『メイヘムガールズ』今も続くコロナ禍の閉塞感を女子高生4人のサイキックパワーで吹き飛ばす

『メイヘムガールズ』今も続くコロナ禍の閉塞感を女子高生4人のサイキックパワーで吹き飛ばす

2022-11-25 11:11:00

『メイヘムガールズ』は、瞬間移動できるテレポート能力やスマホの中を自由に操れるテレパスの能力を突然持った女子高生4人の青春サイキック・エンターテインメント。

コロナ禍により全国一斉休校が始まったのが2020年3月2日。行動制限こそ解かれたが、第8波の流行により感染者の数が記録的に増えている現在。世界では徐々にマスクをつける人は減ってきているが、まだ電車の中だけでなく、道を歩く人もほとんどの人がマスクをつけている日本。

当然学校の授業中もマスク着用で、映画の中では生徒にマスク着用をしつこく注意するアベノマスク着用の教師(カンニング竹山)が閉塞感のシンボルとして登場する。

2021年暮れに撮影されたという本作はコロナ禍の過去の状況を描いたものではなく、今も続く閉塞感を4人の少女たちが空中を自由に浮遊するサイキックパワーで束の間の開放感を体験させてくれる作品となっている。

本作『メイヘムガールズ』は、藤田真一監督が超能力少女の映画として10年前に企画しており、コロナの報道で「大混乱=メイヘム」している都市を「in mayhem」と英語圏で表現して報道しているのを聞き、当時の企画を復活させたという。

 

藤田真一監督インタビュー

──一番記憶に残っている撮影時のエピソードを教えてください

実際の校舎を冬休みを利用して借りたため、それ以外のシーンを先に撮影したのですが、じっくり相手の芝居を見れる学校や部室のシーンが最後となり俳優部は演技全体のプラン立てが難しかったと思います。にも関わらず、それぞれ完璧に役を作り込んだ状態で現場に入ってきてくれ、セリフの変更や動きの指示にもすんなり対応してくれていました。掛け合いの再現性も高く、「君たち集まって練習してた?」と冗談で聞いたりしてました。合成や水中撮影、ワイワーワークなどの特殊撮影だけではなく、台本上存在する非現実的なシチュエーションの芝居も最小限の説明で違和感なくこなして頼もしいかぎりでした。むしろ大人のスタッフの方に多くの説明が必要でした(笑)どれも印象的な撮影ではありましたが、やはりワイヤー撮影で彼女達が勢いよく体を使って芝居するのは、見ているこちらがワクワクしていました。今までもワイヤー撮影はたくさんしているのですが、アクションではなく、純粋に空中浮遊の芝居というのはあまり無かったかもしれません。最終日にも関わらず、見ていると色々なアイデアが頭に浮かんできましたが、またそれは別の作品に生かしたいと思います。

──本作にかける監督の思いをお聞かせください。

コロナ禍最初の春、以前映画で一緒だった子役の少女と話す機会がありました。彼女の小学校では、3学期はリモート授業となり、クラスメートと会うことなく卒業となったそうです。卒業式も入学式もなく、自宅にいるまま中学生になることにとても不満を漏らしていました。呑気にいつもの笑顔を期待していた僕は困惑、軽々しく進学おめでとうなど言えませんでした。"子供達が皆マスクをして不満げな目で大人をみている" あれ以来ずっと今も感じている視線を我々なりにエンタテイメント映画として形に残します。子供騙しでない映画となっていれば幸いです。タイトなスケジュールの中、特殊な撮影・演出に全開の演技で答えてくれた若い俳優陣には敬服しかありません。是非、映画館に会いに来て頂ければと思います。

監督プロフィール

脚本の勉強をしながら大量の自主映画に参加していたが、第一回インディーズムービーフェスティバルで出会った北村龍平監督に誘われ、『versus』の撮影に参加する。以後、商業映画に企画・撮影・編集と様々なポジションで参加しながら、音楽MVや広告映像のディレクターとして活動する。近年は、『Wonderful World』(浪川大輔監督)、『RE:BORN』(下村勇二監督)などプロデューサーとしてスマッシュヒット作品を公開していたが、2020年よりのコロナ禍を経て、本作では自身でメガホンを取ることを決める。

 

ストーリー

ソーシャルディスタンスとマスク着用が終わらない感染拡大下の日本。高校生になった女子高生の瑞穂は、文化祭中止が発表されたその日、突然、念動力が舞い降りたことから、刺激のない日常がサスペンスと恋に満ちた非日常に変わってゆく。テレパスの才能を持った同じクラスの環、瞬間移動を使いこなすあかね、ネット世界を自在に飛び回るケイも集まり、4人の少女は新しい友情を育んでゆく。しかし、瑞穂の元家庭教師の祐介が超能力に目を付けたことから、4人は暴走。大都市・東京を舞台にしたサイキックバトルが始まる。

 

予告編

 

公式サイト

11月25日(金) 新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサ、アップリンク京都ほか全国公開

監督:藤田真一
脚本:なかやまえりか、藤田真一 
撮影:中澤正行 助監督:小原直樹 
キャスティング:岩瀬恵美子 VFXスーパーバイザー:渡辺輝重
ワイヤーコーディネート:下村勇二 
音楽:カワイヒデヒロ 音響効果:柴崎憲治
出演:吉田美月喜、井頭愛海、神谷天音、菊地姫奈、木戸大聖、生稲晃子、大浦龍宇一、カンニング竹山、内田奈那、畑中有里、ゴーシュ凜、乃上桃音、舞沢萌愛未、中野恵那、莓瑚、三和万亜子(fromめにぱら)、あいだあい

2022年/日本/日本語/98分/シネスコ/5.1ch

企画・制作:株式会社アーティット 
配給:アルバトロス・フィルム

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