『空気殺人~TOXIC~』韓国で実際に起きて、現在も裁判が継続中の事件を描く

『空気殺人~TOXIC~』韓国で実際に起きて、現在も裁判が継続中の事件を描く

2022-09-21 12:00:00

『空気殺人』は、韓国で実際に起きた事件をもとに映画化された作品。

映画の中では加湿器の水の中に入れる殺菌剤のメーカーをオーツー社としてその殺菌剤に含まれるポリヘキサメチレングアニジン(PHMG)の毒性により、肺疾患を起こし、死に至らしめるケースが描かれる。

実際の事件はイギリスの医薬品メーカーレキットベンキーザー社の傘下、韓国のオキシー・レキット・ベンキーザ社から販売された殺菌剤により起きた。2016年までに政府に報告された死者数は1006人、負傷者数は4306人と言われる。

2017年1月に、裁判で、オキシー社の元社長に懲役7年、オキシー社に罰金1億5000万ウォン、製品開発を行った研究所の元所長と別の殺菌剤メーカーの元社長にも懲役7年の判決が下った。一方、オキシー社の次に殺菌剤を販売し多くの被害者を出したSKケミカルと愛敬産業の元代表については、2021年1月に一審で無罪判決が言い渡され、現在も裁判が継続中である。

チョン・ヨソン監督は、この実際に起きた事件の映画について次のように語っている。

ヨソン監督:本当にショッキングな事実があり、韓国でこの殺菌剤が 1994年に発売された当時に、世界初の素晴らしい商品という形で記事に取り上げられていました。ですが、私が6年掛けて調べたところ、一切先進国に輸出された形跡がありませんでした。それほど素晴らしいものが開発されたのにもかかわらずです。実際、今公開されている書類で明らかになっていることは、ある国に輸出を試みた結果、その国からの返答が、映画の中でもある通り、”人が死ぬ可能性があるので、我が国では輸入を却下します”というものでした。その時点で明らかに問題があるということが認識出来ていたはずにもかかわらず販売が続けられてきていたという点ですね。

とにかく、この出来事を“記憶”してください。皆様の“記憶”が集まらなければ奇跡は起こせません。このインタビューを通じてお話しさせて頂いた通り、この映画はただ一件の加湿器殺菌剤の話を描いているわけではなく、人による災害を描いた映画なんです。日本で言う”水俣病“のように、世界各地で起きた、またはこれから起こり得る人災なんです。ですから本作品をきっかけに、そういった事件に関してみんなに”関心“を持っていただきい!というのが私の願いです。

 

ストーリー

安全なはずの『加湿器殺菌剤』は、私の子供と妻をゆっくりと殺している。
ある日、大学病院で救急救命室の医師をしているテフン(キム・サンギョン)の息子・ミヌ(キム・ハオン)が意識を失い、病院に運び込まれ、肺が硬くなる“急性間質性肺炎”と診断される。一方、息子に何もできないという絶望の最中、突然妻・ギルジュ(ソ・ヨンヒ)が同じ肺の病気で亡くなってしまう。妻の突然死を不審に思い、テフンと義妹のヨンジュ(イ・ソンビン)は調査を始めたところ、日常的に使用している加湿器用の殺菌剤が原因であることを突き止める。
世界的な企業であるオーツー社は、自社製品に有害な化学物質が含まれていることを隠して、過去17年間販売してきたのだ。テフンと多くの被害者たちは、真実を明らかにするためにオーツー社に立ち向かう。

 

チョ・ヨンソン監督

2013年に『君に泳げ!(原題:NO BREATHING)』で監督デビュー後、ミュージックビデオやTVCMの監督、脚本を手がける。『空気殺人』では、パズルのように組み立てられた物語が強烈なスリルをもたらし、悲劇的な殺菌剤スキャンダルをリアルに描き出している。

 

 

予告編

 

公式サイト

9⽉23⽇(金・祝) シネマート新宿、アップリンク吉祥寺アップリンク京都ほか全国順次公開

監督・脚本:チョ・ヨンソン
エグゼクティブプロデューサー:キム・サンユン
プロデューサー:ユ・ジェファン
原作 <TOXIC>:ソ・ジェウォン
出演:キム・サンギョン、イ・ソンビン、ユン・ギョンホ、ソ・ヨンヒ

2022年/韓国/韓国語/108分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/DCP/原題:공기살인、英題:TOXIC

字幕:田中三紗子 字幕製作:株式会社ワイズ・インフィニティ
配給:ライツキューブ

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