところから始まった。

平田監督が映画作りを通して最も驚いたことは、春画の多様性だったという。
「ことばがき詞書(説明)と書入れ(セリフ)で表現され、書かれたセリフも面白いですし、今のアニメ、映画、テレビ、小説といったもので描かれるあらゆるジャンルを春画は網羅していると思います」

そして撮影監督の山崎裕はカメラの向こうの春画について、「春画は性器をあからさまに描いているが、ポルノグラフのようなエロさを感じないのは、人間そのものを描いているからだと思う」と語る。

春画は、江戸時代でその表現が絶えるのだった。ポルノグラフィーであれば、その後、写真による表現が溢れ、絶えていくのはわかるが、芸術だとしたら、なぜその表現は絶えたのだろうか。ドキュメンタリーでは、横尾忠則、会田 誠、木村了子など現代の絵師たちの春画に影響を受けた作品が紹介されるのも興味深い。

おそらく次の時代は、「AI春画」が現れるだろう。その時、再び「猥褻か芸術」論争が起きるのではないだろうか。

平田潤子 監督

観客へのメッセージ

春画は本来“めでたいもの”です。正月の挨拶に交換したり、戦の際の弾よけ、お蔵で火除けに、と生活に密接に結びついてきました。それなのに美術の正史から外れ、歴史的に数奇な運命をたどってきた。そんなドラマチックな春画の存在自体を、まず伝えたかった。春画を描いた、彫った、愉しんだのは一体どんな人間たちだったのか? 当時の人間そのものが浮かび上がってきてほしいと思ってこの映画を作りました。現代ならではの目線で春画を見て、受け身ではない女性像が生き生きと描かれていることにも注目してほしいですね。たぶん皆さんが持っている江戸時代の女性像とは違う、新たな女性像を見出していただけると思います。

平田潤子
監督・脚本
大学時代 京都で自主映画制作を行い、2000年映像制作会社テレコムスタッフに入社。03年、助監督としてドキュメンタリー映画『裸の夏』(07)に参加する。ディレクターとして数々のドキュメンタリーを演出。主な作品に『三代の恋物語』(06/ATP新人賞)、『ペンダン・トイヴ』(09)、『にっぽんの記憶』(10/ゆふいん文化記録映画祭松川賞)、『なにゃどやら-陸中小子内の盆唄-』(12/ 山形ドキュメンタリー映画祭)、『詩人榎本櫻湖の冬の旅』(16/映文連アワード)など。アートドキュメンタリーシリーズ「Edge」制作にも長く携わっている。

 

ストーリー

エロティシズムだけではない、 多彩な表現内容、技巧、 その創造性! 表情豊かに描かれる 「性」と「生」を発見する 驚きのドキュメンタリー映画。

葛飾北斎、喜多川歌麿をはじめとする江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ春画。彫り・摺りの高度な技術も投入され、「美」「技」において超一級の芸術と呼べる作品が数多く生み出されたが、時代が江戸から明治に変わると“わいせつ物”として警察による取り締まりの対象となり、日本文化から姿を消してしまった。性別を問わず楽しめるアートとして再評価の機運が高まったのは、つい最近のこと。2013年、ロンドン・大英博物館での世界初の大規模な春画展に大勢の人が詰めかけ、その半数以上が女性で、2015年~16年の、東京と京都での日本初の「春画展」も動員29万人を記録し、その約半数が女性だった。

いまだ知られざる部分も多い春画の深遠なる魅力にあらゆる角度から迫り、その奥深くへと観客をいざなう本作。美しい映像で映し出されるのは、北斎の有名な“蛸と海女”の絵、歌麿の「歌満くら」、鳥居清長の「袖の巻」、鈴木春信のユーモラスな「風流艶色真似ゑもん」、大名家への嫁入り道具と伝えられる華麗な肉筆巻物、ヨーロッパのコレクター秘蔵の「春画幽霊図」などなどバラエティーに富んだ傑作の数々。さらには贅を尽くした源氏物語のパロディー「正写相生源氏」(歌川国貞)の絢爛豪華な“極初摺り”も登場! 金・銀などを惜しみなく使い、超絶技巧を駆使した立体的な表現は、現代では再現不可能とまで言われている。

春画に描かれている性愛のかたちは驚くほど多彩で、必ずしも性愛だけを描くわけでもない。そこには歓喜と興奮、情熱と悲哀、嫉妬、駆け引きなど人間味あふれるドラマや、春画が「笑い絵」と称されるようにユーモアをもって描かれる「生命」そのものの魅力に引き込まれずにはいられない。また、復刻やデジタル化などのプロジェクトを紹介。没入感を味わえる春画のアニメ化も必見だ。

2023年10月13日公開の劇映画『春画先生』(主演:内野聖陽、監督:塩田明彦)と共に、映画ならではの魅惑の春画ワールドへ、ようこそ!

【本篇に登場する作品(一部/登場順)】

❖鳥居清長「袖の巻」(全12 図)1785 年/天明5 年頃 … 横長の紙を用い大胆なトリミングで男女の姿を描く。絵・摺・彫ともに春画の最高傑作の1つ

❖鈴木晴信「風流艶色真似ゑもん」

❖勝山琢眼(狩野派)≪春画巻物≫肉筆 1775-1801 年/安永4-享保元年

❖≪小柴垣草紙≫肉筆 原本:平安時代(江戸中期模写)

❖月岡雪鼎『婚礼秘事録』 1771 年/明和8 年頃

❖渓けい斎さい英えい泉せん「枕文庫 浮名の辰巳」1825 年/文政8 年

❖喜多川歌麿「会本えほん小町引こまちびき」1802 年/享和2 年

❖喜多川歌麿『歌満くら』1788 年/天明8 年

❖勝川春潮「好色図会十二候こうしょくずえじゅうにこう」1788 年/天明8 年頃

❖喜多川歌麿「願ひの糸ぐち」1799 年/寛政11 年

❖葛飾北斎『万福まんぷく和合わごう神じん』1821 年/文政4 年

❖月岡雪鼎≪四季画巻≫肉筆 1767 1778 年/明和4 安永7 年

❖葛飾北斎(北斎工房)「絵本つひの雛形」1812 年/文化9 年頃

❖葛飾北斎「富久寿楚宇ふくじゅそう」1820 1822 年/文政4 5 年頃

❖葛飾北斎『喜能会之きのえの故こ真通まつ』1814 年/文化11 年

❖勝川春潮『艶本えほん千夜ちよの多女ため志し』1786 年/天明6 年

❖歌川国貞『正写相生源氏』1851 年/嘉永4 年頃 … 源氏物語のパロディーである春画〈三源氏〉の一つ(他に『花鳥余情 吾妻源氏』『艶紫娯拾餘帖えんしごじゅうよじょう』)

❖歌川国貞『花鳥余情 吾妻源氏』1837 年/天保8 年頃 … 『相生源氏』と同じく三源氏の一つ。同じく彫摺技法絶頂期の傑作で、始まりと終わりに趣向が凝らされている

❖勝川春英≪春画幽霊図≫肉筆 1800 年代初頭/寛政末 文化年間

❖歌川国貞『春情しゅんじょう肉婦にくぶ寿す満ま』1839 年/天保10 年

❖歌川国貞『百鬼夜行』

❖歌川国貞『開談夜之殿』

❖歌川国貞『恋のやつふじ』(南総里見八犬伝の春画版)

❖渓斎英泉『閨中けいちゅう紀聞きぶん 枕文庫』1822 年/文政5 年 江戸時代の性の百科事典

❖初代歌川豊国『絵本開中鏡』1823 年/文政6 年

❖月岡芳年「英名えいめい二十八にじゅうはっ衆句しゅうく 稲田九蔵いなだきゅうぞう新助しんすけ」1867 年/慶応3 年

【人物(一部)】

❖鈴木晴信(1725―1770 年/享保 19―明和 7 年) … 江戸時代中期の浮世絵師。中世的で人形のような春信美人は一世を風靡した。錦絵(多色摺木版画)の誕生にも大きく寄与している

❖喜多川歌麿(1753-1806年/宝暦3-文化3年) … 版元・蔦屋重三郎に見出され、狂歌絵本や美人画を手がける。「美人大首絵」という新しい表現で人気を博した。『歌満くら』は春画の最高峰と称えられる

❖勝川春潮 … 勝川派の絵師で北斎の兄弟子

❖葛飾北斎(1760-1849年/宝暦10-嘉永2年) … 江戸時代後期に活躍した浮世絵師。長い画業の中で絵のスタイルや技法を次々と変化させ、7070歳を過ぎて代表作「富嶽三十六景」を出版。5050代から1010年間だけ春画を描いたと言われる

❖歌川国貞(1786--1864年) … 江戸末期最大の人気浮世絵師で、随一の作画量を誇る

 

『春の画』予告編

 

公式サイト

 

2023年11月24日(金) シネスイッチ銀座、アップリンク京都、ほか全国順次ロードショー

 

Cast
出演:横尾忠則 会田 誠 木村了子 / 石上阿希 早川聞多 浦上 満
C.Andrew Gerstle
Michael Fornitz 橋本麻里 朝吹真理子 春画ール
ヴィヴィアン佐藤 樋口一貴 高橋由貴子 山川良一
朗読:森山未來 吉田 羊

Staff
監督:平田潤子
製作:中西一雄 小林敏之
企画・プロデュース:小室直子
プロデューサー:橋本佳子
音楽:原 摩利彦 撮影:山崎 裕 髙野大樹
録音:森 英司 阿斯汗 編集:鈴尾啓太 構成:檀 乃歩也
製作:『春の画 SHUNGA 』製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、TC エンタテインメント)
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会

【2023/日本/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/121 分/デジタル/レーティング:R18+】 ※一部劇場では4K 上映

企画・製作:カルチュア・エンタテインメント
制作:ドキュメンタリージャパン 配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2023 『春の画 SHUNGA 』製作委員会