『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』ザ・ビートルズの凄さに「魅了された日本人の情熱」に焦点を当てたドキュメンタリー

『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』ザ・ビートルズの凄さに「魅了された日本人の情熱」に焦点を当てたドキュメンタリー

2023-01-26 16:55:00

地球上で最も有名と言っても過言ではないロックバンド、ザ・ビートルズ。
日本での知名度も言うまでもないが、どんな物語にも“始まり”がある。
『ミスタームーンライト~1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢~』は、日本にザ・ビートルズがやってくる、その始まりに焦点を当てた作品だ。

1966年に行われたザ・ビートルズの武道館公演。最初で最後となった来日公演の背後には、目を輝かせ、熱い志で動き回った人々の姿があった。1963年、東芝音楽工業の髙嶋は、まだ誰にも見向きもされていなかったザ・ビートルズを日本でいかに流行らせるか、頭を悩ませていた。手を変え品を変え、ヤラせもあったとのことだが、その甲斐あってついに日本でも人気が爆発する。直木賞作家の高橋克彦は、ザ・ビートルズに会いたいがために高校生にも関わらず海を渡り、ファンクラブに潜入し、ステージ上でザ・ビートルズと対面まで果たした。ザ・ビートルズを呼ぶために外貨を工面した人、ドキュメンタリー番組のオープニング映像を任された人、チケットを手作りで準備した人々、そしてザ・ビートルズを一目見ようと必死になった人々。ザ・ビートルズの来日には、無数の人々の想いが詰まっていた。

音楽業界への影響も計り知れない。ザ・ビートルズはそれ以降のアーティストにとっての道標となり、現代のアーティストにとっての教科書となった。何十年経とうとも、その名や功績が薄れていくことはないだろう。

世界では予想もしなかったような出来事が起こり、コロナウイルスと向き合う生活も未だに続いている。ザ・ビートルズに人々が熱狂したあの時のように、皆が夢を見て、何かを成し遂げるために必死になり、皆で喜びを分かち合えるような出来事が世界中で広がっていくことを願うばかりだ。

 

東考育監督インタビュー

──本作を監督するにあたり、当初描いていた青写真はどのようなものでしたか? またそれは制作過程で変わることなく、完成まで漕ぎ着けましたか?

当初は、「ザ・ビートルズの日本公演を実現するために奔走した人たちの物語」にしようと考えていました。これまではプロモーターの永島達司さんが彼らを日本に呼んだと言われていました。けれどその裏には、他にもザ・ビートルズ側と交渉し、武道館使用に動き、汗を流した方々がいることが分かったので、そうした「光の当たらなかった人々」を取り上げたいと思っていました。
しかし、ご本人や関係者の多くがお亡くなりになられており、様々な方にお話を聞いていく中で、このストーリーだけで作品を作っていくのは難しいと判断し、内容の幅を広げていくことにしました。そして、「ザ・ビートルズ来日前後のドタバタぶり」や「ザ・ビートルズが日本でどう広まっていったのか」、最後に「戦後、ザ・ビートルズまでの洋楽の系譜」を付け加えて、今回の作品となりました。結果として、日本音楽界の大きな流れが少し垣間見えたことにより、作品自体が“日本のザ・ビートルズ史”となっていったので、正解だったのかなと感じています。 

──当時を語ることができる人を探すご苦労もあったのでは?

取材をしていくと、新しい「事実」が出てくることがあります。すると、その話を膨らませたり、補完したりする話ができる方が必要となりますが、そうした方を探していくのは困難な作業でした。実際にインタビューをした方は 56 名ですが、少しお話を聞くなどの取材をしただけの方も含めると 100 名以上になります。面白い話が出てきても、取材対象者がお亡くなりになられていたり、どういうルートでも辿りつかないので落としたりした話もあります。そこは一番悔しい思いをした部分でした。 

──本作の取材を通じて感じたことをお聞かせください。

一番印象に残っていることは、みなさんがとても愉しそうに語ってくれていたことです。ザ・ビートルズはみなさんの中で、何にも変えることのできない貴重な思い出として記憶されているんだな、と驚きました。その表情を見ていて、「いい作品になるな」と思えましたし、「いい作品にしなければ」とも思いました。

──本作を通じて監督が伝えたいことは、何でしょうか?

本作は「ザ・ビートルズの凄さ」を伝えたいのではなく、そのザ・ビートルズの凄さに「魅了された日本人の情熱」がテーマになっています。私が所属する会社の初代社長は、「素晴らしいものは、一人の情熱から始まる」と言いました。取材してきた方々は、みな「情熱」を持ち、ザ・ビートルズを広めようとしたり、日本公演を実現させようとしたり、会おうとしたり、彼らの音楽を自らの音楽に取り込もうとしたりしてきました。さらには、ザ・ビートルズから受けた情熱を、自分の夢に向けたエネルギーとしていきました。みんなザ・ビートルズに出会うことで、「夢を見ていいんだ」と気づけたのだと思います。あの頃のように、「夢を見ること」の素晴らしさが、少しでも伝わればと思っています。

監督プロフィール

1997年、テレビマンユニオンに参加。『世界ウルルン滞在記』、『情熱大陸』『プロフェッショナル 仕事の流儀』など、ドキュメンタリー番組を多く手がける。

 

ストーリー

わずか8年足らずの活動で世界中を熱狂させ、デビューから60年以上経った今もなお語り継がれる伝説のロックバンド“ザ・ビートルズ”。

彼らはどのようにして日本で空前の大人気バンドになったのか。どのような軌跡で伝説の日本武道館公演が実現されたのか。そして、今もザ・ビートルズが広い世代に愛される理由とは何なのか。武道館公演の舞台裏で活躍した知られざる立役者や熱狂の渦を目撃した証言者達は、何を思い何に突き動かされたのか。

当時の映像と総勢50名以上のあらゆる年代の各界著名人の証言と想いを通して、日本における新たなザ・ビートルズ史を描くドキュメンタリー。

 

予告編

 

公式サイト

1月27日(金) TOHOシネマズ 日比谷、アップリンク吉祥寺ほか全国公開

監督:東考育
監修:藤本国彦
撮影:吉田誠 編集:大川義弘
製作:石垣裕之、竹澤浩、富田朋子、島田浩一
企画・プロデューサー:杉田浩光 プロデューサー:加茂義隆、金山
語り:満島ひかり
メインアート・ドローイング:浦沢直樹

2022年/日本/102分

制作プロダクション:テレビマンユニオン 製作:「ミスタームーンライト」製作委員会
配給:KDDI/WOWOW 配給協力:ショウゲート

©「ミスタームーンライト」製作委員会