『ドライビング・バニー』過酷な生活に耐えつつ愛娘を取り戻すべく戦う母の姿を描いたニュージーランドのロードムービー

ニュージーランドから、米批評サイトのロッテントマトで100%フレッシュを獲得したセンセーショナルな映画が届いた。

経済格差に呑み込まれ、定職に就こうにも住む場所すら見つけられない薄幸の主人公バニー。逆境の中にあって、どんな時でも愛する子どもへのあふれる愛情とファイティングスピリットを忘れることなく、強かに生きていく彼女の様子が描かれてゆく。

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの撮影で緑豊かな大自然が紹介されたニュージーランドだが、本作では移民政策で深刻な住宅不足に直面している様子など、格差社会の実態が映し出されている。ちなみに2020年統計によると、若者の幸福度は先進38カ国中最下位、ワースト２位はなんと日本だそう。どうやら、他人事ではないらしい。

監督を務めるのは、ニュージーランド在住の中国人ゲイソン･サヴァット。撮影技師として映画界に入り、ドラマやCMディレクターを経て、初監督短編作『Brave Donkey』（09）がサウスバイサウスウエストやロカルノ国際映画祭など、数々の映画祭で注目された。原案にも携わった長編映画デビューとなる本作は、トライベッカ映画祭審査員特別賞をはじめ、世界各国の映画祭で高い評価を得ている。

バニーを演じるのは、『ベイビーティース』（19）でオーストラリア・アカデミー賞助演女優賞を受賞したオーストラリア出身のエシー・デイヴィス。バニーにお供する姪のトーニャには、『ジョジョ・ラビット』（20）や『ラストナイト・イン・ソーホー』（21）で注目されるニュージーランド出身の若手実力派トーマシン・マッケンジー。社会と粘り強く戦うバニーのモデルとなったのはサヴァット監督の周囲にいた人物で、そこへ家族や自分自身も投影しているという。

欠点だらけで行き当たりばったりの野性味あふれるバニーだが、それゆえに、彼女のまっすぐな愛と諦めることのない精神力は桁違い！　劇場を出る頃にはきっと、多くの女性たちが、現状打破のきっかけと勇気を受け取っているに違いない。どん底になってからが勝負だと、諦めていた心に再び火が灯る人も少なくないかもしれない。

ストーリー

ある事情から、妹夫婦の家に居候中のバニー。
娘とは監視付きの面会交流しかできない。
それでも、明るい笑顔と気の利いたトークで車の窓拭きをして必死に働いている。夢は娘の誕生日までに新居へ引っ越し、家族水入らずの生活を再開させること。
そんなある日、妹の新しい夫ビーバンが継娘のトーニャに言い寄る光景を目撃。カッとなったバニーはビーバンに立ち向かうも、家を叩き出されてしまう。「家なし、金なし、仕事なし」運の尽きたバニーは救い出したトーニャと共に、ルールもモラルも完全無視の“子ども奪還作戦”に突っ走るー。

ゲイソン･サヴァット 監督

ニュージーランド在住の中国人映画監督。1995年、カメラマンとしてキャリアをスタート。 2004年にテレビＣＭディレクターを経て、2009年、初の短編映画『Brave Donkey』(脚本：グレゴリー･キング)を監督。メルボルン、サウスバイサウスウエスト、ＢＦＩロンドン映画祭、ロカルノ国際映画祭など、数々の映画祭で出品され賞賛された。 本作で長編映画デビューを果たし、トライベッカ映画祭審査員特別賞をはじめ、世界各国の映画祭で絶賛された。

『ドライビング・バニー』予告編

公式サイト

2022年9月30日（金）　ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク京都、ほか全国ロードショー

CAST
エシー･デイヴィス（バニー・キング） ／ トーマシン・マッケンジー（トーニャ）／ エロール・シャン（ビーバン）
トニ･ポッター （グレース）
ザナ・タン（アイリン）

STAFF
監督：ゲイソン･サヴァット
脚本：ソフィー･ヘンダーソン
原案：グレゴリー･デビッド･キング／ゲイソン･サヴァット／ソフィー･ヘンダーソン
製作：エマ･スレイド
撮影監督：ジニー･ローン
作曲：カール･スティーブン
追加原案：グレゴリー･デビッド･キング　美術：ロージー･ガスリー
衣装デザイナー：クリスティ･キャメロン メイキャップデザイナー：ステファン･ナイト

2021年／ニュージーランド／英語／100分／シネスコ／5.1ch／原題：The Justice of Bunny King ／日本語字幕：江波智子／後援：ニュージーランド大使館

提供：ニューセレクト　配給：アルバトロス・フィルム

© 2020 Bunny Productions Ltd