『シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~』日本ワインを造る醸造家の奮闘記

『シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~』日本ワインを造る醸造家の奮闘記

2022-11-04 19:00:00

ワインといえば、その生産地はフランスのボルドー、ブルゴーニュが有名だが、『シグナチャー~日本を世界の銘醸地に~』は、日本のワイン産地、山梨県を舞台に描く。

実話をもとに制作された本作は、日本のワイン業界を牽引した麻井宇介の想いを受け継ぎ、「日本を世界の銘醸地」にするために奮闘する醸造家・安蔵光弘(シャトー・メルシャン・ジェネラルマネージャー)の半生を描いた映画だ。先頃出版された安蔵光弘著『5本のワイン物語』(イカロス出版)をベースに映画は制作され、柿崎ゆうじ監督は、前作の『ウスケボーイズ』で麻井宇介の弟子たちを描いた同じくワイン作りに賭けた若者たちを描いている。

理想のワインを作るため、葡萄農家に安蔵光弘が自ら葡萄の収穫とその葡萄の中から醸造に適したものを選ぶという作業を行いたいと提案する。結果、そうやって作られたワイン「桔梗ヶ原メルロー シグナチャー1998」は世界で高い評価を得る。タイトルの『シグナチャー』とは「特別なワインに醸造責任者が署名を⼊れる」ことを表す。

柿崎ゆうじ監督コメント

2018年公開のウスケボーイズ以来の日本ワインと日本ワインを造る醸造家を題材にした映画ですが、年代(1995年〜現在)や登場人物もリンクしており、麻井宇介という日本ワインを牽引してきた人物を巡る人々の、情熱溢れる奮闘を描いています。

2017年のウスケボーイズの撮影時以来、自身や俳優達も収穫などの畑作業の手伝いをさせていただきましたが、そこで感じたものを脚本、演出の上でプラスし、主人公のモデルとなった安蔵光弘さんと奥様で醸造家でもある安蔵正子さんに協力、監修していただき醸造のシーンなども実際のワイナリーでを使わせて頂きました。

撮影の大半は山梨県内でしたが山梨の方々とコロナ禍という大敵と戦いながら造った思い出深い作品です。

様々な醸造家の方々と交流してわかった事は、映画造りとワイン造りは共通しているという事‥天候に左右される事や健全で糖度の高い葡萄は、健康でパフォーマンスの高い俳優と一緒ですし、醸造家がその葡萄のポテンシャルを引き出しワインのキャラクターをデザインしていくのも、演出と近いものがあると感じました。そしてやはり映画もお客さんに観て頂いてこその『映画』ワインも飲んでいただいてこその『ワイン』である事に違いありません。

この作品で拘ったのは登場するワインも1人(1本)のキャストとして撮るという事と、本編に登場するワインの数々を当時の本物のワインを探し、飲むシーンも本物を使用してそのワインの素晴らしさやストーリーを感じて表現してもらうという事でした。観終わった後に無性に日本ワインが飲みたくなる‥そんな作品を目指しました。フランスやイタリアが5000年かけて造ったワインという酒を、たった100年でフランスワインを凌駕したアメリカのワイン、そして僅か20年で世界の銘醸ワインと肩を並べる日本ワインを造り上げた人々を是非知っていただきたいと思います。

監督プロフィール

舞台、映画、TV番組など数多くの作品の製作総指揮を手掛ける。大戦中の特攻隊員達と鳥濱トメとの交流を描いた、演出・脚本舞台『帰って来た蛍』は定期的に公演を行っている。監督作品はモントリオール世界映画祭やマドリード国際映画祭など数多くの国際映画祭にノミネートされ、最優秀作品賞始め最優秀監督賞など受賞。芸術文化への多大な功績を認められ、東久邇宮文化褒賞を受賞。2018年には映画『第二警備隊』(出演:筧利夫、野村宏伸、麿赤兒、赤座美代子ほか)が劇場公開され、2019年には『ウスケボーイズ』(出演:渡辺大、安達祐実、橋爪功ほか)で国際映画祭9冠を受賞するなど世界的評価を得ている。

 

ストーリー

1995年、東大大学院を卒業した安蔵は、ワインを作りたいという希望を叶えるために山梨県勝沼町にあるシャトーメルシャンに入社した。入社してからは畑の草刈りなどワインに触れる機会の無い日々を送る。そんな中、会社の大先輩でもあり日本ワイン業界を牽引する麻井宇介(浅井昭吾)と出会い、その見識の高さと人柄に傾倒していく。やがて、ワインの醸造にも携わる中で、ワイン造りを切磋琢磨する仲間に出会う。その中には後に安蔵の妻となる正子の存在もあった。 その後安蔵は本社への転勤のため現場を離れる事になる。しかし、その間に出会った名醸造家から日本ワインの将来を考えるきっかけを得て、さらに麻井からの推薦もあり1998年にワイナリーへ復帰を果たす。ワイン醸造の現場に戻った安蔵は理想のワインを造る為に、麻井の努力によって改植に成功した、長野県塩尻市にある欧州品種のメルローを醸造家自ら収穫・選果するという大胆な提案をする。

 

予告編

 

公式サイト

11⽉4⽇(金) 新宿武蔵野館ほか全国公開
11月18日(金)よりアップリンク京都にて公開

監督・脚本:柿崎ゆうじ
出演:平山浩行、竹島由夏、徳重聡、山崎裕太、篠山輝信、榎木薗郁也、堀井新太、渡辺大、出合正幸、伊藤つかさ、和泉元彌、田邉公一、黒沢かずこ(森三中)、板尾創路、大鶴義丹、辰巳琢郎、長谷川初範、宮崎美子、榎木孝明

2021年/日本/120分/シネスコ/5.1ch

企画・製作・配給:カートエンターテイメント
宣伝プロデューサー:廿樂未果 配給協力:REGENTS

©2021 Kart Entertainment Co.,Ltd.

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