『野獣の血』90年代の釜山の下町クアムを舞台とし、利権を巡るヤクザ同士の争いを描いた傑作ノワール小説の映画化
韓国のベストセラー作家チョン・ミョングァンの監督デビュー作であり、傑作ノワール小説の映画化が本作『野獣の血』である。原作は、著書『設計者』『キャビネット』の翻訳版が日本でも出版されている作家キム・オンス。主演を務めるのは『善惡の刃』『偽りの隣人 ある諜報員の告白』等で人間味の溢れる役を好演したチョン・ウ。その他、『箪笥』『殺人の疑惑』等のベテラン俳優キム・ガプス、知名度急上昇のイ・ホンネ(『悪霊狩猟団:カウンターズ』:NETFLIX)等が脇を固めた布陣となっている。
舞台となるのは90年代の釜山の下町クアム。利権を巡るヤクザ同士の争いを描いた本作について、チョン・ウは次のように語っている。
「自分の生活のために激しくぶつかり合いながら、しぶとく生きようとする男たちの映画だ。情熱的な作品を堪能してもらえるはずだ」
その言葉通り、激しいアクションも見所の本作だが、小さな街の中で様々な思惑が行き交う人間ドラマとしての魅力も秘めた作品である。昨日までの友人が今日の敵に、昨日笑っていた人間が今日命を失うような目まぐるしい展開から目が離せない。
この作品は、物語の結末部分が一部冒頭で描かれている。その最初の5分さえ観れば、一気に作品の世界に引き込まれること間違いないだろう。
チョン・ミョングァン監督プロフィール
1964年、韓国・京畿道龍仁市生まれ。保険の営業マンなど様々な仕事を経て映画関係の仕事につき、シナリオを手がける。2003年に短編「フランクと私」でデビュー。翌年に発表した『鯨』で第10回文学トンネ小説賞を受賞する。本作『野獣の血』は監督デビュー作。
ストーリー
1993年、春。養護施設出身で札付きのワルだったヒスは、釜山港の外れの街クアムを牛耳るソンに拾われ、その右腕として一帯を仕切っていた。小さな海水浴場に観光ホテル、屋台に風俗店。こんな小さな港でも、その利権を狙う奴らがしのぎを削っていた。一方、クアムに目を付けたヨンド派は、ヒスと共に施設で過ごした親友チョルジンを使い、ヒスを懐柔しようとしていた。しかし、ヤクザ稼業に嫌気がさしていたヒスの望みは、クアムでのし上がっていくでもなく、ヨンド派で金を稼ぐのでもなく、施設時代からの恋人インスクと一緒に、巨済島でペンションをやりながら暮らすことだった。そして、ヒスはソンの元を訪れ組織を抜けたいと告げるが―。
予告編
公式サイト
1月20日(金) アップリンク吉祥寺、アップリンク京都ほか全国公開
監督:チョン・ミョングァン
原作:キム・オンス
出演:チョン・ウ、キム・ガプス、チェ・ムソン、チ・スンヒョン、イ・ホンネ
2022年/韓国/韓国語/120分/シネスコ/5.1ch/原題:뜨거운 피/英題:Hot Blooded/PG12
字幕:安河内真純
提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム
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