『神田川のふたり』永福町の幸福橋から神田川沿いを井の頭公園まで自転車で向かうミニミニ・ロードムービー

『神田川のふたり』永福町の幸福橋から神田川沿いを井の頭公園まで自転車で向かうミニミニ・ロードムービー

2022-09-01 12:02:00

神田川といえば古くは「かぐや姫」の歌、そしてその歌詞の四畳半フォークの世界からなんとなく早稲田あたりを流れている川なのかなというイメージを持っている人は少なからずいるのではないでしょうか。実は、神田川の源泉は、井の頭公園駅から徒歩3分、吉祥寺寄りのところにあります。

『神田川のふたり』は、亡きクラスメイトが、井の頭公園のボート乗り場のチケット販売しているお姉さんを好きだったという、その想いを伝えるために、『スパゲティコード・ラブ』(21年)の上大迫祐希と、『アルプススタンドのはしの方』(20年)の平井亜門演じる智樹と舞が杉並区永福町の幸福橋から神田川沿いを井の頭公園まで自転車で向かうミニミニ・ロードムービーです。

都内では池袋の「シネマ・ロサ」と「アップリンク吉祥寺」で上映される映画ですが、井の頭公演到着後、吉祥寺のカラオケ屋で一晩過ごし、翌朝再びボートのチケット売り場に行く二人を描く、吉祥寺ご当地映画なのです。

冒頭40分近くは、なんと脅威のワンカット撮影。「あっ、間違えちゃった」という上大迫祐希の言葉も台詞として残したまま、ワンカット撮影は続行されます。

ミニミニ・ロードムービーには監督が仕掛けた演劇的というかアングラ的というか、異次元の人物の登場や仕掛けがあり、ワンカットのドキュメンタリーはそれらを内包して、いまおかワールドを形成していきます。

舞を演じた上大迫祐希に本作のみどころポイントをきくと「”友達の思いを伝えてあげたい”っていう高校生二人の純粋な気持ちがあって始まる物語だと思うので、この作品を観たときに、"今伝えたいことがある相手には、伝えておくべきなんじゃないか”と思えるような作品になっているかと思います」と語っています。

智樹と舞のミニミニ・ロードムービー地図は以下のGoogleマップを参照してみてください。
アップリンク吉祥寺での映画鑑賞の帰りには、ぜひ神田川の源泉を探しに行ってください。

ミニミニ・ロードムービー地図 (クリックでgoogle map)

 

いまおかしんじ監督インタビュー

――「高校生の男の子が想いを寄せている女の子に告白するため、井の頭公園に向かって二人で神田川沿いを歩く」という企画に、「好きな人に告白する前に死んだ友達の代わりに、二人がその想いを伝えに行く」というアイデアを出したのはいまおかさんだと聞きましたが、そのアイデアを加えた理由を教えてください。

映画で描くとしたら、ちょっと特別な日を描いた方がいいと思って、友達の葬式の日としました。僕も実際そういう日については、どんな雲だったかとか、どんな人とどんなことをしゃべったかとか覚えているんで、そういう1日を描けば映画としてはいいんじゃなかろうかと思いました。

――脚本執筆の前の段階で、「井の頭公園に向かって二人で神田川沿いをいく」ということは決まっていたので、シナハン・ロケハンが重要だったかと思いますが、実際に歩いてみていかがでしたか?

井の頭公園から新宿の辺りまで何回か行ったり来たりしました。神田川は長いのでどこからスタートするかというのは考えました。脚本上、神社とかの設定もあったので、実際に走れるような位置関係を探していたら、あの辺からスタートするのがいいということになりました。

――映画が83分なので、約半分が1カットになりましたが、ちょうど半分になったのはたまたまですか?

たまたまです。(笑)

――長回しは、1発OKだったんですか?

2回撮りました。別日に3回目を撮影する予定もあったんですが、2回撮って、「何回やっても一緒だな。何かは映っている」と思い、3回目は撮らなかったです。

――『れいこいるか』にも登場した佐藤宏さん演じるオレンジ色のジャージの男が出てきますが、登場させることにした理由はありますか?

大した理由はありません。僕が個人的に好きで「彼を見たい」というだけです。劇中では、普段あいつが夜寝ている時に着ているジャージを着ています。

――撮影エピソードはありますか?

佐藤宏と絡むところはセリフがないから、何を言っても佐藤宏が全くリアクションしなくて平井君が困ってました。(笑)

――劇中、舞に南沙織の「17才」を歌わせた理由はありますか?

川﨑くんの選曲だったか、話の内容とリンクしているし、今の曲じゃなくて、昔の青春の歌をやるというのも、舞のキャラもあっていいかなと思って、決まりました。

――読者にメッセージをお願いします。

神田川や井の頭公園はみんな知っているかもしれないですけど、実際行ってみたくなるといいなと思っています。映画を観て、神田川を歩いて、井の頭公園に行くと、より一層面白いかと思います。

 

 

ストーリー

川をのぼった先にあるもの…。
亡きクラスメイトの想いを届けるため、ふたりはゆく。

高校2年生の舞と智樹は中学時代のクラスメイトの葬儀の帰り、久しぶりに二人きりで神田川沿いで自転車を押していた。二人は互いに気があったものの、思いを伝えられず別々の高校へ進学していたが、どうもその気持ちはまだ続いているようだ。
東京都杉並区永福町の幸福橋から高井戸方面へ神田川沿いを上る二人は、上下オレンジ色のスウェットに両手首を縄で縛られ倒れている謎の男に遭遇するが、その遭遇がきっかけで下高井戸八幡神社へ行くことになる。神社で亡きクラスメイトが想いを寄せているみおという名の女性との恋が成就するようにと祈願した絵馬を発見した二人。井の頭恩賜公園のボート乗り場で働くみおに亡きクラスメイトの想いを伝えるため、舞と智樹は神田川の源流である井の頭恩賜公園へ向かうことに。

 

いまおかしんじ監督

1965年大阪府出身。横浜市立大学中退後、獅子プロダクションに入社。佐藤寿保、瀬々敬久、神代辰巳監督の助監督として参加。『援助交際物語 したがるオンナたち』では2005年度ピンク大賞(ピンク映画雑誌「PG」主催)において、ピンク映画ベスト10第1位となり、作品賞、監督賞等を受賞したほか、『かえるのうた』と改題し一般作として再上映され興行的にも大ヒットを飛ばす。その後も愛染恭子との共同監督作『白日夢』、クリストファー・ドイルを撮影として迎えた『UNDERWATER LOVE –おんなの河童-』など意欲的な作家活動を続けている。『れいこいるか』では2020年の映画芸術ベストワン、キネマ旬報ベストテン11位に輝くなど高い評価を得た。脚本家としても山下敦弘監督とタッグを組んだ『苦役列車』、『超能力研究部の3人』など多数ある。その他の監督作品は『こえをきかせて』、『葵ちゃんはやらせてくれない』、『にじいろトリップ ~少女は虹を渡る~』、『遠くへ,もっと遠くへ』『あいたくて あいたくて あいたくて』などがある。

予告編

 

公式サイト

9⽉2⽇(金) 池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中
9月9日(金) アップリンク京都にて公開

監督:いまおかしんじ
脚本:川﨑龍太、上野絵美
出演:上大迫祐希、平井亜門

2021年/日本/83分/ビスタサイズ/5.1ch/カラー

配給・宣伝 アイエス・フィールド

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