『君だけが知らない』韓国ボックスオフィスにて初登場No.1を記録、全ての真実が覆される新感覚韓国サスペンス
『オールドボーイ』や『パラサイト 半地下の家族』といった数々の名作サスペンスを生み出してきた韓国から新たに誕生した新感覚サスペンス『君だけが知らない』。本作を手掛けたソ・ユミン監督にとってはデビュー作ながらも、2021年公開時に韓国ボックスオフィスにて初登場No.1を記録した。
「結末を知った時、真実は逆転する」
そのキャッチコピーの通り、本作は観る者を翻弄し、私たちの感情に激しく揺さぶりをかける。
主人公はある事故で記憶を失ったスジン。病床には温厚な夫ジフンが寄り添っている。悲劇からスタートするも、カナダへの移住を控えた二人の穏やかな日々が映し出されていく。しかし、スジンがある少女が事故に遭う幻覚を見たことを境に、彼女の周りで不可解な現象が次々と起こり始める。錯綜していく過去・現実・未来。最後には全ての真実が覆され、それと同時に強烈なカタルシスを味わうこととなる。
主人公スジン役には、韓国ドラマ『サイコだけど大丈夫』で日本でも一躍有名になったソ・イェジ。夫のジフン役には、実力派俳優として確固たる地位を確立しているキム・ガンウ。そして、メガホンをとったのはソ・ユミン監督。彼女は、ホ・ジノ監督(『八月のクリスマス』『四月の雪』)のもとで長年にわたり助監督や脚本を手掛け、本作にて堂々の長編デビューを果たした。
物語が進んでいく過程で、スジンは夫の言動に違和感を持ち始め、彼の正体に疑念を持つようになる。刑事らもジフンに疑いの目を向けるようになるが、スジンは幻覚の影響で現実と妄想の判断が難しくなり、自分自身のことさえ信じられなくなってしまう。本作の中では、常に「疑念」が渦巻いている。
監督は本作を作るにあたり、「自分が知っている人の全く知らない表情を見たときに恐怖を感じたこと」から着想を得たと語っている。自分の家族や恋人、友人が、自分の知っている顔とは全く別の恐ろしい一面を隠し持っていたとしたら。自分のリアルな生活と照らし合わせるように観てみると、よりこの作品の世界観にグッとのめり込めるかもしれない。
ソ・ユミン監督インタビュー
――本作を作ろうと思ったきっかけやアイディアは?
私が日常生活で感じた恐怖から始まりました。恋人のように親密な夫婦関係にある人が、これまで見たことないような不思議な表情を見せることがあり、自分が知っている人とは全く違う人かもしれないという恐怖を感じる瞬間がありました。考えてみると、怖かったです。この映画で、スジンが夫への興味と恐怖を感じたように、その時に感じた気持ちを物語にしてみたいと思いました。
――どのような思いで映画を作ったのでしょうか?また、反響はいかがでしたか?
驚きだけでなく、そこから明らかになる真実を通じ、観た人には強烈なカタルシスを感じて欲しいと思い、常にそれを念頭に置いていました。しかしながら振り返ってみると、もっと深く豊かな感情を感じてもらうことができたのではないかと心配しており、より共感してもらうためにはどうしたらよかったのかと、未だに自問自答しています。
――日本の皆さんへメッセージをお願いします
日本の皆さん、こんにちは。成瀬巳喜男監督の『浮雲』から濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』まで、すでに数え切れないほどの日本の映画を見てきたひとりの日本映画ファンとして、私の映画が日本で公開されるのはとても新鮮な気持ちです。洗練された感覚を持つ日本の観客の皆さまが『君だけが知らない』をどのようにご覧になるのか、大変興味があり、緊張しています。この映画に共感し、エモーショナルな思いを感じていただければ幸いです。上映をお楽しみください!
監督プロフィール
長年、『八月のクリスマス』『四月の雪』で知られる名匠ホ・ジノ監督の元、助監督や脚本を手掛けたのち、本作で長編デビューを飾る。次回作は、2008年に日本でも公開された台湾の人気スタージェイ・チョウ監督・主演の台湾映画『言えない秘密』のリメイク。主演は、「EXO」メンバーで俳優としても活動しているD.O.(ド・ギョンス)。
ストーリー
事故に遭い、記憶を失ってしまったスジン(ソ・イェジ)。夫・ジフン(キム・ガンウ)の献身的なサポートで、日常生活を取り戻していく彼女だったが、ある日、自宅マンションのエレベーターで居合わせた少女が、車に衝突する幻覚を見てしまい、身を挺して彼女を守ろうとする。それから間もなく、同じマンションで、ガス爆発事故や、女子学生が男に嫌がらせを受けているという恐ろしい幻覚を次々と見てしまい、周囲にその異変を必死で伝えようとするも、彼女が見た未来を誰も信じてはくれない。そんな鬱屈な日々を過ごす中、スジンは殺人現場を目撃してしまい、実際に死体が発見された。次第に彼女の精神は混乱していき、やがて、夫さえも怪しむようになっていく...。
予告編
公式サイト
10⽉28⽇(金) シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、kino cinéma立川高島屋S.C.館ほか全国公開
監督・脚本:ソ・ユミン
出演:ソ・イェジ、キム・ガンウ、パク・サンウク、ソンヒョク
2021年/韓国/韓国語/100分/カラー/スコープ/5.1ch/原題:내일의기억/英題:RECALLED
字幕翻訳:石井絹香
配給:シンカ
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