『帰れない山』世界的ベストセラー小説の映画化に大成功!人生とは、幸せを求めること。
世界39言語に翻訳され、イタリア文学の最高峰賞に輝いた国際的ベストセラー小説が、待望の映画化。『オーバー・ザ・ブルースカイ』(2012)の監督&脚本家のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンとシャルロッテ・ファンデルメールシュが共同監督し、山と対峙して己と向き合う青年たちの、かけがえのない友情と魂の交流を丹念に紡ぎ出した。
主演は、ルカ・マリネッリ&アレッサンドロ・ボルギのイタリア映画界屈指の実力派俳優たち。北イタリア、モンテ・ローザ山麓のアオスタ渓谷を中心に、トリノ、ヒマラヤ山脈で撮影を敢行。パルム・ドール受賞作『TITANE/チタン』(2021)の撮影監督ルーベン・インペンスによる圧倒的な映像美とカメラワークで豊かな四季の自然と友情、葛藤しながら二人がそれぞれの道を歩む姿を映し出す。
監督たちは、1年の半分をアルプス山麓で、残りをミラノで過ごしながら執筆活動に専念する原作者のパオロ・コニェッティと対話しながら撮影に挑み、原作の重層的な時間の流れや自然描写を映画で再現している。
フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン&シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督コメント
私たちはこの映画を一緒に作ることになるとは思っていませんでした。フェリックスがすでに取り組んでいた脚本から始まりました。『オーバー・ザ・ブルースカイ』で協働し、それ以来また一緒に仕事をしたいとずっと思っていました。COVID によって最初のロックダウンが起こったとき、夫婦として深い実存的なレベルで嵐のような時期を過ごしており、私たちは一緒に取り組み始めたのです。この純粋な物語を映画化することは、私たちに癒しをもたらす可能性があると思っていました。そして、それは実現しました。
この作品は友情の物語ですが、ラブストーリーとしてアプローチしました。私たちは友人であり、恋人であり、パートナーであり、親であり、一緒に暮らす息子もいます。この映画を作ることで、主人公たちが成長し、友情を見つけ、失い、 家族との絆を切り、再びつながり、許しを得て、相手の選択を受け入れ、死に直面し、人生の本質に身を委ねる過程を探求することができました。
パンデミックの最中、私たちは都会の家に閉じこもり、世界中の多くの人々がそうであったように、屋外への強い憧れを覚えました。地球との再接続です。「自然」はパオロ・コニェッティの著書の主要なテーマです。映画の制作中、ロマンスとメランコリー、そして冷酷で危険なこともある、その自然の現実を探求することは、とても美しいことでした。
最初は想像の中で、後にイタリアで、そしてネパールで、原作「帰れない山」の世界を歩き回ることができたのは、とても幸運なことでした。イタリア語を学び始め、イタリア・アルプスに 8 ヵ月間移り住み、その後、撮影隊を引き連れてヒマラヤ山脈をハイキングしました。山にいるということは、自分と向き合わなければならない、容赦のない正直な環境なのです。なぜわざわざ頂上まで歩こうと思うのか。理由なんてないのに、それでも登って、また降りてくる。不思議なことです。
キャスティングには、とても長い時間がかかりました。今思えば、ルカ・マリネッリとアレッサンドロ・ボルギを主役に据えたのは、ごく自然なことでした。二人はイタリアで最も有名なスターであり、友人でもあり、以前にも友人役を演じて大成功を収めていました。しかし当初、二人の俳優を自然と反対の役柄に配役していたのです。結果、ルカはピエトロ、アレッサンドロはブルーノになり、その逆ではないと理解するのに暫く時間がかかりました。
子供たちにも同じことが言えます。ブルーノを見つけるために、アオスタ渓谷や北イタリアの他の地域から、本物の山の農家の男の子をたくさん集めました。そして、特別なつながりを持つ 二人の子供に落ち着きました。ピエトロは、都会のスマートな少年であると同時に、ブルーノの親友でもあるので、ワイルドな魂を持っていることが必要でした。
ルカとアレッサンドロとの仕事は、本当に素晴らしい経験でした。彼らは信じられないほど才能があり、正直で美しい人たちです。二人は演技に対するアプローチの仕方がかなり違うのですが、言葉を交わさずともお互いを理解し、相手が何をしているのか、自分が何を返せるのか、本当に理解しているのです。二人の間には、自然なバランスがありました。
フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン&シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督インタビュー
フェリックス:原作を映画化したいと思ってたから、最初はどう映画化できるか考えながら本を読んでいた。でも、物語の終盤30ページは、ひたすら心から泣いていた。そして、「すぐにでも撮りたい」と思い、撮影を決めた。
シャルロッテ:パオロは、彼の山小屋に連れていってくれて、友人たちにも紹介してくれたの。そこは、彼の小説の舞台や登場人物のアイデアの源だった。天から降ってきたような素晴らしい出会いだった。パオロは、自然描写の名手として知られているから、その特徴を活かすために、敢えて脚色を加えた。映画の力が発揮できるとフェリックスは考えたんだと思う。
フェリックス:台本が完成した後に、大半の脚色を加えた。「異なる峰々や風景をどう見せるべきか」「すべてが映画の一部になり得るのか?」などと問いかけながら映画を作った。それは、文字で表現するのは難しい原作の重要な要素だから大切にしたい。本作で伝えたいことは、人生とは何かを問い、幸せを求めること。このことにすべてが集約されるかな。
シャルロッテ:アレッサンドロは凄い。とてもワイルドで怪獣のように食らいつく。存在感もあるし、勇敢だし。役に入ると話し方も変わり、昔からの習慣のように、全く初めてのことでも平気でしてのける。
フェリックス:ルカは、誰よりも研究熱心だ。撮影の3ヶ月前には山に入って、僕らの求めるピエトロになってた。毎日、パオロと山歩きをしてね。撮影を始めると、不思議なことが起こった。父親を亡くしたばかりのピエトロがいたんだ。本当に信じられなかったよ。
(左:シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督、右:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督)
監督プロフィール
フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督
1977年11月1日、ベルギー・フランダース、ゲント生まれ。2000年にゲントの王立芸術アカデミー(KASK)を卒業し、映像芸術の学士を取得。クンフーというゲントの劇団で台本を書き、演出もしていた。2009年「あきれた日常(THE MISFORTUNATES)」が、カンヌ国際映画祭の監督週間でワールドプレミア上映され、国際的な注目を集めた。その後、『オーバー・ザ・ブルースカイ』(2012)が、2014年アカデミー賞® 外国語映画賞のベルギー代表に選出されノミネートを果たす。またセザール賞最優秀外国映画賞も受賞した。「ベルヒカ」(2016)は2016年サンダンス映画祭でプレミア上映され、ワールド・シネマ・ドラマ部門で監督賞を受賞。そして主演にスティーブ・カレルとティモシー・シャラメを迎えた、初めての英語作品『ビューティフル・ボーイ』(2018)を経て、本作に至る。
シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督
1983年11月11日、ベルギー・フランドル出身。アントワープのヘルマンテアリンク・インスティテュートで演劇芸術を学び、その後劇団で数多くの演劇作品に出演。2010年、テレビシリーズ「Dag & nacht」と映画「Turquaze」で主役を務める。また2012年、テレビシリーズ「Deadline 14/10」と、その続編「Deadline 25/5」(2014)で主役を演じる。『オーバー・ザ・ブルースカイ』(2012)では脚本に参加。『帰れない山』(2022)では、フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンと共に脚本を務め、共同監督としても名を連ねている。
ストーリー
都会育ちで繊細な少年ピエトロは、山を愛する両親と休暇を過ごしていた山麓の小さな村で、同い年で牛飼いをする野性味たっぷりのブルーノに出会う。まるで対照的な二人だったが、大自然の中を駆け回り、濃密な時間を過ごし、たちまち親交を深めてゆく。やがて思春期のピエトロ(ルカ・マリネッリ)は、父親に反抗し、家族や山からも距離を置いてしまう。時は流れ、結婚も就職もせず、未来の見えない日々を送るピエトロは、父の悲報を受けて村に戻り、山での生活を続けていたブルーノ(アレッサンドロ・ボルギ)と再会する。そこでブルーノが本物の親子さながらにピエトロの父親と時間を過ごしていたこと、この地に家を建ててほしいと頼まれていたことを知る。自分の知らない父の姿を聞かされたピエトロは、失われた時間を埋めるため、ブルーノとともに父の願いを叶えることを決意。そして、自らの人生にも真摯に向き合いはじめる……。
『帰れない山』予告編
公式サイト
2023年5月5日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国公開 アップリンク京都
第75回 カンヌ国際映画祭 審査員賞受賞
監督・脚本:フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン&シャルロッテ・ファンデルメールシュ
撮影:ルーベン・インペンス
原作:「帰れない山」(著:パオロ・コニェッティ 訳:関口英子 新潮クレスト・ブックス)
出演:ルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ボルギ、フィリッポ・ティーミ、エレナ・リ エッティほか
2022年/イタリア・ベルギー・フランス/イタリア語/1.33:1 5.1ch 147分/原題:Le Otto Montagne/日本語字幕:関口英子
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル
宣伝協力:ポイント・セット
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