『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』インドと旅とそして青春を感じることができる映画

ビートルズが出てこない、ビートルズ映画が今年2本公開される。

ジョン・レノンの命日12月8日に公開されるのは『ジョンレノン音楽で世界を変えた男の真実』、そして、もう1本が、9月23日金曜日から公開される『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』だ。

ビートルズとインドといえば、「ノルウェーの森」でシタールを取り入れ、インドにメンバー全員が瞑想を学びに訪れたことは、ファンならずとも彼らの楽曲に親しんだ世代なら知っていることだろう。

本作は、ビートルズがインド、ガンジス川沿いのリシケシュにあるマハリシ・ マヘーシュ・ヨーギーの僧院へ訪れた８日間の出来事を描いている。いや正確にいうと、その場に居合わせたカナダ出身の当時23歳の青年ポール・サルツマンが撮影したスチール写真と記憶によって語られる物語だ。

サルツマン監督は失恋の痛手を癒すためにインドへ向かうのだが、目的の僧院にはビートルズが訪れており立ち入ることができなかった。当時のことを監督は次のように語る。

「門の前まで辿り着くと、ビートルズと彼らの妻たちがいるためにアシュラムは閉鎖され、訪問は許可されませんでした。私は、インドにビートルズがいるなんて知らなかったのです。8日間、門の外のテントで寝泊まりをしていたところ、中に入 ることを許してもらえました。5分間の指導の後、私は最初の 瞑想を行いました。30分後、目を開けると苦しみが消えてい ました。それは奇跡でした。私が初めてジョン、ポール、ジョージ、リンゴに出会ったのはガンジス川とリシケシュを見下ろす崖の端にある長テーブ ルに4人が腰かけているときでした。少し緊張しながら、私は歩み寄り、”一緒にいいかな?”と聞きました。”もちろん”とジョンが答え、”座れよ”とポールが続けたのです」

監督の語りとイラストを使用してビートルズとの出会いと会話を再現ドラマのように描いていく。僧院にはビートルズと彼らのガールフレンド、そして女優のミア・ファロー、ドノヴァン、ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴが帯同していた。監督と同じく20代のビートルズのメンバーは、当時世界で最も有名なミュージシャンの姿ではなく、瞑想を学びにイギリスから来た旅する若者だった。

本作のエグゼクテブ・プロデューサーはデヴィッド・リンチが務めている。その理由はマハリシ・ マヘーシュ・ヨーギーの瞑想に傾倒してるからで、映画の中でもこう語る。

「マイナス思考は創作の敵だ。管の中を流れてくるようなものだ。ストレスやマイナス思考は管を狭くし、ところが瞑想を瞑想を始めると縮まっていた管がぐっと広がって、アイデアが活発の流れ始める」

瞑想を会得したビートルズのメンバーはインド訪問後、『ザ・ビートルズ』(通称『ホワイト・アルバム』）を制作し、その後解散の道を辿るのだった。

権利関係であろうかビートルズの楽曲は聴くことはできないが、そこは瞑想で補うとして、インドと旅とそして青春を感じることができる映画だ。

ストーリー

1968年、23歳のポール・サルツマンは、失恋の傷を癒しに北インドのガンジス川のほとりにあるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのアシュラム（僧院）の門を叩く。そこで思いがけず出逢ったのは、世界的ロックバンド「ザ・ビートルズ」のジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人だった。彼はそこで瞑想を学びながら、ビートルズと共に過ごした奇跡のような8日間を多くの写真に残した。

1962年にデビュー以来、誰もが認めるロック史上最高のバンドとして、半世紀以上経った今でも、音楽の枠を超えて様々な文化的影響を世界中に与え続けているザ・ビートルズ。インド音楽や東洋思想に影響を受け、やがて超越瞑想運動の創始者マハリシに招かれて訪れたインドでは、代表作にして最高傑作と謳われるアルバム『ザ・ビートルズ』（通称『ホワイト・アルバム』）の楽曲の多くが生まれたとされる。サルツマン監督が記録した貴重な写真の数々、当時の彼らのパートナーの女性たち、ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴやドノヴァン、俳優のミア・ファローの姿もとらえながら、ベールに包まれていたインド滞在期のビートルズの素顔と、その楽曲制作のプロセスが紐解かれていく。

ポール・サルツマン監督

1943年生まれ。エミー賞を2度受賞したカナダの映画、テレビのプロデューサー、監督であり、300本以上のドラマやドキュメンタリー作品を手がけている。 俳優モーガン・フリーマンが出演した2008年の長編ドキュメンタリー映画『Prom Night in Mississippi』は、2009年のサンダンス映画祭でプレミア上映された。『The Last White Knight-Is Reconciliation Possible?』は2012年のトロント映画祭でプレミア上映され、モーガン・フリーマン、ハリー・ベラフォンテ、ディレイ・デ・ラ・ベックウィズ（バイロン・デ・ラ・ベックウィズの息子）らが出演している。1968年、インドのマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの修道院で瞑想を学ぶ。その際に、ビートルズ、ミア・ファロー、ドノヴァン、ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴらを撮影した写真は、著書「The Beatles in Rishikesh」（Viking Penguin; 2000）として出版され、2018年に50周年特別版として再出版された。

予告編

公式サイト

9⽉23⽇(金・祝) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、新宿バルト9ほか全国順次公開

監督・脚本・製作：ポール・サルツマン　
ナレーション：モーガン・フリーマン　
製作総指揮：デヴィッド・リンチ
出演：デヴィッド・リンチ、パティ・ボイド、ジェニー・ボイド、マーク・ルイソン、ルイス・ラファム、ローレンス・ローゼンタール、リッキ・クック、ハリプラサード･チョウラシア、デヴィアニ・サルツマ

2020年／カナダ／英語／79分／カラー／1.78:1／5.1ch／原題：Meeting The Beatles in India
 
字幕：大西公子　字幕監修：藤本国彦　
配給：ミモザフィルムズ

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