『テス 4Kリマスター版』ナスターシャ・キンスキー主演、ロマン・ポランスキー監督による172分の愛の超大作
ポランスキー監督の元夫人、故シャロン・テートへの「シャロンに捧ぐ」という献辞で幕を開ける本作。『テス』は、彼女がポランスキーに映画化を薦めたことがきっかけで製作された文芸ロマン大作だ。第53回アカデミー賞では撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞も受賞した名匠による真の愛の名作ドラマが、4Kリマスター版となってスクリーンに甦る。
原作は、英国の文豪トマス・ハーディが1891年に発表した小説『ダーバヴィル家のテス』。英国ドーセット州の片田舎を舞台に、貧しい家で生まれ育った美しく気高い女性テスが辿る過酷な運命を、詩的で美しい映像と豪華な時代衣装・音楽で描き出していく。本作における圧倒的なヒロインを演じたのは、当時弱冠18歳の若さだったナスターシャ・キンスキー。演技経験も浅かった彼女であるが、繊細さと力強さを兼ね備えた大人顔負けの麗しい演技に心を奪われた人も多いのではないだろうか。
作品の中で「テスの愛にかなう人はいない」と表現されるほど、テスは人生をかけて夫を愛していた。他人に蔑まれ、どんなに苦しい思いをしても、揺らぐことのない愛が彼女を繋ぎとめた。この物語の結末は、単純にハッピーエンドやバッドエンドと決められるものではないだろう。彼女の原動力となった強烈な愛を、最後まで信念を貫き通したテスの生き様を、スクリーンで目に焼き付けることができるのは今回だけかもしれない。
DICE+では、ポランスキー監督の過去作『水の中のナイフ』、『反撥』、『袋小路』を配信で観ることができるため、あわせてご覧になってみてはいかがだろうか。
ロマン・ポランスキー監督プロフィール
(左からロマン・ポランスキー監督、ナスターシャ・キンスキー)
1933年8月18日、パリ生まれ。3歳の時にポーランドに移住するが、第二次世界大戦中にナチのユダヤ人狩りで両親を収容所に送られ、自身も逃亡生活を送る。62年『水の中のナイフ』で長編監督デビュー。『反撥』(1964)でベルリン国際映画祭銀熊賞、続く『袋小路』(1966)では金熊賞に輝いた。68年のハリウッド進出作『ローズマリーの赤ちゃん』が大ヒットを記録。69年、当時妊娠中だった妻で女優のシャロン・テートがマンソン・ファミリーに殺害される。その悲しみを乗り越え、74年の『チャイナタウン』はアカデミー賞11部門にノミネートされた。77年、未成年の少女に性的暴行を加えたとして有罪判決が下ったため、フランスへの亡命を余儀なくされるが、そのフランスで撮影された本作『テス』(1979)はセザール賞作品賞・監督賞・撮影賞の三部門を制覇。その後もカンヌ国際映画祭パルムドール、アカデミー賞監督賞受賞の『戦場のピアニスト』(2002)、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した『ゴーストライター』(2010)など、質の高い作品を精力的に発表し続けている。
ストーリー
19世紀末の英国ドーセット地方マーロット村。貧しいダービフィールド家に美しい娘テスがいた。一家の生活を助けるため、テスは遠戚のダーバヴィル家に奉公に出た。この家の放蕩息子アレックに早速目をかけられたテスは、ある日森の中でアレックに強引に犯されてしまう。傷心したテスは実家へ戻ったが、アレックの子を身籠っていた。出産したものの赤子はすぐに病死してしまい、村の人々の冷たい視線に耐えられなくなったテスは再び家を出て、遠く離れた酪農場で働き始めた。そこでテスは進歩的で心優しい青年エンジェルと出会い、燃えるような恋に落ちる。
ついにエンジェルのプロポーズを受け入れたテス。初めてつかんだ幸せの中で、テスはエンジェルの許しを乞うために自分の過去の過ちを包み隠さず打ち明けた。だが、その内容にショックを受けたエンジェルは茫然自失となり、彼女を置いて去ってしまう。最愛のひとに拒絶され、ひとり残されたテスの波乱の人生がここから始まるのだった…。
予告編
公式サイト
1月6日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町にて特別先行公開
1月20日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋 HUMAX シネマズ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:ロマン・ポランスキー
製作:クロード・ベリ
原作:トマス・ハーディ『ダーバヴィル家のテス』
出演:ナスターシャ・キンスキー、ピーター・ファース、リー・ローソン、ジョン・コリン、ローズマリー・マーティン
1979年/フランス・イギリス/英語/172分/カラー/5.1ch/スコープ/DCP/原題:TESS
協力:SCREEN
配給:キングレコード
© 1979 PATHE FILMS