『Pearl パール』制作スタジオA24が贈るホラー『X エックス』の前日譚、ミア・ゴスの怪演が光るキッチュでビビッドなサイコホラー

『Pearl パール』制作スタジオA24が贈るホラー『X エックス』の前日譚、ミア・ゴスの怪演が光るキッチュでビビッドなサイコホラー

2023-07-05 23:20:00

純真無垢な夢見る少女が、狂気を帯びた残忍なシリアルキラーへと変貌を遂げてゆく物語。

よくできたストーリーである。彼女の奇行の残虐さ、不気味さにたじろぎながらも、誰もが心のどこかに持ち合わせているだろう抑圧された悪感情や悲しみが時に共感を呼ぶ。そして気づけば、彼女の動機の純粋さゆえの底知れない狂気に翻弄されているのだ。

本作はシリーズ第2作目で、『ミッドサマー』の制作スタジオA24が贈る前作『X エックス』でも監督を務めるタイ・ウェストが、引き続きメガホンを取る。前作『X エックス』に登場する極悪老婆パールの若かりし日を描き、殺人鬼パールがいかにして誕生したかを物語る前日譚だ。ホラー映画初のオスカー候補と噂され、世界中で話題にもなった。現在製作中の『MaXXXine(原題)』と共に、3部作を構成している。

前作『X エックス』でヒロインのマキシーンと老婆パールの1人2役を演じたミア・ゴスが本作でも主演を務め、若かりし日のパールを演じる。その他、監督と共同で脚本を手掛け、製作総指揮も担っているという。

無垢でデモニッシュな主人公パールの狂気を帯びた笑顔が、強烈な一撃となって脳裏に焼き付いて離れない。殺意と暴力性をこれでもかと呈していながら、気付くと心奪われてしまうミア・ゴスの存在感といい、キッチュでビビッドな映像といい、とてつもなくパワフルで蠱惑的な映画なのだ。

 

タイ・ウェスト 監督コメント

映画へのラブレターメッセージ

『X エックス』は、1970年代の低予算ホラー映画の独特な美学と質感に敬意を表している。『Pearl パール』では、⻑年にわたり組んできた撮影監督のエリオット・ロケットが、別のスタイルを選んだ。本作は古典的なミュージカル作品のように、そして、ジョージ・キューカー監督や、ダグラス・サーク監督や、マックス・オフュルス監督のような⼥性が主導するメロドラマ⾵に、美しいテクニカラーを使って撮影した。

僕は視覚的な芸術を⾒ていることを再認識させてくれるような映画を⾒るのが好きだ。現実ではなく映画を⾒ているというのがいい。『X エックス』は映画へのラブレターだったけど、『Pearl パール』も同じだよ。ただ視点と雰囲気が異なる違うタイプの映画ってだけなんだ。視覚的にも⾊合い的にも、僕は映画の内容とは対照的なストーリーを語りたかった。つまり困難な時代を⽣き抜く若い⼥性の成⻑物語だ。

僕は当初、頭の中にこんなイメージを浮かべていた。ベルイマンの映画か何かから出てきたような厳格なドイツ⼈の⺟親がまきを割るというイメージだ。それもすばらしい映画かもしれないけど、物語が進むにつれて、厳しい世界をディズニー⾵にしたら⾯⽩いかもと思い始めた。観客に、⼦供⽤の映画を⾒ているみたいに感じてほしかったんだ。『オズの魔法使』のような映画に似てるけど、思っていたのとまったく違う⽅向に進むような映画にしたかった。

テクニカラーを使った映画は『オズの魔法使』が⼀番有名だ。この作品は農場での苦労と逃げ出したい思いを描いたファンタジーと想像⼒に満ちた映画だ。『X エックス』を書いた時1970年代のホラーが頭のどこかにあったように、『Pearl パール』を書いた時もそうだった。でも、この2つは結局まったく異なる映画になった。こういう映画だろうと分かった気になっている観客に、“本当にそうかな?”って問いかけるのは楽しいよね。

2021年3⽉に『X エックス』を撮り終えた1ヵ⽉後、ニュージーランドで『Pearl パール』の撮影を開始した。1作⽬の農家とその周辺を再利⽤した。『Pearl パール』を実現できた⼤きな理由の1つは、納屋と宿泊所を既に作っていて、家のロケーションを確保していたことだ。撮影終了後にセットを解体せず、ペンキと壁紙を使って、別の映画で再利⽤した。映画の撮影現場では廃棄物が⼤量に出ることが多いから、作ったものをすべて再利⽤できてすごくいい気分だったよ。沼はハリウッドのバックロット(=スタジオ近くの野外撮影所)に⾒⽴てたし、古いものはすべて新しく⽣まれ変わった。

『X エックス』で納屋が倒壊した場所は、前⽇譚ではまったく新しい場所になった。農家の中は1作⽬では暗くてわびしく⽼朽化していたが、時代に合う壁紙を張り、1918年頃のドイツ系アメリカ⼈の農家に変えた。1ヵ⽉間ずっと撮影していた場所に、再び下⾒でスタッフが戻ってきた時、誰も⽬の前にある光景を信じられなかった。まったく違う世界なのに、同じ家だったんだ。

『X エックス』と同じく本作でもOHUfxが視覚効果を担当した。そしてウェタ・ワークショップが、ショッキングな暴⼒シーンに必要な特殊メイクやメーキャップ、膿や流⾎、その他の体液を⼿掛けてくれた。パールの愛すべきペットのワニは、ウインチで巻き上げられて操作され、特殊効果とCGの組み合わせで作り出された。1作⽬で既に登場しており、さらなる新鮮な⾁にありつき尻尾を振りながら、沼で待っている。『X エックス』で僕は演技、撮影技術、⾳楽、デザインなどで技術的な⾯を重視していた。『Pearl パール』も同じだ。普段は僕ほど映画について考えない現代の観客に、満⾜して帰ってもらえる映画だよ。

タイ・ウェスト
監督・製作・脚本・編集
1980年10月5日、アメリカ・デラウェア州ウィルミントン生まれ。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで映画製作を学ぶ。2005年に『The Roost』で長編映画監督デビュー。『The House of the Devil』(09)を監督し、メディアから「この10年で最も素晴らしいホラー映画の1本」と高く評価される。ホラー映画界のカリスマであるイーライ・ロスがプロデューサーを務めた『サクラメント 死の楽園』(13)がヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映。主な監督作に『キャビン・フィーバー2』(09)、『インキーパーズ』(11)、『V/H/Sシンドローム』(12)、『ABC・オブ・デス』(12 ※アンソロジー) 、『サクラメント 死の楽園』(13)、『バレー・オブ・バイオレンス』(16)などがある。俳優としても活躍する。現在、Xシリーズ三部作の完結編となる『MaXXXine(原題)』を撮影中。

 

ストーリー

1918年、テキサス。

スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れるパールは、敬虔で厳しい母親と病気の父親と人里離れた農場に暮らす。若くして結婚した夫は戦争へ出征中、父親の世話と家畜たちの餌やりという繰り返しの日々に鬱屈としながら、農場の家畜たちを相手にミュージカルショーの真似事を行うのが、パールの束の間の幸せだった。

ある日、父親の薬を買いに町へ出かけ、母に内緒で映画を見たパールは、そこで映写技師に出会ったことから、いっそう外の世界への憧れが募っていく。そんな中、町で、地方を巡回するショーのオーディションがあることを聞きつけたパールは、オーディションへの参加を強く望むが、母親に「お前は一生農場から出られない」といさめられる。

生まれてからずっと“籠の中”で育てられ、抑圧されてきたパールの狂気は暴発し、体を動かせない病気の父が見る前で、母親に火をつけるのだが……。 

 

『Pearl パール』予告編



公式サイト

 

2023年7月7日(金) TOHOシネマズ⽇⽐⾕、アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー

 

監督:タイ・ウェスト
脚本:タイ・ウェスト、ミア・ゴス
出演:ミア・ゴス、デヴィッド・コレンスウェット、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ
配給:ハピネットファントム・スタジオ

原題:Pearl|2022 年|アメリカ映画|上映時間:102分|R15+

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