『スーパー30 アーナンド先生の教室』実話をもとに作られた映画「知」と「英語」を身につけろ

『スーパー30 アーナンド先生の教室』実話をもとに作られた映画「知」と「英語」を身につけろ

2022-09-21 21:00:00

『スーパー30 アーナンド先生の教室』はインドの実話を映画化した作品。

貧しい生まれのアーナンド・マークル(リティク・ローシャン)は、天才的な数学の頭脳をもち、ケンブリッジ大学に留学しようとしたが、家が貧しいためにその費用がなく諦めた。彼は一転して私塾スーパー30を開講し、インド全国の貧しい家庭から、優秀な頭脳を持つ生徒30人を集め、寮に住まわせ、無償で教育を始めるのだった。

実際のアーナンド先生も貧しい家庭に育ち、才能に恵まれながらも私立学校に通うことができず、数々の苦難を経験した。その経験から、才能はあっても貧困によって授業料を払うことのできない若者のために2003年に教育プログラム「スーパー30」を始めるのだった。

そのアーナンド先生の「スーパー30」は政府からも企業からも個人からも寄附を受け取ることなく、今もなお運営が続けられている。学校のHPにはミッションとしてこう書かれている。

「スーパー30の主な目的は、経済的に困窮している地域の優秀な学生を追跡し、環境を整えて彼らのスキルを磨くことです。才能に境界はありません。必要なのは、才能を見つけ、それを開花させるために育てることなのです。生徒たちは、家庭の経済的な制約によってハンディキャップを負うべきではありません。もし、彼らにその能力があれば スーパー30は、そのような生徒を導くために存在するのです」​

さて、日本人としてこのインドの教育エンタテインメントをどう楽しみ、映画から気づくことは何かと​考えてみた。以下のランキングは「注目度の高い学術論文ランキング」​として​​文部科学省が発表している​​ものだ。​2018年から20年の平均を見てみると以下のような論文数ランキングとなっている。(他の論文に引用された回数が各分野で上位10%にはいる論文の数)

1位 中国​​​​​    46352
2位​ 米国    36680
3位 英国       8772
4位 独国       7246
5位 伊国         6973
6位 豪州     5099
7位 インド    4926
8位 カナダ    4509
9位 仏国     4231
10位  スペイン   3845
11位 韓国    3798
12位 日本    3780

日本は、中国、アメリカ、欧州、インド、韓国に抜かれ12位である。
映画の中で​アーナンド先生が教えるのは「学問」だけではない、大学に行った時を想像しろと子供達に語りかけ、裕福な家庭から入学してきた生徒が英語を喋ることをイメージさせる。「英語」がいかに重要かを教えるのだ。映画では、街中で恥をかくのは怖くないと生徒全員に英語でパフォーマスをさせるシーンがある。世界で引用される論文は「英語」で書かれたものである。

アーナンド先生は子供達に生きて行くには「知」とともに「英語」が必要だと教える。

映画の冒頭、ロンドンでインド人の宇宙工学の博士が講演をするシーンでこう語るのだった。

「ペプシコーラ、ユニリバー、マスターカード、アドビ、ボーダフォンの社長が誰かをグーグルで調べてください、そしてグーグルの社長も、全てインド人です」​と語り、続けて「英語は、金持ちと私たちの間にある高い壁です。英語はお金よりも重要です」と。

 


ストーリー

貧しい家庭の生まれながら天才的な数学の才能を持つ学生、アーナンド(リティク・ローシャン)は、ある日、数学の難問の解法をケンブリッジ大学に送ったところ、その才能が認められ、イギリス留学のチャンスを得る。だが、貧しい家計から費用が出せず、当てにしていた援助もすげなく断られ、「王になるのは王の子供じゃない。王になるのは能力のある者だ」と、いつも彼を励ましてくれていた父親も心臓発作で亡くなってしまう。

留学を断念した失意のアーナンドは、町の物売りにまで身をやつすが、IIT(インド工科大学)進学のための予備校を経営するラッラン(アーディティヤ・シュリーワースタウ)に見いだされ、たちまち学校一の人気講師になり、豊かな暮らしを手に入れた。

そんな中、貧しさゆえに路上で勉強する一人の若者との出会いが、アーナンドの心に火をつけた。突如として予備校を辞めた彼は、才能がありながら貧困で学ぶことができない子供たち30人を選抜して、無償で家と食事を与えて、IIT進学のための数学と物理を教える私塾、スーパー30を開設したのだ。

私財を投げ売ったアーナンドは、資金に苦しみ、教育をビジネスとしか考えないラッランから様々な妨害を受けながらも、型破りな教育で、生徒たちに自信を持たせていく・・・。

 

ヴィカース・バハル監督

1971年生まれ。2005年から映画製作に関わり、長編監督デビューは、『ダンガル きっと、つよくなる』の監督ニテーシュ・ティワーリーと共同で監督した2011年の『Chillar Party(ちびっこギャング)』(未)。この作品では脚本も担当し、インド国家映画賞の最優秀脚本賞と最優秀作品賞(子ども映画部門)を受賞した。脚本と監督を担当した『クイーン 旅立つわたしのハネムーン』は、フィルムフェア賞等、多くの映画賞で最優秀監督賞、作品賞を受賞。日本でも公開され代表作となった。本作はバハル監督にとって4本目の長編監督作品となり、今後はタイガー・シュロフ主演作、アミターブ・バッチャン主演作などスター作品が予定されている。

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予告編

 

公式サイト

9⽉23⽇(金・祝) アップリンク京都ほか全国順次公開

監督:ヴィカース・バハル
製作:サージド・ナディヤードワーラー、アヌラーグ・カシャップ、マドゥー・マンテナ・ヴァルマ、リティク・ローシャン
脚本:サンジーヴ・ダッタ
撮影:アナイ・ゴースワーミー
編集:A・シュリーカル・プラサード
音楽:アジャイ-アトゥール
キャスティング:ムケーシュ・チャーブラー
コレオグラファー:ガネーシュ・アーチャールヤ、ヴィジャイ・ガーングリー
出演:リティク・ローシャン、ムルナール・タークル、アーディティヤ・シュリーワースタウ、パンカジ・トリパーティー、アミット・サードゥ、ヴィジャイ・ヴァルマー

2019年/インド/ヒンディー語/154分/シネスコ/原題:SUPER30

配給:SPACEBOX 宣伝:シネブリッジ 

©️Reliance Entertainment ©️HRX Films ©️Nadiadwala Grandson Entertainment ©️Phantom Films.

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