『リファッション ~アップサイクル・ヤーンでよみがえる服たち~』衣料や資源を通してサスティナブルを目指す3人の香港人の挑戦

『リファッション ~アップサイクル・ヤーンでよみがえる服たち~』衣料や資源を通してサスティナブルを目指す3人の香港人の挑戦

2023-06-06 17:13:00

本作は、衣料や資源を通して持続可能な社会を作ろうとする3人の香港人の挑戦を記録したドキュメンタリーである。

まずフォーカスを当てるのは、香港政府のイノベーション技術委員会から資金提供を受け、理工大学が組織する「香港繊維アパレル研究所(HKRITA)」のCEOエドウィン・ケー。香港の繊維メーカーNOVETEXと共に廃棄衣料からテクノロジーにより水と薬品を使用せず糸にし、新たな服にアップサイクルし、よみがえらせることに挑戦する。続いて2人目は、子供服の古着を販売するネットワークを作る、サラ・ガーナー。3人目は、香港では分別廃棄されていないペットボトルのリサイクルに挑戦するエリック・スウィントン。

世界でも有数の人口密集都市である香港では、毎年地形図が変わるほどゴミの埋立地が増え、社会問題に発展している。消費者の衰えることのない購買意欲に加え、近隣の中国が、他国からの廃棄衣料など廃棄物の輸入を禁止しているのが大きな原因だ。

社会を『reFashioned(作り直す)』というテーマについてヒントを与えてくれる本作。私たち一人ひとりが未来のために今できることを、さまざまな角度から教えてくれている。

 

2023.6.10 トークショー
大釜翼 × 亀石太夏匡


向かって右:大釜翼氏、左:亀石太夏匡氏

とき :6月10日(日) 15:30〜16:00頃
登壇者:「REBIRTH PROJECT」株式会社Social Plastik 代表取締役 CEO大釜翼、メイキットコープ株式会社 代表取締役 亀石太夏匡(敬省略) 
ところ:YEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区恵比寿4丁目20−2)

 

ーー映画をご覧になった感想からお聞かせください。

―亀石さん

ちょうど私がリバースプロジェクトを立ち上げた頃が蘇りました。
2008年にSDGsなんていう言葉もないですし、社会的な背景として当時はリーマンショックの年だったこともあり、世界的に経済がダメージを受け、社会課題とか環境問題とかに目を向ける余裕がなかったというのが現実でした。

そんな中、社会課題や環境問題を解決しようという発想の下チャレンジをしたので、本当に逆風の中だったんです。

この簡単ではない道に進んでいくということに対し、まずベースに情熱があって、それを諦めずに進んでいくという気持ちがあるからこそ形になっていくんだなと、この映画は本当に大切なことを教えてくれる作品だと思いました。

―大釜さん

僕もこの映画を見て特に服から服を最終的に形にするというのはその人たちの熱量というところが一番大事で、結局熱量が人を動かし、最終的に形になって社会がより良くなっていくという事をすごく感じました。
今、亀石さんが創業したリバースプロジェクトを引き継いでいるのですが、僕はその時学生だったので議事録をする係だったのですが、それをまとめることですら大変だったので、映画を観て、その時を思い出しながら、リバースプロジェクトのやっている情熱の部分に僕は惹かれ、関わることになっていったので、本当にそういうところが何か動かしていくんだなということをこの映画を通して感じました。

ーーリバースプロジェクトのお話を教えてください。

―亀石さん

僕がリバースプロジェクトやってきた時というのは、ちょうどエシカルという言葉が出てきて、今だとSDGsもそうですし、その前だとCSRからCSVへと返還もありました。みたいなそういう風な流れもあったのです。ただこういう言葉は、全て欧米から入ってきた言葉だったり、価値観なんです。

語弊になるといけないのですが、決してそれを否定しているわけではありません。
例えばSDGsは、17項目169のターゲットと可視化したことにより、多くの方々が共有し、それをできたことはすごく画期的なことだったと思います。
ただその中で、私が十何年こうやって活動やプロジェクトを行ってきた中で、すごく大切だなと改めて思ったことは、日本人はもっとそれ以上に素晴らしい価値観や考え方を持っているんだなと思いました。

―大釜さん

自動車のエアバッグをアップサイクルしているプロジェクトがありまして、この映画を観た時に、まずそのことが浮かびました。
実は今日僕が着ているベストとか靴は、自動車のエアバッグをアップサイクルして作っています。
それは何故かというと、自動車が廃車される時、大体90%以上は部品としてリサイクルされるのです。ただ残りの10%を切る中でこのエアバッグとシートベルトは、使わなかったからといって廃車から取り出して新車に備えつけることはもちろんできないので、すごく頑丈な素材でもあるので他に使う手段というのがなく、大体は焼却処分されたり、あるいは使われたとしてもカーペットなどで価値を上げていくアップサイクルというところまでには及ばないのです。
その意味でリバースプロジェクトとしては、価値を高めていくようなリサイクルアップサイクルをしていこうということで取り組んでいます。


ーー
長らくプロジェクトに関わられている亀石さんの思いをお聞かせください。

―大釜さん

自動車のエアバッグを糸にするということも、日本を代表する石川県にある小松マテーレ株式会社という企業が協力してくださっているのです。
企業単体での規模感で言うと世界を股にかけているそこまでの規模ではないのですが、こういうことを続けてやっていることが届いて、彼らからこういう開発をしてみましょうと誘って下さったり、それから今日ここに置いているハイドロブラスク。
これはアメリカのステンレスボトルなのですが、ここももちろんアメリカの方で自然保護をするためにこのステンレスボトルを作っているのです。
ただ日本に流通してくる中で、日本国内ではまだそういった活動が出来ていないからどういうことをしていこうという時にパートナーとしてリバースプロジェクトを選んでいただいているというところがあります。やはり続けていく事と無理だよと言われても言ってみる、そういう事が大事だなと本当に思いました。もっとそういうことを仕掛けていきたいなと思いました。

大釜翼(株式会社Social Plastik)
1990年、東京生まれ。サステナブルな取り組みを行うプロジェクトブランド「REBIRTH PROJECT」を運営する株式会社Social Plastikの代表取締役。 「クリエイティブな視点で社会課題を解決する」ことをミッションに「REBIRTH PROJECT」の運営や、そのノウハウを活かし企業のブランディングやプロデュースを行なっている。

亀石太夏匡(メイキット・コープ株式会社)
1971年、東京都生まれ。映画業界へ参入。2002年公開の映画「カクト」(脚本・出演)、2008年公開の映画「ぼくのおばあちゃん」(脚本・プロデュース)、2012年公開の映画「セイジ 陸の魚」(脚本・プロデュース)などの話題作を手掛ける。現在はクリエイティブ、テクノロジー、ビジネスを手段とし新たな組織形態に挑戦をするメイキットコープ株式会社の代表取締役を務める。

 

2023.6.11 トークショー
eri × 鎌田安里紗


向かって右:鎌田安里紗さん、左:eriさん

とき :6月11日(日) 15:52〜16:17頃 
登壇者:デプトカンパニー代表・アクティビスト/ eri、一般社団法人unisteps共同代表理事/鎌田安里紗(敬省略) 
ところ:アップリンク吉祥寺(東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目5−1パルコ地下2階)

≪eriさん・鎌田安里紗さんが提案する「サステナブルなファッション」3つの提案≫

廃棄される衣料を水や化学薬品などを使用せずに撚糸にして新しい服へとアップサイクルすることに挑戦する事を描いた『リファッション~アップサイクルでよみがえる服たち~』の公開記念トークショーが行われた。

お2人は「服を作るのに資源・エネルギーが必要なので作った服は長く大事にされるべき。ファッションで私たちがアクションとして何ができるか?環境問題を考えながらファッションをどうやって楽しんでいったらいいか?大事にするためにはどういう風にしたらいいのか?どうやって洗ったらいいんだろう?どういう風に着たらいいんだろう?」と語り、洋服を購入し利用していく際に必要な「サステナブルなファッション」に関して3つの提案をしてもらった。

(1)
もともと持っている服を長く着ることでCo2の削減に。新しい着方を考えたり、染め直しやリペアをする。ちょっと手を加えて新鮮さをもたらしてまたフレッシュな気持ちで着てあげる。

(2)
服のセルフケアできれいを長持ち。
コートやニットは毛玉を取る。
汚れが気にならない時は洗わず陰干しするなど洗濯の頻度を減らしてみる。

(3)
新しいものを買う前にセカンドハンドや古着で探してみる。
長く使え、いずれ次の人に受け渡せるようなものか考えて買い物をする。リサイクルを考えてできるだけきれいに着ることも大切。


≪eriさん・鎌田安里紗さんおすすめのサイトなど≫
 
サステナブルファッション環境省
 
Good on you
誰でもエシカルファッションを選べるアプリ「Good on you」が取り組む消費者の意識改革

Voicy(ボイシー)

FASHION REVOLUTION

Instagramサイト
eriさんと鎌田安里紗さん共同プロジェクト
Honest Closet(オネスト クローゼット)


eriさん(デプトカンパニー代表・アクティビスト)
アパレル会社経営・プロダクトのデザイン・古着のバイイング/販売を通して、繊維産業、地球の環境課題、気候危機に対してどうアプローチできるかを模索中。またアクティビストとしてあらゆる社会問題に関心を寄せ、またそれをどう市民が課題解決のためにアクションできるのかを考えシェアし、さまざまなプロジェクトを立ち上げ運営に携わっている。

鎌田安里紗さん(一般社団法人unisteps共同代表理事)
「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表をつとめ、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、衣食住やものづくりについて探究するオンラインコミュニティ「Little Life Lab」など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍

 

ジョアンナ・バウワーズ 監督インタビュー

私の友人の一人は、私の映画を見て素敵な反応を示してくれました。もう二度と同じような買い物はしない。買い物はじっくり時間をかける ーー ジョアンナ・バウワーズ監督

ーー中心となる3人の出演者の、近況について教えていただけますか?

HKRITAのエドウィンは、ますます力をつけているようです。彼は、別の新しいリサイクル技術を手にしたようです。コットンのリサイクルに関するもので、政府によって承認され、資金が提供されたはずです。彼は相変わらず、行く先々で解決策を見つけています。同時に引退についても考えるかもしれないとある時点で言っていました。

でも、ビリーシステムは本当にうまくいっています。あのリサイクルシステムは、コロナ禍で人々が直接施設を訪ねられないという課題はありましたが、現在、彼らは香港の多くの大手ホテルグループと交渉を始めています。

彼らが抱えている課題のひとつに、入ってくるテキスタイルに含まれる様々な素材の分離がありました。
しかし、ホテルからのテキスタイルだと、シーツやタオルは多くの場合綿100%なんですね。これは、単一の素材が多く入ってくる確証が得られるとてもいい方法なんです。規模を拡大して施設をもっと通常のスピードで運営する機会を得るための助けになります。

次にサラのRetykleも、とてもうまくいっています。

規模を拡大し、昨年はシンガポールにも進出しました。とても素晴らしいことです。本当にエキサイティングです。最近も資金調達のラウンドを終えたばかりです。彼女はシリーズAラウンドを目指すつもりだったのですが、今はシリーズAは厳しいみたいで。それで、彼女はそうしたんです。何というラウンドかはわかりませんが、また資金を調達して、サラは進めていくようです。

彼女はアメリカのスタートアップのためのアクセラレータ・インキュベータプログラムにも選ばれました。来週あたり、彼女はシンガポールに行くと思います。ご存知のように、彼女は楽観的なのですが、規模の拡大とRetykleをグローバル化する点で、これは次の重要な要素になります。

また衣類にデジタルレシートというか、デジタルタグのようなものを付ける実に興味深い技術も開発しています。

多くのブランドと協力し、この技術を一本化して誰かが何かを買ったときにデジタルタグを受け取り、その製品がプラットフォームなどで再販されるたび、何度でも共有できるようにしています。うまくいけば、彼女の仕事の中で最も労働力を要する、スキャニングや取り込みのプロセスの多くを自動化することができます。

V Cycleのエリック・スウィントンについては、みんな心配していました。

でも、香港の不動産会社から彼は非常に大きな助成金を獲得したという素晴らしい知らせを受けました。3年から5年の間、彼に資金提供します。それで彼は今、給与が出るようになりました。
リサイクルセンターを持ち、フルタイム雇用が可能になったのです。そのような報告ができるのは、とても嬉しいことです。

ーー映画製作時のインタビューを拝見しましたが、ファストファッションへの見方は以前と変わリましたか。

私の世代は私たちがティーンだった時、突然ファストファッションの安い服が手に入るようになりました。私たちは、その服がどこから来たのか、その服の背景にある物語も知らず、何も考えずに安いから買おうという感じでした。

今の消費者はもっと教育され、SNSがあるおかげでよりたくさんの知識も持っています。誰が私の服を作ったのか、この服の背景にいる人たちが誰なのかを実際に知ることができます。バングラデシュからの、繊維労働者のコンテンツをシェアしている人たちがいますが、私たちがファストファッションを買う時、彼らの稼ぎが生活費にすらならないことを説明しています。

また、ファストファッションが、低価格で服を作る過程で、環境に与える影響についても学んできました。そこにはいつも石油化学製品が絡み、合成繊維にもなります。私たちが今立っているのは、沢山のことを学んできた先なのです。

そして今はティーンの気持ちも分かります。私には14歳の姪がいます。

限られたお金しか持たないティーンの手に届くところにあり、SNSで薦められるファストファッションを選ぶ理由も分かります。ただ抵抗し、距離を置くことは、本当に難しいことだと思います。一方で、次世代は賢く、情報も持っていて選択肢があることを知っています。

だから、私より若い人たちは、ずっと良い選択をし始めたのだと思います。

ーー映画を撮影したことで、あなたの消費に対する認識や行動は変わりましたか?

100%変わりました。
繰り返しになりますが、私は香港でもヴィンテージものが好きです。韓国のヴィンテージショップもいくつか見つけました。

そこでも買い物をするようになり、娘のための買い物の仕方が変わりました。
私は7歳になる娘がいるのですが、実は、最初にRetykleを知ったとき、たとえ中古品だとしても娘にグッチは必要ないと思っていました。

でも、Retykleについて知っていくうちに、私がその価値を本当に理解し始めたのは、サラがスキーウェアについて話してくれたときでした。
冬にイギリスでスキーに行く場合、娘にスキーウェアを買うのですが、娘が着るのは2日間か5日間くらいです。そして翌年には、もう着られなくなっています。私にとってそれは本当に悩みの種だったのです。

そんな中、Retykleのことを知り、スキーウェアはここで買った方がいいことが分かりました。今ではサラが毎年起きるサイクルについて教えてくれます。スキーウェアはクリスマス休暇の前に売れ、休暇が終わったら戻り、中国の旧正月にまた出荷し、イースター前にまた戻る。そしてイースターにはまた売れ、再び戻ってくるのです。つまり、この小さなプロセスによって、衣服のライフサイクルが突然たくさん生み出されるわけです。そんなことがきっかけで、私はそちらを選ぶようになりました。

自分の考え方を少し変え、H&MやGAPより1つレベルアップするように少し質の高い服を買い始めました。それなら買取リストに載っています。そして今、娘が着た服をたくさん送り返すところまで来ました。新しい服をRetykleから買って、着なくなったらまた送り返すのです。

それは私の娘、次世代にとって素晴らしいことです。娘はまだ7歳ですが、このような問題をとても意識しています。他の選択肢もあることを、成長するなかで娘が知っていくことが、本当に嬉しいです。

ーー観客には、ティーンから30代の女性客が予想されますが、何かメッセージはありますか?

つい最近、娘の学校で若者のグループと話す機会がありました。とても興味深かったのが、彼らのうち誰も埋立地について聞いたことがなかったのです。自分の服の行く末を考えたことのある子は一人もいなかったと思います。

私は彼らに映画の予告編と数枚の埋立地の写真を見せ、その日が私たちにとって、どれほど忘れられない日であったかを説明しました。

それがきっかけで彼らはより深く考えはじめ、活発な議論が交わされ、多くの人たちが解決策を探しました。
小さな子供たちの場合は、問題を認識させるだけで、意識的な消費者に成長すると思います。

大人の場合は、習慣を変えることです。

ーー観客には、ティーンから30代の女性客が予想されますが、何かメッセージはありますか?

私の友人の一人は、会社を経営するプロフェッショナルなキャリアウーマンですが、私の映画を見て素敵な反応を示してくれました。「もう二度と同じような買い物はしない。買い物はじっくり時間をかける」と。それは本当に素敵なことだと思います。

今は、本当に素晴らしいリセールショップやセカンドハンドショップが香港にあります。彼女は、まずこういうお店やウェブサイトをチェックしてからじゃないとオンラインで新しい買い物はしないと言ってくれました。香港にはレンタルのプラットフォームのようなものがあるので、レンタルも視野に入れ、新しいものを購入する前は、まずその2つの選択肢を検討すると言っていました。

私たちの世代では、とても大きな変化だと思います。働いてお金を稼ぐようになってからは、ファッション業界が「新しいシーズン」というマインドセットを私たちに刷り込んできたことに気が付いたと思います。

消費主義、強力なマーケティング媒体やメディアから離れ、買い物をする前に意識的になれば良いのです。それこそが、観客の多くに求められることだと私は思います。

 

ーー最後に日本は消費社会ですが、日本の観客にメッセージをお願いします。

日本は消費社会ですが、それと同時に日本の消費者は賢いとも思います。私の知識と体験では、日本文化は質と遺産を重んじますよね。使い捨て文化という感じもそれほどしません。人々はデザインの美しさの価値を認め理解していると思います。そして製品が受け継ぐ遺産も。

もちろん、みんながファストファッションの誘惑に負けることは仕方がないことです。
でも、文化的な面から言えば、少なくともそういう価値観があり、日本人にとって、リユースや修繕、お下がり、衣類のシェアはそれほど異質で受け入れるのが難しい、新しい考え方ではないのではないでしょうか。私には、それが日本人の生活様式や思考回路と相反するものだとは思えません。

だから私はこの映画が、日本の観客にインスピレーションを与え、さらに広めてくれることを心から願っています。人々がこの映画を楽しみ、そのメッセージに感動してくれることを願っています。


ジョアンナ・バウワーズ
監督・脚本家・プロデューサー

英国出身。香港を拠点に活躍。「私たちの世代は皆、ファストファッションがいかに問題であるかを認識していなかったので、ファストファッションを消費する世代の人々と同じ罪を背負っています。私たちは今、サステナビリティをより意識するようになり、ファッションブランドも同じように意識するようになりました。まず、何が問題で、どのような解決策があるのかを知ってもらいたいのです。私たちの映画を観た後、もしあなたが服の買い方や扱い方を見直すとしたら、それはとても大きなことです」

 

ストーリー

HKリタ(香港繊維アパレル研究所)のエドウィン・ケー(Edwin Keh)と彼の研究チームは、綿とポリエステルなどの混紡織物のリサイクルを機械で行う、画期的な新技術を開発しました。

エドウィンは過去50年間、香港で唯一の新しい繊維工場のグランド・オープンに成功しました。そして、その技術を輸送用コンテナに収まるように小型化することに意欲的に取り組んでいます。この技術が軌道に乗れば、次世代の消費者へのサンプルとなります。衣料のアップサイクルはファッション業界に革命を起こすポテンシャルがあるのです。そんなエドウィンですが、家庭人としての役割とリーダーとしての役割のバランスをとることには苦労もあるようです。

ファッションバイヤーのサラ・ガーナーが、高級子供服の古着を販売するオンライン・プラット・フォーム「Retykle」を創業した理由は、成長の早い子供がすぐに同じ服を着られなくなるという母親としての経験からです。香港で商業的成功を収めるために、サラは中華圏の伝統的な古着への偏見を乗り越える必要がありました。会社の規模を拡大し、新しい市場へ進出するため、サラはそれに相応しいCTO(最高技術責任者)を雇うことで技術的な欠点を克服しようとします。彼女は常に失敗と成功の狭間でもがいています。

「私たちは私たちの廃棄物に溺れている」とエリック・スウィントンは言います。ノベルティグッズ業界で働いていたエリックは、どれだけの使い捨てプラスチックが埋立地に直行しているかに衝撃を受け、社会的企業である「Vcycle」を創設しました。この草の根運動の目的は、ごみ回収業の高齢者に公正な賃金を支払い、ペットボトルを回収して織物などにアップサイクルすることで、香港のプラごみ問題と社会問題を同時に解決することです。

エリックは市全体で10トンのペットボトルを集めるキャンペーンを始めますが、経済的、物流的な問題に悩まされ、達成できずにいます。彼は香港ではペットボトルを糸に変えることができないことに気づき、ペットボトルを輸入してくれる国を見つけるためにアジア中を必死に探します。時間とお金が尽きてゆくなか、エリックは新しい起業家が彼の仏教的な信念に賛同してくれることを願っています。

『リファッション 』予告編


公式サイト

 

2023年6月9日(金) YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー

2023年6月23日(金) アップリンク京都

 

監督:ジョアンナ・バウワーズ
プロデューサー:ケイト・フレミング・デイヴィス
音楽:ホー・リン・タン
出演:エドウィン・ケー、サラ・ガーナー、エリック・スウィントン、ヴァネッサ・チョン、ロナ・チャオ、エリック・バン

2021/香港/84分/英語・北京語・広東語/原題:reFashioned

配給・宣伝:アップリンク
©CHEEKY MONKEY PRODUCTIONS ASIA LTD 2021