『ダンサー イン Paris』ダンスへの愛と情熱が凝縮した唯一無二のクラピッシュ監督流ダンスムービー

『ダンサー イン Paris』ダンスへの愛と情熱が凝縮した唯一無二のクラピッシュ監督流ダンスムービー

2023-09-13 14:28:00

バレエ界でエトワールになる夢を怪我であきらめた主人公エリーズが、未知なる人々とコンテンポラリーダンスに出会い、新たな人生の扉を開く再生物語。ダンスへの愛と情熱が見事に映像化された、唯一無二のダンスムービーだ。

監督は、『スパニッシュ・アパートメント』『パリのどこかで、あなたと』などで知られ、今やフランスで最も愛される監督の一人となったセドリック・クラピッシュ。本作は、思春期からダンスへの熱い情熱を抱いてきた監督が、コロナ禍でパフォーマンスの場を失くしたダンサーたちの自宅撮影映像を編集し『Dire merci(メルシーと言うこと)』という4分映画を製作したのをきっかけに、「いつかダンスをテーマとしたフィクション映画を作る」という20年来の構想を実現させたものだという。

主演のエリーズを演じるのは、パリ・オペラ座の現役ダンサーで、クラシックとコンテンポラリーを自在に行き来するマリオン・バルボー。監督がダンスシーンには一切のスタントを使わないと決意し、映画初出演の彼女を主演に抜擢。また、奇才の振付家ホフェッシュ・シェクターが本人役で出演し、トニー賞ノミネート作の創作過程も披露した。

映画や舞台やダンスの一幕は、よく人生に擬えられ、例えられる。しかしこの映画は、人生の比喩としてでも人生を描くツールとしてでもなく、〈ダンスそのもの〉。あえていえば、ダンスと音楽、料理の創作、さらには日常の些末な事柄までもが、すべて渾然一体となってゆくようなミュージカル的映像表現。そしてここにこそ、クラピッシュ監督らしいセンスが光る。身体表現の美しさを堪能できるのはもちろん、ストーリーを通して心身のトラウマを未来の希望へと変える知恵が散りばめられた、非常に見応えのある一作だ。

 

セドリック・クラピッシュ監督


セドリック・クラピッシュ

監督
1961年9月4日、パリ近郊のヌイィ=シュル=セーヌに生まれる。リセ・ロダンに通ったのち、グランド・ゼコールを目指すも、第一候補としていたIDHEC(フランス国立高等映画学院、現FÉMIS)の受験に失敗。そのため、最初、パリ第3大学で、次いで第8大学で映画を学び、学位を得る。ふたたびIDHEC受験に臨むもまたまた失敗した彼は、進路を一転、ニューヨーク大学に定め直して、そこで2年間、映画を学び直す。’84年に最初の短編「Glamour toujours」を監督し、その後も次々に短編を発表し始める。帰国後は、レオス・カラックスの『汚れた血』(86)の現場などに照明担当として参加する一方、’89年に撮った短編「Ce qui me meut」があちこちで話題に。そして’92年に最初の長編『百貨店大百科』を発表。’96年、『猫が行方不明』はベルリン国際映画祭で映画批評家協会賞を受賞し、大ヒットとなった。その後も、『家族の気分』(96)、『パリの確率』(99)、『PARIS パリ』(08)などパリを舞台にした作品を連打する一方、『スパニッシュ・アパートメント』(02 )、『ロシアン・ドールズ』(05)など、青春の一時期をテーマにした作品がトレードマークに。

 長年のバレエ・ダンスファンであり、『オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に』(10)や、パリ・オペラ座の舞台を撮った作品もあり、クラピッシュ映画の多岐にわたる魅力も見逃せない。また、作品のどこかにカメオ出演しており、それを発見するのも楽しみのひとつ。

 

ストーリー

パリ・オペラ座バレエで、エトワールをめざすエリーズ。だが、夢の実現を目前にしながら、「ラ・バヤデール」のステージの最中に、恋人の裏切りを目撃し、ジャンプの着地に失敗して足首を痛めてしまう。医師から踊れなくなる可能性を告げられたエリーズは、一晩で恋も仕事も失って呆然とする。幼い頃から支えてくれた母を亡くしてからも、ひたすらバレエ一筋の日々を送ってきたが、完治しなければ新しい生き方を探すしかない。

エリーズは10代の時にバレエをやめたサブリナに会い、「どう折り合いをつけた?」と質問する。「人生と一緒に夢も変えた」と答えるサブリナは、女優になるという新たな夢を目指していた。サブリナの恋人で出張料理人のロイックのアシスタントに誘われたエリーズは、今は流れに任せようと引き受けることにする。

エリーズは、サブリナやロイックとともにブリュターニュへと旅立つ。才能あふれるアーティストたちへ練習の場を提供する瀟洒なレジデンスで、料理係のアシスタントを務めることになるのだった。そこで、芸術を愛するオーナー・ジョジアーヌや、今を時めくホフェッシュ・シェクター率いるダンスカンパニーと出会い、独創的なコンテンポラリーダンスが生み出される過程を目撃する。やがて、怪我をした足を気にしながらも、誘われるまま練習に参加したエリーズは、未知なるダンスを踊る喜びと新たな自分を発見していく——。

 

『ダンサー イン Paris』予告編



公式サイト


2023年9月15日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺アップリンク京都、ほか全国順次ロードショー

監督:セドリック・クラピッシュ
振付・音楽:ホフェッシュ・シェクター
出演:マリオン・バルボー、ホフェッシュ・シェクター、ドゥニ・ポダリデス、ミュリエル・ロバン、ピオ・マルマイ、フランソワ・シヴィル、メディ・バキ、スエリア・ヤクーブ

【原題:EN CORPS/2022/フランス・ベルギー/フランス語・英語/日本語字幕:岩辺いずみ/118分/ビスタ/5.1ch】

配給:アルバトロス・フィルム、セテラ・インターナショナル
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、UniFrance/French Film Season in Japan 2023

© 2022 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA Photo : EMMANUELLE JACOBSON-ROQUES

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