『生きててごめんなさい』特別になれない男と少し特別な女の子の物語
藤井道人監督の元に「メンヘラの恋愛をやりたい」と鈴木祐介プロデューサーから持ちこまれた企画を藤井監督は、これは自分より合っている監督がいると思い、テレビドラマ『アバランチ』で演出を組んだ、制作会社BABAL LABELの後輩山口健人監督に譲り、自身はプロデューサーに回ったのが『生きててごめんなさい』だ。
山口監督は「メンヘラなら任せろ」と二つ返事で監督を担当。
書籍編集部に務め、小説家を目指す主人公の修一(黒羽麻璃央)のキャラクターは自分自身の投影ですという山口監督。
「最初は『特別になりたい男と普通になりたい女の子』というような設定です」という。
その修一と同棲をしている莉奈(穂志もえか)はペットショップでアルバイトをしているが、その動物を処分する業者に引き取られるペットをかわいそうに思い自分で飼うことにする。
山口監督は「莉奈が修一という檻の中でキャンキャン必死に吠えているけれど、そこから出れないということと重ねてペットショップのシーンを入れた」という。「登場人物が、そこら辺にいる人というのを意識して描いた作品なので、共感できる部分があれば共感していただいて、共感できない部分があれば、わからないと突き放すのでなく、こういう人間が世の中にいるんだというのも感じとっていただければと思います」と語る。
修一と莉奈の関係は、ゆるやかに「特別になりたい男と普通になりたい女の子」から「特別になれない男と少し特別な女の子」にシフトしていく。
公開記念の舞台挨拶で黒羽麻璃央は、「ポスターの『きっと大丈夫。多分。』という言葉が自分の今後の人生の言葉にしたいくらい、すごく好きになりました。補足で『多分。』とつけているあたりに、肩をそっと押してあげているような優しさが溢れていて、この映画を見て、皆さんにも受け取っていただけたらと思います」とメッセージを送った。
山口健人監督プロフィール
1990年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学文学部演劇・映像コース卒業。大学在学中より映像制作を始め、2016年BABEL LABELに所属。KIRIN iMUSE WEBCM「トレンディの法則」、世にも奇妙な物語とジョルダン乗換案内のコラボWEB CM「城後波駅」など話題となった広告や、フレデリック『VISION』salu『GIFTEDfeat.RIEHATA』などのMV、映画『それでも、僕は夢をみる』など、様々な領域で監督として活動している。監督として参加したワイモバイル『パラレルスクール DAYS』が海外の広告賞を受賞。2021年には藤井道人と共に『アバランチ』を演出し、成功を収めた。
ストーリー
出版社の編集部で働く園田修一(黒羽麻璃央)は清川莉奈(穂志もえか)と出逢い、同棲生活をしている。修一は小説家になるという夢を抱いていたが、日々の仕事に追われ、諦めかけていた。莉奈は何をやっても上手くいかず、いくつもアルバイトをクビになり、家で独り過ごすことが多かった。ある日、修一は高校の先輩で大手出版社の編集者・相澤今日子(松井玲奈)と再会し、相澤の務める出版社の新人賞にエントリーする。一方、自身の出版社でも売れっ子コメンテーター西川洋一(安井順平)を担当することになるが、西川の編集担当に原稿をすべて書かせるやり方に戸惑う。修一は全く小説の執筆に時間がさけなくなり焦り始める。そんな中、莉奈はふとしたきっかけで西川の目に止まり、修一と共に出版社で働く事となる。西川も出版社の皆も莉奈をちやほやする光景に修一は嫉妬心が沸々と湧き、莉奈に対して態度が冷たくなっていく。いつしか、喧嘩が絶えなくなり―。
予告編
公式サイト
2月3日(金) シネ・リーブル池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中
監督:山口健人
企画・プロデュース:藤井道人
エグゼクティブプロデューサー:鈴木祐介 プロデューサー:河野博明、雨無麻友子
音楽:岩本裕司
脚本:山口健人、山科有於良
撮影:石塚将巳 照明:水瀬貴寛
録音:岡本立洋 美術監督:相馬直樹
美術:中島明日香 小道具:福田弥生
助監督:渡邉裕也 キャスティングプロデューサー:高柳亮博
日本/107分/DCP/アメリカンビスタ/5.1ch
制作プロダクション:スタジオねこ
配給:渋谷プロダクション 製作:「イキゴメ」製作委員会
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