『ツユクサ』1億分の1の確率で隕石が車にぶつかった小林聡美主演映画

『ツユクサ』1億分の1の確率で隕石が車にぶつかった小林聡美主演映画

2022-04-28 11:11:00

隕石とぶつかる確率が1億分の1。

日本の中で好意を持ち親しくなれる誰かと出会う確率も、同じく1億分の1の確率。

地方のタオル工場で働く小林聡美演じる主人公・五十嵐芙美(49歳)はある夜海外沿いをドライブしている時にボンネットに大きな衝撃を受け、車が横転してしまう。隕石が車にぶつかったのだ。隕石に遭遇する確率が1億分の1と言われている。芙美はある日、ツユクサで草笛を吹く男性(松重豊)と出会う。

脚本家 安倍照雄によるオリジナルストーリーを、平山秀幸監督が映像化。旧知のふたりが10年以上あたため続けてきた人生讃歌の物語。

日常の中にも、隕石に遭遇するのと同じ確率の出会いがあるという奇跡を、大人の人生にそっと寄り添って描く。

 

STORY

とある小さな田舎町で暮らす芙美(小林聡美)。ボディタオルを作る会社で働きながら、ひとり暮らしをしている。同じ職場の直子(平岩紙)と妙子(江口のりこ)は、何でも話せる友達で、直子のひとり息子の航平(斎藤汰鷹)は、うんと歳は離れているけれど大の仲良し。一緒に遊びに行ったり、髪を切ってあげたり、義父・貞夫(渋川清彦)とうまくコミュニケーションが取れないという航平の相談に乗ったり、何でも話せる親友だ。

そんなふうに平凡な毎日を丁寧に暮らしている芙美だが、ワケあって、少し前から断酒会に通っている。ある日の断酒会の帰り道、芙美が運転する車に何かがぶつかり、車体が転倒してしまう事故が起きる。どうやら港に隕石が落ち、その破片が芙美の車にも飛んできたらしい。隕石に遭遇する確率は1億分の1。考え方によっては奇跡に出会うようなものだ。

もうひとつ、小さな出会いが芙美におとずれる。なじみのバーでナポリタンを食べながらマスター(泉谷しげる)と話していると、見慣れない篠田(松重豊)という男性がやって来る。彼は以前、芙美がジョギング中に何度か見かけた男性で、草笛が上手な人だった。その日をきっかけに親しくなっていく芙美と篠田。

気の合う職場の友人たちとほっこり時間を過ごしたり、うんと年の離れた親友の少年と遊びに出かけたり……、日々を楽しく送る芙美だが、ときおり哀しみが見え隠れする。彼女がひとりで暮らしていることには理由があって、その理由にはある哀しみがあった。そして草笛をきっかけに出会った篠田もまた哀しみを抱えて生きている人で......。

50 歳を目前にした芙美に、小さな奇跡が起きようとしていた──。

 

 

監督インタビュー

――オリジナルストーリーですが、どんなふうに物語は生まれたのでしょう。

10年以上前にシナリオライターの安倍さんと僕とで始めた企画でした。最初のシナリオから物語として大きな変更はありません。当初は四国でのロケを考えていて、主人公はタオル工場で働いている設定でした。諸事情からウオッシュタオル工場に変わりましたが、松重さんや、工場の仲間たち、子供との交流、隕石衝突などの設定は最初からほとんど動かしていません。

――隕石の話を取り入れたことは。

人が隕石に遭遇する確率は〈1億分の1〉だそうです。調べる前はもっと途方もない確率だと思っていましたが、統計的には〈1億分の1〉。宝くじより当たりそうだねとスタッフと話していました(笑)

――タイトルの『ツユクサ』にはどんな意味が込められているのでしょうか。

ツユクサの設定は安倍さんの発想です。誰もがすぐに思い浮かべるような華やかな花ではなく、どこにでも生えている雑草に近い植物、主人公の芙美の世界に繋がるなと。芙美のフルネームが五十嵐芙美。年齢が49歳。50になる手前で遭遇した嵐のような出来事という意味合いがあったりするのでしょうか。草冠の「芙」を名前につけたり、シナリオライターが色々工夫してくれてる。ロマンチストな脚本家なんですよ(笑)

――大人だからこその恋愛が描かれていますね。

でも実際は女性のことはよくわからないんですよ。以前撮った「OUT」(2002)という作品は女性たちが主人公でしたが、死体解体というサスペンスでした。女性たちの非日常ならば、あーだこーだとやれそうですが、普通の女性の日常の心理ぐらい難しいものはない。小林さんをはじめ現場の女性スタッフに、色々と教えを乞いながら撮影してました。

――ということは、平山監督にとって挑戦でもあったということですか。

本を読んだ時に「いい読後感」という表現があるとすれば、その感覚を映画でもやれないかなとは思っていました。心地よさとか、ふんわりした楽しさとか、そんなものが残せる作品になればいいなと。

――撮影前に、役者と話し合いましたか。

分からない事は俳優さんに頼るしかないんです。芙美と仲間の妙子、直子の関係もそう。井戶端会議の気分は理解できますが、男女の色恋になると頭がこんがらがってくる。まず、小林さんが台本を読んで感じた芙美を演じてもらう、そんな感じでした。

――芙美=小林聡美さん、キャスティングの決め手はどんな点だったのでしょうか。

小林さんは歳を重ねても永遠の少女なんですね(笑)10 年前も今も、僕が描いていた芙美像は全く変わりません。今、このタイミングだったことで、小林さんと芙美が重なったと思っています。

――小林聡美さんは『かもめ食堂』『めがね』などに主演したことで、日々を丁寧に生きるイメージもあります。

僕の世代だと『転校生』のイメージが強いですが、今の人たちにはスローライフ的なイメージを抱かれるキャラクターなのかな。力まずに撮るというフォームとスローライフが重なったのかもしれない。

――撮影を振り返って、小林聡美さんのお芝居で特に印象に残っているシーンはどこでしょう。

酔っぱらったシーンはいいな。

――吾郎役の松重豊さんはいかがでしょうか。

松重さんとはもう4〜5本目になるかな。昔は「強面」の役柄でならしてましたけど(笑)一見何もしてないように見える日常の素敵さです。ただ、立っている、歩いているという佇まいの良さ。

――江口のりこさん、平岩紙さんについても起用理由をお聞かせいただけますか。

小林さんとのバランスもありますが、あの 3 人の絡む芝居はカットをかけたくないです。延々とやってもらいたい(笑)ずーっと見ていたかったです。パンツについてあーだこーだのシーンは⻑回しで同じ芝居を2カット撮りましたが、見事に同じ芝居、と言うより同じ空気を再現できる3人。本当に楽しかったです。

――お話を聞いていると、とても和やかでスムーズな撮影だったんだなと想像できます。

カメラの前に俳優さんがいて、スタッフがいて撮影が進んでゆく、映画の現場では当たり前の事ですが、その当たり前のことがなかなか成立しにくい現状もあります。でも今回は日々のスケジュールのしんどさも含めて、とても楽しい現場でした。この映画をご覧になったお客さんに、ほんの少しでも「いい時間だったな」とその空気を感じてもらえたら嬉しいですね。

 

 

 

 

 

『ツユクサ』予告編

 

<女の友情編>本編映像

 

<海辺のデート編>本編映像

 

大ヒット祈願・完成報告イベント

 

公式サイト

 

4月29日(金・祝)全国ロードショー・アップリンク吉祥寺・アップリンク京都

監督:平⼭秀幸  
脚本:安倍照雄
出演:⼩林聡美、平岩 紙、斎藤汰鷹、江⼝のりこ、松重 豊
制作幹事:朝⽇新聞社 東映ビデオ
配給: 東京テアトル

(c)2022「ツユクサ」製作委員会