『ココロのバショ』宗教二世の葛藤と苦しみ、そこからの脱出と再生を描いた心と魂の物語。

『ココロのバショ』宗教二世の葛藤と苦しみ、そこからの脱出と再生を描いた心と魂の物語。

2023-03-21 22:51:00

幼い頃から母親の強い束縛を受けて育った宗教信者二世の葛藤と苦しみを描いた本作。

安倍元首相襲撃事件以来、旧統一教会の二世信者問題が世間を騒がせてきたが、本作はそれよりさかのぼる2021 年3月に企画され、同年 11 月に撮影されたという。

監督・脚本を務めるのは、『喜劇 愛妻物語』などピンク映画の助監督を皮切りに、さまざまな作品に携わってきた女性新人監督モテギワコ。主人公ユメを、映画『夢の丘』(高橋洋監督)『BRUTAL』(廣瀬貴士監督)などの葛堂里奈が演じる。その幼少期には心月なつる。その母親に岡元あつこ、祖母に大方斐紗子。

監督が「ありのままにこだわった」と語る本作は、長野県・開田高原をメインロケ地として、馬たちが暮らす雄大な自然を背景に、自身の生い立ちを色濃く反映させつつ、束縛からの解放と新たな一歩を踏み出す再生の物語が、瑞々しい視点で紡がれてゆく。そこには、宗教信者二世、毒親、トラウマ、ホースセラピーなど、現代のさまざまなテーマが内包されている。

目が眩むようなまばゆい映像美に見惚れながら、不安を掻き立てるシンプルな音楽によって一瞬ホラー映画をみているようなどこか奇妙な気分にもなる。現実の世界に織り込まれた心象風景が、絵画的に描かれた静けさの中で、返って心のざわめきや潜在意識の声がインパクトや圧を伴ってリアルに伝わってくるのだ。

最後には、高台の牧場に置かれた一台のピアノ、馬、おばあちゃんがさばく一羽のキジ……それらがなぜか不思議と忘れられないインパクトを放ち、光さす未来へといざなうピアノの音色が、いたく心に響く。

何かからの束縛とそこからの解放、自由への希求というのはワンセットで、人生の中で誰もが味わう心の原型の一つのなのかもしれない。だとすれば、この物語にカタルシスを見出す人はきっと、想像以上に多いだろう。

 

ストーリー

東京都内で母キヌコと二人きりの生活を続けている主人公ユメは、幼い頃より母からの強い束縛を感じていた。

母は宗教に執心し、ユメにはつらく当たっていたのだ。

彼女は言葉にならない想いを「母へ宛てた手紙」に書き始めるが、うまくまとめることが出来ない。

そんなある日、ユメは一枚の馬のポスターと出会う。

そのポスターに惹かれた彼女は牧場に行き、馬たちと触れ合い始める。

ユメは母への手紙を完成させることができるのだろうか?

 

 

モデギワコ 監督コメント



タイトルがココロのバショになる前、「ゴミ箱に愛」というタイトルでした。きっと、愛をゴミ箱に捨てられたらどんなに楽になれるだろう……。と愛について考えていたからだと思います。先日見たとある番組で家族との関係について女の子が言っていました。「嫌いになれないから苦しくなる」。そんな思いを抱えた人に何かが届いたらいいなと思っています。

モデギワコ
監督・脚本家
1985年生まれ。千葉県出身。ピンク映画の助監督を皮切りに、演出部として数多くのテレビドラマ・CM・映画の作品に携わるようになる。 ヨーロッパ映画を好み、影響を受けた作品はジャン=リュック・ゴダールの「女は女である」ジョセフ・ロージー「パリの灯は遠く」。 主な参加作品は映画『喜劇愛妻物語』(監督:足立紳)『まく子』(監督:鶴岡慧子)TVドラマでは『居酒屋ぼったくり』(監督:久万真路、岩渕崇)配信ドラマでは『夫のちんぽが入らない』(監督:タナダユキ)『しろときいろ』(監督:本木克英)など多数。

 

『ココロのバショ』予告編

https://www.youtube.com/watch?v=B7FxS69df3I


公式サイト

 

2023年3月24日(金) アップリンク吉祥寺、ほか全国順次ロードショー

 

Cast
葛堂里奈
岡元あつこ 大方斐紗子 小曽根叶乃
心月なつる 今井久美子 澁谷麻美 内田岳志

Staff
プロデューサー:茂出木和子
監督・脚本:モテギワコ
音楽:金山正浩
撮影:猪本雅三
美術:西沢和幸
Bカメラ・照明:小宮由紀夫
録音:鎌田俊春
ヘアメイク:浜香奈子 石井まこと
助監督:中根克
美術協力:山崎美術
制作担当:野間清史

2022年/日本/カラー/ビスタ/DCP/45分/5.1ch

配給:トラヴィス
©2022「ココロのバショ」製作委員会