『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』フランスに実在するゲイの水球チームをモデルにした痛快ロードムービー

『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』フランスに実在するゲイの水球チームをモデルにした痛快ロードムービー

2022-10-24 10:00:00

個性豊かなキャラクターと奇想天外なストーリーが愛され、前作『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』に続く第二弾となった本作。フランス映画では初日動員数No.1(2022年4月13日フランス公開時)を記録したという。

LGBTQ+による世界最大のスポーツと文化の祭典「ゲイゲームズ」の開催地である東京を目指すも、なんとゲイ差別が横行する異国の地で大騒動に巻き込まれ、その騒動の中でメンバーそれぞれが抱える悩みや葛藤も次々と浮き彫りになり、チーム解散の危機に直面するというストーリー。リズム感あふれるスピーディな展開に、ぐんぐん引き込まれてゆく。

この映画がまさに体当たり的な作品として多くの人の共感を得たのは、監督を務めるセドリック・ル・ギャロが、実際にシャイニー・シュリンプスのメンバーとして活動していること、またチームのメンバーでもゲイでもないもう一人の監督マキシム・ゴヴァールとタッグを組んだことで、世界がより多面的で複雑になり、誰もがどこかに自分の一面を見ることができるような映画に仕上がったからだろう。「ゲイ」は社会のあらゆるマイノリティに置き換えることができ、そうすることによって、にわかにぐっと身近なものとなる。

本作は「若い頃ゲイのポジティブなヒーローがいなかった。シャイニー・シュリンプスに出会って、ゲイでも幸せな人生を送れると気付かされ、明るいコメディ映画を作りたかった。自分らしさを捨てなくても幸せで楽しい人生を送れるということを伝えたい」というギャロ監督の思いから誕生したという。そう、まさにこの「自分らしさを捨てなくても幸せで楽しい人生を送れる」というのは、誰もが勇気づけられる言葉である。

人気上昇中YouTuberで映画初出演のブリアナ・ギガンテがキャストに起用され、日本のシンガーソングライター・ビッケブランカが全世界共通のエンディングソングを担うなど、随所に織り込まれた日本のカルチャーにも注目が集まっている。

これは、自分を見失ってしまった若者たち、あるいは、疲れ切ってしまった大人たち、一歩踏み出したいと思いながら躊躇している世のすべての人たちに向けた、最高のエンターテイメントであると同時に、力強い励ましのダイレクトメッセージなのだ。

 

 

ストーリー

歌とダンスが大好きなお騒がせ水球チーム《シャイニー・シュリンプス》は、ゲイゲームズ出場のため開催地【東京】を目指す。

……はずが、なんと乗り継ぎに失敗し、ゲイ差別が横行する異国の地で一晩を過ごすことに。危険な街だと知っていながら、それでも楽しい時間を過ごそうと夜の街に繰り出すメンバーたちは、やがて大騒動に巻き込まれてしまうのだった!

さらに、メンバーそれぞれが抱える悩みや秘密も明らかになり、仲間の絆が試されることに。果たしてシャイニー・シュリンプスは、一致団結し、無事に東京にたどり着くことができるのかーー!?

 

 

セドリック・ル・ギャロ監督 & マキシム・ゴヴァール監督 インタビュー


向かって 右)セドリック・ル・ギャロ 左)マキシム・ゴヴァール


――
共同監督ということで、意見がぶつかるときはどのようにして解決しますか?

セドリック:同じ方向性を向いてやっているのでそんなに大きな問題はないけど、監督は1日に1000個くらい選択をしなければならない。例えば、衣装のことだったり、演技のことだったりを、判断しなくてはいけない。そのような時に、全て同じ意見であるということはもちろんないので、ぶつかる時もあります。でもほとんどの場合、撮影に入る前に話をして決めておくので、プリプロダクションの段階でほとんどのものは話し合いが済んでいますね。

――逆に、共同監督をする良い点はなんですか?

マキシム:良かったことは、誰かと一緒に冒険をしているということ。今回のように日本に一緒に来たり、一緒にロケハンをしたり様々なものがある中で、世界中で一人だけは自分のことをわかってくれるという存在だと思います。一人で監督することもできるけど、二人の方が意見を出しあって良いものができると思います。本作で言えば、セドリックはゲイで実際に水球チームに所属していて、自分はヘテロ(異性愛者)で水球チームには加入していません。そのように全然違う二人が映画を一緒に撮っているので、バランスが取れていると思う。二つの世界の対話をこの映画の中でしているし、まさに観客の皆さんとその対話をしたいと思っています。

――キャスト・スタッフのチームワークの良さを高める秘訣は?

セドリック:キャスティングの段階で、うまくいくかどうかは考えました。役者自身がシャイニー・シュリンプスのような精神を持ってなくてはいけない。つまりは、人に寛容であるとか、パートナーたちを大事にするかどうか。このような精神を、私は脚本の中で大切にしていたので、実際に演じた時にその精神が実現されなければいけないと思っていました。当然、演技が上手かとか、その人が役柄に合っているかどうかは。基本的な問題としてありますけどね。それ以上に、個々が集まった時に化学反応が起こってうまくいくのかどうか、ということは考えましたね。

マキシム:やっぱりコメディを作るということで、自分達も楽しまないと、面白いと思えないといけないと考えていました。自分が好きな人たちは面白いことが好きなので、そういう雰囲気を大事にしていたよ。人を馬鹿にするようなこともありますが、身近な人から優しく馬鹿にされても自分にとっては問題ないんです。映画の撮影は、緊張もするしお金もかかるし、すごくストレスが溜まります。時間も足りない中でやっているので、そうしたユーモアが大切だと思います。映画制作は冒険で、いつ終わってしまうかもわからないと思っています。だからこそ、楽しまないといけないと思う。

――ブリアナ・ギガンテさんとの撮影はいかがでしたか?

マキシム:大変な撮影でした。本来であれば日本で撮影されるべきシーンだったので、ブリアナさんにとっても苦労が多かったと思います。ブリアナさんはポールダンスができることで有名ですが、普通のポールで踊ってもらうのではなく、水面にポールを立てて踊ってもらいました。なぜかというと、水の反射を映したかったので水面にポールを立てました。普段とは全然違う環境で踊らなくてはいけなかったので大変だったと思います。スタジオで撮影するのも初めてのようでしたが、最終的には成功して美しい映像が撮れました。そして昨日のプレミアやジャーナリストの方々からのコメントを聞いていても、本当にブリアナさんを選んで良かったなと思います。

――この映画を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします

セドリック:この映画はとても明るい映画で、友情や感動を描いています。この映画を観たら笑顔になれるようなポジティブな作品です。もちろん、ポジティブとは言えないような楽しくはないシーンもありますが、どんな敵を前にしても笑顔を忘れないシャイニー・シュリンプスを観てほしいです。

マキシム:もしみなさんがセーラームーンを好きなら、ブリアナさんが好きなら、アドベンチャーコメディが好きなら、ミュージカルが好きなら、ロシアが嫌いなら、ビッケブランカさんが好きなら、観に来てください。

――シャイニー・シュリンプスの今後の展望は

マキシム:現在、メキシコでリメイクされる企画が進行中です。今後については世界で公開されてから考えていきたいと思います。いずれにしても、私たちは色んなアイデアを持っています。もしこの映画が日本で成功すれば、何らかの企画があるかもですね。

 

セドリック・ル・ギャロ Cédric LE GALLO
監督・脚本
フランス最古のテレビ局TF1のテレビリポーターとしてキャリアをスタートさせる。30歳で、テレビ番組「50’s inside」の監督を任され、同時期にフランスのドキュメンタリーネットワークSPICEEで現代芸術のドキュメンタリーを監督する。さらに、自身の劇団で俳優としても活躍。2012年、友人の紹介でゲイの水球チーム「シャイニー・シュリンプス」に加入。15年、フランスのテレビ局Canal+で、名作映画の架空の舞台裏を描いた短編テレビシリーズ「Scene de culte(原題)」の製作に参加。20エピソード分の監督・脚本・出演をつとめた。マキシム・ゴヴァール監督と共同監督した自身初の長編映画となる『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』は、ラルプ・デュエズ国際コメディ映画祭での審査員賞受賞をはじめ、数々の映画祭で受賞した。
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マキシム・ゴヴァール Maxime GOVARE
監督・脚本
数々の作家コンテストで入賞後、フランスのメジャーなテレビ番組の放送作家としてキャリアをスタート。2015年に『I Kissed a Girl(原題)』で長編映画監督デビュー。コメディ映画の新境地を開拓し、ラルプ・デュエズ国際コメディ映画祭で大賞を受賞。2017年、2作目のコメディ映画『Daddy Cool(原題)』を監督。18年、プロデューサーの紹介により、実在のゲイの水球チーム「シャイニー・シュリンプス」に所属するセドリック・ル・ギャロと出会い、前作『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』の共同監督・脚本を担当。世界30カ国以上で公開され、様々な映画祭にも招待された。
Instagram

 

 

『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』予告編

 

公式サイト

 

2022年10月28日(金) 新宿 シネマカリテ、アップリンク吉祥寺アップリンク京都、ほか全国ロードショー

 

CAST

マチアス / ニコラ・コブ Nicolas GOB
セドリック / ミカエル・アビブル Michaël ABITEBOUL
アレックス / デイヴィット・バイオット David BAIOT
ダミアン / ロマン・ランクリー Romain LANCRY
ジョエル / ローランド・メノウ Roland MENOU
グザヴィエ / ジェフリー・クエット Geoffrey COUËT
フレッド / ロマン・ブロー  Romain BRAU
ヴァンサン / フェリックス・マルティネス Félix MARTINEZ
セリーム / ビラル・エル・アトレビー Bilal EL ATREBY
ベルトラン / ピエール・サミュエル Pierre SAMUEL
ブラム / ブノワ・マレシャル Benoît MARÉCHAL
ジャン / アルバン・ルノワール Alban LENOIR
ゲイゲームズMC役 / ブリアナ・ギガンテ Briana GIGANTE


STAFF
セドリック・ル・ギャロ(監督・脚本) Cédric LE GALLO
マキシム・ゴヴァール(監督・脚本) Maxime GOVARE

ロマン・ショエ(共同脚本)Romain CHOAY
ルノー・シェレレキアン(製作)Renaud CHELELEKIAN[Les Improductibles]
エドゥアール・デュプレ(製作)Edouard DUPREY[Kaly Productions]
久保浩章(共同製作者)Hiroaki KUBO
小田寛子(共同製作者)Hiroko ODA
ヨアン・コント(共同製作者)Yohann COMTE
植野由加奈(製作補)Yukana UENO
ルノー・シェレレキアン(製作総指揮)Renaud CHÉLÉLÉKIAN
ロドルフ・デュプレ(製作総指揮)Rodolphe DUPREZ
エンディング曲:ビッケブランカ「Changes」(avex trax)

2022年/フランス・日本/カラー/シネマスコープ/フランス語・ロシア語・日本語/原題:La Revanche des Crevettes Pailletées/113分/PG12/字幕翻訳:高部義之

提供・配給:フラッグ 宣伝:スキップ

© 2022 LES IMPRODUCTIBLES - KALY PRODUCTIONS - FLAG - MIRAI PICTURES - LE GALLO FILMS

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