『70歳のチア・リーダー』シニア女性のみのチア・ダンスチーム奮闘記「目標は老いに対する固定観念を打ち砕くこと!」ルーフヴード監督

『70歳のチア・リーダー』シニア女性のみのチア・ダンスチーム奮闘記「目標は老いに対する固定観念を打ち砕くこと!」ルーフヴード監督

2023-06-21 14:42:00

カラフルで大胆なコスチュームと濃厚メイクに身を包んだシニア女性だけのチア・ダンスチーム〈カレンダー・ガールズ〉。彼女たちの奇抜な衣装やメイク、パフォーマンスの裏には並々ならぬ覚悟と情熱があった。

監督を務めるのは、スウェーデン出身のマリア・ルーフヴードとローヴェ・マルティンセン。初長編監督作である本作で、2022 年にフォートマイヤーズ映画祭最優秀ドキュメンタリー賞、サウスサイド映画祭最優秀作品賞、第40回ベルガモ・フィルム・ミーティング最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。また、2022 年サンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門でプレミア上映された他、世界各地の映画祭で上映されてきた。

周囲の目線を感じながらも、彼女たちはそれをはねのけてやりたいことを追求する。彼女たちは〈老い〉や〈おばあちゃん〉のイメージを蹴散らし、自由と人生を決して諦めることがない。大胆なその姿と内に秘めたファイティングスピリットに、最初は驚き衝撃を受けたとしても、共感を覚えない女性など実は一人もいないのではないか、と思う。

本作を通じて彼女たちは、大胆であると同時に、周囲の環境と折り合いをつけながらどうにかバランスを保っている〈ごく普通の女性〉でもあることがわかる。そして、それぞれが抱える葛藤に共感することでますます、私たちは彼女たちのダンスから、勇気と第二の人生への大きな励ましを得ることができるのだ。

 

監督コメント

2018年 4月フロリダ州ケープコーラル。私たちは子どもたちを連れて、地元のイベント「タッチ・ア・トラック Touch a Truck」にトラクターや掘取機を見に来ていた。すると突然、ミニスカートとスパンコールに身を包んだ女性たちのグループが目に飛び込んできた。彼女たちはトラックの荷台に登り、踊り始めた。タイトなタンクトップで「私たちはカレンダー・ガール!」と宣言していた。

私たちは目を離すことができなかった。彼女たちはリタイア後の女性たちだ。私たちを楽しませ、魅了しそして、ちょっと不快にさせる。自分の偏見と向き合わされるのだ。なぜ、彼女らのパフォーマンスは、こんなにも複雑な感情を呼び起こすのだろうか。60代以上の女性たちが、踊ったり、じゃれあったり、とにかく楽しそうにしているのを見て、なぜ私たちは驚いてしまうのだろう? 私たちが抱いている高齢者のイメージは、時代遅れなのだろうか?

その日の夜、チームのリーダーであるキャサリンに連絡を取り、インタビューを申し込むと、彼女は「何でもやりますよ」と答えてくれた。こうして映画作りが始まった。

それから2年間、私たちは家族(2人の子ども、おじいちゃん、おばあちゃん)と一緒にフロリダを行ったり来たりして、できるだけ多くの時間をチームと一緒に過ごした。私たちは、グループを内側から知りたいと思ったのだ。衣装やメイクの裏側に迫り、60歳以上の女性であることとはどんな感情なのかを知るために。クレイジーなフロリダ人の映画ではなく、親密で尊敬に値するポートレートにするために。カレンダー・ガールズが「何でもやる」というのは本当だった。我々は、彼女たち自らが振付したダンスシーンを撮ることを思いついた。彼女たちの感情、経験にスポットを当て、カレンダー・ガールズの精神を映画的に捉えるために。彼女たちの信頼と勇気のおかげで、最初から最後まで、非常に遊び心のあるプロセスで進めることができた。

本作での我々の目標は、老いに対する固定観念を打ち砕くことだ。身近なガールたちを探すよう人々を元気づけるために。踊れるうちに全力で踊ってしまうために!

マリア・ルーフヴード
Maria Loohufvud
監督
音楽とダンスのバックグラウンドを持つアートディレクター。『70歳のチア・リーダー』で長編デビュー。関心分野にフェミニズムがあり、「Komma Lika」などのゲームや、様々なプラットフォームでプロジェクトを生み出している。ローヴェ・マーティンセンと共にインディペンデントのプロダクション、「ピンクドルフィン」を設立。

*Komma Lika:スウェーデン語で「平等になる」「引き分け」という意味。

 

ローヴェ・マルティンセン
Love Martinsen
監督
映画、テレビの作曲家。『70 歳のチア・リーダー 』で長編デビュー。スウェーデンのインディー音楽シーンでプロデューサー、ミュージシャンとしての経歴を持つ。

 

イントロダクション

教会やパーティーに呼ばれれば魔法のトナカイに。空軍の同窓会ではピンクのユニコーンに。高齢者施設ではゾンビに!彼女たちはフロリダで最もアツいシニア女性だけのチア・ダンスチーム<カレンダー・ガールズ>!年間100回以上もの公演を行い、週に3回の練習をこなし、自分たちで振付けし衣装も作る!パワフルで前向き、おしゃれ大好きな彼女たちのダンスの裏には、持病との闘い、夫の無理解、服役していた過去を持つメンバー、老いとの向き合い……それぞれの女性の過酷なバックグラウンドがあった。みんな、何かしら大変なことはあるけれど、互いに励まし合い、全力でサポートし合う。好奇心と探求心、創作意欲にまっすぐな彼女たちの、友情と連帯、夢とユーモアいっぱいの“青春物語”が今、始まる‼

 

〈カレンダー・ガールズ〉について

フロリダを拠点とする、熱心で才能ある50歳以上の女性たちで構成されるチア・ダンス・チーム。 活動の発端は2005年。あるダンサーグループが地元バスケットボールチームのハーフ・タイム・ショーに出演するためオーディションで選ばれたことにはじまり、2006 年に非営利のLLC(有限責任会社)として法人化し、〈カレンダー・ガールズ Calendar Girls〉が誕生した。

カレンダー・ガールズは、地域のイベント、チャリティー募金活動、プライベートパーティー、パレード、高齢者施設などでパフォーマンスを披露し、フロリダ南西部の人々の心を掴んできた。時にエレガントに、時にはワイルドで奇抜なコスチュームを身にまとい、地域とのつながりを大事にしている。〈年齢とは心の状態である〉をモットーに、あらゆる年齢の女性のロールモデルになるよう努めている。〈成熟した動き〉(Maturity in Motion)をすべてのパフォーマンスで体現することを目指し、カントリー、ロックン・ロールなど様々な音楽を取り入れ、公演はフロリダ州全域に渡る。活動の大きな目的の一つは、慈善事業であるということだ。

カレンダー・ガールズ Calendar Girlsという名称は、フロリダ州パルメットにある、盲導犬や介助犬についての活動をしているサウスイースタン・ガイド・ドッグス Southeastern Guide Dogs の認知度向上と資金調達のために、彼女たちが毎年作っているカレンダーに由来する。現在、サウス・イースタン・ガイド・ドッグスに 25 頭目の盲導犬を贈るべく活動中。

※サウスイースタン・ガイド・ドッグスSoutheastern Guide Dogs:視覚障害のある退役軍人やPTSDのある退役軍人のために盲導犬の訓練等を行っている。


『70歳のチア・リーダー』予告編


公式サイト

 

2023年6月23日(金) アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー

2023年7月28日(金) アップリンク京都

 

Cast
キャサリン・ハーディ・ショートリッジ
フラン・ド・ニケ
ナンシー・ミラー
スー・クーンス
パトリシア・ヒンショー・ダースヘム

Staff
監督・製作・撮影・編集 :マリア・ルーフヴード/ローヴェ・マルティンセン
音楽・音響:ローヴェ・マルティンセン

2022年/スウェーデン アメリカ/カラー/ 8 5 分/ドキュメンタリー

原題:Calendar Girls/日本版字幕:松岡葉子
提供・配給:パンドラ